臨床真理


 随分前に読み終えた作品です。 クライマックスが少し仰天した一冊です。
 ラスト付近の表現が生々しすぎて、今でも強烈な印象が残っています。
 少し調べれば、指している箇所は分かります。 説明を省略します。

 ミステリー作品として楽しめる一冊なのか?

 半分読めば、犯人が分かります。
 犯人を予想できても好奇心が残る小説なので、ミステリーとしては面白いと思っております。

 但し、題名が負けている感触があります。
 題名が漠然とし抽象的なので、題名から想像する内容とは乖離している印象を持ちました。

 例えば、作品名に主人公の名前や職業、何かの名称を持った作品を想像してみて下さい。(●ルト、ガ●ツ、聖●●説、ED●Nなど)
 その作品名と内容を比較して、内容と作品が一致してますか? 何となく違和感を覚えませんか?
 主人公の名前を作品名としたシナリオ媒体だと、長期化するとダラダラとした内容になりやすい傾向があるように思います。

 これは、作品名が及ぼす縛りが少ない事が原因で、その名前の主人公が活躍していればOKになるからでしょう。
 又、その答えを明示しない限りは幾らでも継続できるので、継続連載を望む作者には好まれるのでしょうね。
 言いたいことは、こういう作品は確実に面白くない。 若しくは、惰性を感じて途中で嫌になり離れていく。

 脱線してるな…。

 この作品も題名から想像する内容と違和感を覚えました。
 文章中では、臨床心理士に関する業務の一側面を描いていますが、作品が語りかける事柄と題名とが一致しない。
 そう。 臨床心理士が主人公なだけで、テーマと題名が不一致を起こしているんだと思います。

 ぶっちゃけて、勝手に題名を提案するならば「職権の境界」とか「臨床の境界線」とか、そういう題名だと良いのかなーと思う次第です。
 (我ながら、後者の題名って結構いいんじゃないん?っと自画自賛する今日この頃。)


 2009/10/02 一部の文章を訂正。 14行目辺り。 日本語になっていなかった。


最終更新日:2009/09/24