がりについての蘊蓄

ホームページのお口直しにでも

 食べるとがりがり音がすることから「がり」と呼ばれることになった生姜の甘酢漬けですが魚の生臭みを取るための口直しや殺菌作用の意味からもワサビ同様お寿司にはなくてはならないものでしょうか。しょうがを酢に浸すと酵素(アントシアン)の作用で紅色に変わっていきます。
 日本料理の方では「龍皮巻き」千切りして酢で洗ったしょうがを芯に一塩の白身(ヒラメ,さより)を龍皮昆布(求肥昆布とも昆布屋で注文できます)で巻く。とか焼き魚には「筆しょうが」とかが一般的な生姜の酢漬けの使い方です。一般的に「あがり」と「がり」は無料なのもお寿司やでは財布を気にせずすむところでもありますが,口直し効果のみならず,殺菌効果もあるようです。
 次のような言い伝えもある程です。17世紀由井正雪(1605〜51)の乱の時江戸市中を流れる川に毒が流され,その時もし上流で片目の老農婦がショウガの根っこを洗っていなかったら江戸町民に多大な被害をもたらしただろうというのです。ショウガを洗っていた水は汚染された川に流れ込み,その毒を中和したというのです。これにより東京のある神社では今でも定期的に門前に市をなし,ショウガが売られ,大切に崇められているといいます。
 ショウガを買うときは表皮が滑らかで,堅くてしっかりしたものを選ぶこと!日本で食べているショウガは台湾産か東南アジアの株をこちらで育てたものです。純日本産としては千葉,高知,長崎などがあります。大阪の鮨職人はガリをかっこよく千切りにするのを好みますが,東京ではとうの昔にすたれてしまいました。
 10年ほど前大須大道町人祭の際,イギリスのジャグラーを店に連れてきましたが,自分は菜食主義者だというので困っていましたら,ガリだけを非常に気に入ってくれて,確かチラシ丼の器一杯分くらいをペロリと平らげるのを見てびっくりしたのを覚えています。西洋系の外国人にたいしては英語で口直しの意味に当たる
"This is a kind of setoff"
といってやると納得してくれるようです。