初稿は前世紀に発刊されたそうです。 今（2010/11/08）読み終えました。
この文庫に手を出す前に「万能鑑定士Ｑの事件簿」シリーズを読みまして、 作者が伝えようとする思いに共感したのだと考えております。
最初に手を付けた万能鑑定士シリーズは、全く意識せずに「�頃��帰��侠��窟��喉��検廚汎匹鵑世里任垢�、
この順序で読めたのは、相当に運が良かったと考えています。
この�鹸�は、掲題にある作品の主人公が登場する作品だからです。
そんな背景があって手に取ったのですが、過去に読んだ小説の中で一二を争う一冊だと考えます。
デビュー作でありながらミリオンセラーを達成した、と巻末の解説にありました。
さもあらん。 今でもこれは充分に通用すると考えます。 加えて、昨年頃に大幅な書き直しが行われたようです。
小説が現代の写像を切り出す。 フィクションだけれども、現実の何処かで起こっていても不思議とは思えない。
映画、テレビドラマ、演劇、歌劇、ゲームなど、ドラマを描く媒体は多いけれど、小説のポテンシャルを改めて実感しました。
そう考える理屈を書いておきます。
他のメディアとは異なり、小説が一線を画した力を持ち得る理由とは何か？
それは伝送効率が高いこと。 改めて、そう思いました。
映画とドラマは、役者という二次要素が存在します。 かつ、作品を作るための金銭が必要です。
加えて、制作に携わる人数が多く必要です。 多くの人が介入すると、そこには必ず影響が加わります。
人数の多さは、概ね良い方向に傾く物ですが、金銭と営業という要素がシビアに影響を受けます。
小説と対等か、あるいは上回る表現力があるのが漫画です。 漫画は、制作に直接携わる人数も少ない。
ですが、テーマとメッセージを伝える力は、やはり小説の方が強い。 伝送密度が高い。
状況の描写を地の文で説明する小説と、絵で説明する漫画の違いは、手段の違いに過ぎません。
ですが、心理を描写する一点において小説にかなうメディアはない。 そして、この作品は良い一冊でした。
それにしても最近の直木賞系小説は、本当に面白い作品が多いですね。 芥川系の純文学に興味はありませんが…。
最終更新日：2010/11/08