クラウド・私用雲で失われるもの


 その辺に転がっているオープンソースのソフトウェアをセットアップするだけのことで100万円単位の作業費を徴収される。

 新しい機能が必要、要らない機能を省くといった拡張と整理がクラウドプロバイダの技術力と経営体質に依存して変更不能とされる。

 クラウド要らないからデータをすべて返せといったことができない。 利用する上での鍵をクラウドプロバイダに管理される。

 普通に中身を観られる。 情報漏洩してもクラウドプロバイダは責任を取らないという契約書に同意を求められる。
当然、同意しなければ利用できないし、責任を求めるならば保険料を払えと言われ、結果、費用対効果がマッチしない。

 普通にバックアップを取られる。 解約後にバックアップを消したかも信用する以外の選択肢がない。

 俺がクラウド業者であれば、確実に責任を取らない契約書で担保を取り、加えて、データロストに備えてバックアップを取り、 バックアップの内容を別のサーバへロードして、そこで情報解析を行うだろうね。 どういう業務活動をしているのか? どういう内情なのか?
資産は幾ら持っていて、どの程度の借り入れと返済、どういうファイナンスリースをどの程度契約しているのか?
キャッシュフロー計算書、貸借対照表、メールの交換、宛先、どういう氏名で、どういう職業で、どれぐらいの給料をもらっているのか?
どこに住んでいるのか? 家族構成は? どういう会議体があるのか? どの程度の頻度で開いているのか? 議事録で決議されたことは?
誰が強い発言力を持っているのか? 誰が発言をしていないのか? 発言していない人間の経歴は? 履歴書は? 心理的に弱気なやつか?
どういう組織図で、どういう部署があるのか? 部署名と役職名と氏名がわかれば、それを指名して電話を入れれば、知り合いと勘違いするだろうね。

「○○事務所の××と申します。 貴社の社員である△△さんの代理で電話を差し上げました」
「昨日××が発生しまして、△△さんが至急□□のメールを確認したいと仰っております」
「郵送でかまわないから、××宛にログイン情報を送ってほしい」

 情報を搾取した会社の取引先会社へ、

「情報を搾取した会社に勤める××の紹介で連絡を差し上げました。 ○○課の××さんに取り次いでいただけませんでしょうか?」

 要は、クラウドにするならば、サーバには暗号化された情報だけを保管して、サーバでは一切解錠が不可能であること。
 解錠はクライアント上でのみ行え、鍵もスマートカード上にのみ存在して、鍵発行と失効は利用する自社が自力で発行と管理できる方式ならば、まし。

 サーバにある情報を何時でも削除、抹消可能であり、バックアップもバックアップとバックアップを抹消した日時、担当した人の氏名と住所、 責任者の氏名と住所、媒体の保管場所と保管期間を全て記録して、かつ全てを追跡可能な証跡を毎日利用会社へ報告することができて最低限のレベル。

 これらを全て満たしているサービスは、観たことがないけど。 一つだけでも満たしている所を観たことがない。

「素人狩り美味しいです^^v」

 クラウドだよね。 悪い意味での雲上人。 長い期間コンピュータを利用している金融機関が導入しているかね?

 勘定系を無条件で外注することがあるのかよ? とね。

 少なくとも、自分たちが扱っている情報が、どういった性質の情報であるかを体系的に整理して完全に把握していない限り、クラウドなんか導入してはならない。