辺獄にて


 小説、映画、ドラマの題名では、ありません。 単行本化された漫画でもありません。

 講談社アフタヌーン2009年11月号(*1)に掲載された読み切り漫画の題名です。

 題名のセンスが良いですね。 語られた見識も見事だと感じました。
 この雑誌の良いところは、シナリオを重視しており、売れる絵を必須要件としていない点です。
 当然、絵が上手い作家が多いですが、売れそうもない絵であっても普通に掲載する所を個人的に評価しています。

 この雑誌が持つ別の良い点を挙げると編集者もセンスが良い。 漫画雑誌として楽しませることを意識している。
 そう私が思った所は、この号の宣伝ページです。 キーワードは「お父様への手紙」です。
 総計1,000ページある恐ろしく重い雑誌ですが、丁寧に探せば見つかると思います。

 そう思えるページを読んだけど
「一向に面白さが分からない。けれど興味がある」
 という酔狂な方が居たら、バックナンバを注文してみるのも良いかもしれません。
 私は、講談社の回し者ではありません。 利害関係者でも無いです。

 話を戻します。 この作品は、後者に部類します。

 内容には、一切触れません。 系統で言うと哲学に部類する内容を扱ったシナリオです。
 そして興味を持つ人は多いと思う話題。 なかなか興味深かったです。

 …。 あまり使いたくない用語ですが「エスパーレス」をすると、何にしろ「××の落書き」を鵜呑みにしないように。

 あの××の落書きの良い点を一つだけあげるなら、時々作られる言葉が面白い。
 この「エスパーレス」っていうのも好きな部類です。

 しかし、この手の話は、自分が目にしたことのない脚本媒体に供給された内容をアレンジしたものなのでしょうか?
 経験的には圧倒的に量が少なく、又、薄く読み込んだ媒体で見たことがある内容じゃなかったです。
 こんな言葉をつけると「史上初の傑作」というような先入観を与えてしまいますが、そこまでのことは無いです。

 要は、新鮮だなーと思った次第です。 逆に言えば目にしたことがない。
 でも、シナリオ媒体において、純粋に新鮮な内容はない筈なので、似たような作品が何処にあるのか?

 つまり「自分の知識において不足しているのは、何を学習していない事が原因なのか?」

 そこに興味がある訳です。 簡単で安価に手に入る「小説、映画、ドラマ、漫画、ゲーム(*2)」には出荷されていないのか?
 演劇、戯曲、歌舞伎、落語、オペラ。 そういった観たことがない媒体で不知のシナリオが埋没しているのだろうか…?
 だがリアルな人間が演ずるシナリオ媒体は、どうして役者という抵抗素子がテーマの伝達を邪魔する。
 特に商業主義な時代だとねぇ。 役者はいいから、寧ろ脚本だけを販売してくれ、と思ってしまう。

 実際、今の映画はどうしようもない。 アニメーション映画は、上記の抵抗素子がない影響か偶に良い作品がある。
 実写だとキャラクター(=俳優)販売商法が映画にも強く影響が出ているから面白くない。
 原作が酷い扱いを受けている事もある。 あと漫画原作をわざわざ実写にする意味も理解できない。
 これは、俳優販売商法を取り入れて市場開発する現れなんだろう。 市場開拓するなら違う方法があるだろうにね。
 このやり方を時間軸で捉えると短サイクルで生成と消滅を繰り返す。 俳優や女優というキャラクターの消費期限は短い。

 …。 いや、だからこそ良いのか。 食品と同じで消耗が活発に行われた方が金銭が循環する。 需要が続く限りは。

 少子高齢化が進む現代だと先行きは怪しいな。

 別のページで書籍の市場開拓を語った事があるが、映画だと何か無いのか?

 消耗が激しく、需要が減衰しにくいもの。

 この特徴を兼ね備えたものって、結局はシナリオに含まれる情報、見識、知識という価値なんだと思う。
 そのドラマから受ける儚く泡沫な刺激、但し、悲観的な感情である必要はない。
 鑑賞者の見識に良い方向で作用すればよい。

 …。 駄目だな。 そもそも映画に魅力を感じないし、どうでもいいです。
 今まで通り、キャラクタという価値を全面に押し出して産業を続けてください。
 とりあえず価値は価値だし、まだ需要が尽きる様子はない。
 孤独を好むアダルトチルドレンがいっぱい金銭を投じてくれますよ。
 快楽のみを求めることを望んで孤独でいるんだしね。

 なーんか古代中国の官僚と行政腐敗が原因による国家崩壊ってのを思い出すな。
 その時代とは責任と需要の構造も所在も違うから、そういう方向に流れる事はないだろうけど。
 だが、行き着く所、しわ寄せは、外国に向かうんじゃないのかね。

 そして、私みたいな無学な阿呆が、こういう認識を得たということは、真っ当な人間は、より高い見地で認識しているのだと思う。

 この世界は、まだまだ捨てたもんじゃない。

 …。

 え? 取り上げた漫画の事が全く書かれてないって?
 この無責任ページ群を読んでれば分かると思うんだけどな。 私の文章は、こういう感じですよ。


 *1 ちょー分厚い漫画雑誌です。 買うのに慣れか勇気が要ります。
 コンビニに置かれている場合、近所に相当なシナリオ好きが居ることが予想されます。 いや、居ます。

 *2 ゲームは高価ですけどね。
 ゲーム業界は、シナリオを重視するなら発売単価を抑えないと将来はないでしょう。
 コンピュータゲームの唯一性を徹底的に研究して世に提案しないと衰退する。
 市場規模ばかりに目を囚われすぎ。 だが、衰退した方がいいとも思う。
 今までと同じ路線で進むにも、国内市場は既に飽和している。
 映画と同じキャラクタ商売も、アダルトチルドレンをターゲットにすれば取り敢えず継続できそう。
 ゲームが普及していない市場、中国辺りへ過去に生産したゲームを移植していくんじゃないのかな。
 こんな下らなくて長い文章を注釈に書く私は、相当な阿呆だ…。


最終更新日:2009/10/02