『第九銀河隊指揮官深井良』

元就出版社

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はじめまして。深井紳一と申します。
突然のメールで失礼致します。

海兵72期の伯父が神風特攻しておりその記録を1年7ヶ月の取材、調査、日記等の資料整理で纏め
「第九銀河隊指揮官深井良」元就(げんしゅう)出版社1600円という本を12月末に刊行致しました。
今店頭に並んでいる雑誌「丸」3月号183ページにも書評が掲載されています。

本は本編と付録の二部構成とし、本編は深井良と弟(私の父)との書簡や日記、伯父良が
体験した事柄についての他からの資料、文献など客観的事実を中心に良が海軍兵学校を受験
し、卒業後、航空隊に振り分けられ霞空、百里空で訓練を受け、宇佐空で艦爆教官をし、
鹿屋空、出水空、第二美保空を経て爆撃機の搬送任務から急遽特攻へ切り替わり1945年
5月11日朝に宮崎空から西南諸島のタスクフォース58という機動艦隊に体当りするまでの
様子を描きました。
ミクロ的な日本の史実であり、知られている様で良くは知らない「特攻」の一真実です。
付録は関連する「国」、「靖国神社」、「自衛」等についての私の主観を述べさせて頂きました。

日本の国民、国土のために特攻死された方々をどう考えるかは、意識していたか、いなかったかは
別として私自身を含め多くの皆様がいつか清算しなければいけないと心の中で思われていた事では
ないでしょうか。大げさに言えば、この冷厳な事実を深く考える事なしにはいかなる創作活動も思索も
始まらない様に私には思われます。

事実を知る方々が次第に減っていく中で正確な記録を残す事は急務であると思います。
私は父からこの伯父が特攻前夜に書いた最後のはがきを見せてもらった事、そして会った事も無い
伯父の写真を飾っていた姉のような従姉の急死がきっかけで記録の作成を始めました。

記録の本編は極力客観的事実を中心に、付録は私の個人的な考え方を書かせて頂きました。
付録は主観ゆえに必ずしも共感を得られない部分も多々あると思います。特に集団的自衛権については
問題提起の意味を込め極論に近い事を書きました。ですから現実的でないと考える方もいる事でしょう。
しかし太平洋戦争のような戦争を繰り返さない、しかし外国の侵略を座視するようなまねはしないとなると、
私にはこういう結論しか導き出せないというのも本当のところです。

この本をどう読んで頂くかは私の及ぶ所ではありませんが、共感をして頂いたり、こんな考え方もあるのか
と興味を持って頂けたら幸いです。

伯父を含め特攻で亡くなっていったのは必ずしも狂信的な軍国少年、軍国青年ではなく兄弟姉妹を
慈しみ、自分が死ぬ事で親を悲しませる事を恐れた冷静で知性を持った若者達であったのです。
そんな彼等が死を受け入れたのは、兄弟姉妹や親を米軍の本土上陸から守らなくてはならないという
切羽詰った思いでした。特攻に上陸を阻止する力があるか疑問を持った者も多かったはずです。
特攻作戦自体が戦略の道を踏み外した投げやり、でたらめな考え方でした。豊かな感情、優秀な学歴が
あり健康そのものの若者に飛行機の操縦ロボットの役目をさせるという、人間の歴史で最も残酷な出来事
であったと思います。

それでも若者達は特攻が日本を救うと信じて、信じようとして飛び立っていきました。
私達には関係のない事という事もできますが、彼等が日本本土を守る気持であった事は事実です。
未来の日本人のため、つまり現代の私達のために命を差し出したのです。それを分かってあげない事は
彼等を二度、見殺しにしたも同然といえないでしょうか。

私達ができる事、しなければならない事は彼等の記録を読み、戦争の不条理に気づき同じ状況を
作り出さないような社会を作る事です。それができ、でき続ける事で彼等の死が日本の役に立った事に
なるのではないでしょうか。

美しい国は過去の過ちから学び、過ちを繰り返さない国でなければなりません。

出版社については 
http://www.gensyu.com/shinkan/shosai.php?pid=1167036957-602730
 まで
 
本当であればご贈呈すべきところなのですが、協力出版という半自費の出版で本の所有権が出版社にあり
お送りすべき本が手許に無いので申し訳ありません。

ご関心が無い事でしたら大変失礼致しました。

なお、本の中に誤記があります。
藤田まことさんの兄上が陸軍少年飛行兵として戦死したと思い込んでおりその言及がありますが、実際は輸送船で
移動中に潜水艦に襲われて亡くなったのが事実でした。
重版がもし出るようならその時に訂正致します。


深井紳一