「初夢・・・幻のMIDWAY海戦勝利」

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百式司偵操縦士さんより(2003.1.6)

 以前一度空母大鳳の搭載機数の件でE-mailをお送りしてF様からもご返信を頂いた百式司偵操縦士です。最近ドイツのTVで映画「MIDWAY」がオンエアされ、手持ちの資料やINTERNETで調べなおして少し考えたことがあったのでご意見をお伺いいたしたくまたご連絡させて頂いた次第です。まわりに海軍や戦史を語れる同輩がいないので、ご一読いただければ幸いです。

 主題は瑞鶴はMIDWAYに参加できなかっただろうか という観点です。珊瑚海で翔鶴が傷つき、瑞鶴も搭乗員・搭載機を大半失って日本へ戻ったことは周知のとおりですが、母艦は無傷だったわけですね、ここを出発点に考えてみました。エクセルで表にしてみましたのでご参照ください。まず搭載機・搭乗員ですが、のちに源田実が紫電改で343空を組織したときのような強引さで、内地・南方・中国から機材人員をかき集めれば瑞鶴分70-80機分は都合がついたはずだと思うのです。もちろんやるのはまだ航空参謀にすぎない源田ではなく、山本や井上提督が瑞鶴をなんとしてもMIDWAYに参加させるという信念を持っていなければなりません。ここまでを仮定1としましょう。

 史実ではアリューシャンに行く隼鷹・龍譲以下の第二機動部隊にこの瑞鶴と史実では戦艦部隊の護衛に回った瑞鳳を加えて編成を強化します。さらに巡洋艦・駆逐艦も増強すれば、5500トンクラスや旧型駆逐艦などで第一に比べていささか見劣りはするものの200機前後の陣容のこの時期としてはかなり強力といっていい第二機動部隊を編成できます。水上機母艦も2隻付けて、母艦の偵察機はなくして戦力が落ちないようにします。司令長官は史実の通り角田中将でよいでしょう。表の中で黒い下地に緑で記載した艦艇がありますね、これらはすべて珊瑚海に参加し、さらにMIDWAYにも参加した艦艇です。私が瑞鶴の参加が不可能でないはずだと思ったのも、史実でもかなりの艦艇が珊瑚海とMIDWAYの両方の海戦に参加していたことに気づいたからなのです。わずかの間での日本での補給や寄せ集め航空隊の訓練など無理だとも思われますが、MIDWAYでの勝利に日本の命運があることを山本提督以下司令部、海軍そして日本全体が認識していれば決して不可能ではなかったと思います。ここまでを仮定2としましょう。

 二つの仮定の上に大小合計8隻の空母で二つの機動部隊をMIDWAYに送ることができたわけです。第二機動部隊はアリューシャンへは向かわず、MIDWAY攻略の主力部隊とともに互いに守りあいながらMIDWAY空襲に専念します。米機動部隊やMIDWAYの航空隊も日本海軍の機動部隊出現に全力で攻撃してくるかもしれません。戦艦群が捨て身で魚雷から空母を守り、直掩機が急降下爆撃のドーントレスだけに集中すれば、命中弾があったとしても沈没はなんとか免れる程度の損害に収まると考えたいところです。

 そして第一機動部隊は、ハワイ空襲時のような隠密行動を徹底し、任務はもちろん米機動部隊撃滅だけに専念します。第二機動部隊攻撃に向かう第二次攻撃隊が米空母甲板上で発艦準備を完了したとき、歴戦の零戦が 99艦爆が 97艦攻が襲い掛かります。米3空母の運命は珊瑚海のレキシントンと大きくは違わないことでしょう。ハワイ攻略の足がかりを得た山本は、海軍大臣となって、これを取引材料に講和に乗り出す。。。

 少し長くなってしまいましたが、幻のMIDWAY海戦勝利いかがでしたでしょうか。お正月の座興にご笑読いただければ幸いです。

 それではまた ドイツより 百式司偵操縦士 1月6日

 (掲載につき、ご本人のご了解をいただいています)