アーケードと家庭用 対戦に真剣に取り組み始めると、多くのプレイヤーは 家庭用を購入し、家でも練習、研究を行うようになる。 そして、時に、身内同士で集まって対戦するようにもなる。 無駄に金を使わないので、新しい戦法やキャラを試せる という大きな利点もある。 そのため、家庭用で対戦する機会もアーケードと 同等以上にあるのが、現状である。 流行っているゲーセンが遠いときなどは 家庭用での対戦がメインになる場合もある。 こうしてみると、家庭用には非常に大きなメリット があるのは事実だが、実は家庭用での対戦には 弊害も潜んでいる。 人間が同時に意識できることは7つが限界である ということがよく言われる。 ここで、家庭用で対戦する場合を考えてみよう。 一見すると、アーケードと同様であるようにも思えるが すぐに思いつく相違点を列挙すると ・相手の姿が見える ・相手の入力音が聞こえる ・画面以外のものも視界に入る ・時に、入力装置の固定などが必要。 といった具合で、画面以外はほぼ視界に入らず 相手の入力音なども聞こえず、もちろん固定も不要な アーケードと比べると、大きく異なっている。 家庭用においては、相手の入力音に意識を降れば 駆け引きを優位に進められる可能性があるし 逆に、ゲーム画面以外が視界に入るために それらがある程度は意識され、集中力が損なわれる事もある。 前者のように、ある種邪道な方法によって 家庭用で、アーケード以上の実力を発揮する人もいれば 後者のように、集中力が損なわれてしまって アーケードでの実力を発揮できずに弱体化する人も居る。 余談だが、自分のタイプは後者であるが 全体的には前者のタイプは希で 後者のタイプの方が多いというのが 今までの自分の経験である。 つまり、家庭用とアーケードでは、プレイヤーが意識する 物事が異なっており、そのために家庭用では正しく 実力が反映されないのである。 ここで、対戦以外についても少しふれると 例えば家庭用のトレーニングではほぼ完璧にコンボが成功するのに 実戦となると安定度が大きく下がる、といった経験は 誰もが持っているのではないだろうか。 トレーニングモードで作り出せる状況には限りがある。 それゆえに、トレーニングモードでは常に 「状況確認」が成立してしまっているのがこの原因である。 普段何らかの行動をする場合には、完全な決め打ち以外には ほとんどが「状況確認」を通して行われる。 小足小足>スーパーコンボ といったお馴染みの連続技があるが 誰でも小足>スーパーコンボ であっても決め打てるだろう。 基本的には、小技一発の動作フレーム+ヒットストップが 平均的なプレイヤーが普段状況確認にかける時間であるが これは、ノーマルスピード時で約20フレームであり ターボスピードを考えると、0.25秒程度の間隔である。 集中していれば、これより更に短く出来るが ある程度意識を傾けていた場合においては平均で この位の速度だろう。 つまり、普段は何らかの選択を取る際には 0.25秒間の状況確認の時間が存在しているために トレーニングでは成功しても、実戦で失敗する事が起きるのである。 ただし、これに関しては実戦経験を積んでいく中で 状況確認を入れるタイミングを早めることが可能であるために 結果としては、一定の期間が経てば安定するようになる。 ここで挙げた数字などは、必ずしも正確であるとは限らないし 個人差もあるだろうが、概ね間違ってはいないだろう。 人間であるゆえに、アーケードと家庭用の間に 大きな差が時に生まれるのである。