これを書いている時点では公開中の映画です。
これを読んでいる時点でまだ公開しているようであれば、一度は観る事をお薦めします。
テーマは「友愛」で、励ます事の大事さを説き、孤立と貧困の不公平さを示している。 そんな風に捉えました。
某映画口コミサイトにも(ここと同じハンドル名で)投稿したのですが、そこでは書けなかった事を記します。
そこで指摘したのは「VR内での格闘シーン」で「何故、こいつは無意味な事を一生懸命頑張ってるんだ?」という事柄です。
少し具体的に説明しようと思います。
先ず「アカウントが奪われる意味」を説明しないとなりません。
これは作中で「アカウントは所有者の社会的な権限を全て行使できる」という説明がなされます。
作中で発生する事象(社会インフラを操作してリアル世界に混乱を起こす)は、この権限を奪う事で発生している訳です。
ちなみに現実でも発生する可能性があります。
実際に危機管理の権威(元自衛隊の情報部門の高級官僚)が、この手の事がテロに利用される危険性を指摘していたりします。
この作品の場合は、恐ろしい事にアカウント管理をVR世界の管理サーバに集中していた訳ですね。
(自称SEの専門的な見地から言えば、現実的には実現困難なサーバだろうけど。 通信スペック、ハードウェア性能、連続可用性を想像するとね…。そんな責任を負える組織はないだろう、と)
週間マガジンで、そろそろ連載再開する「ブラッディ・マンデイ」のセカンドシーズンは、恐らくこれを素材にすると思われます。
脱線してました…。
問題のVR内での格闘シーンですが、つまり「こいつのアカウントが乗っ取られた所で、どれだけの問題があるのよ」って話です。
一生懸命戦ってるけどさ、あんまり意味が無いでしょ?
過去に書いた恥ずかしい作文がネットワークに流される、通知表の成績が公開される、預金口座が0にされる、身に覚えのない借入を契約される。
う〜ん。 書いてみると恐ろしい気がするけれど、でも個人に限定した被害で済む。 文にすると、頑張る気持ちも分かるけど、それでも釈然としない。
要は「社会的に(それほど)重要でないアカウントに拘る」所かな。
倒すとアカウントを奪えるっていうルールも良く分からん。
管理サーバをハックした時点でAI側は、全てのアカウントを支配できる(筈な)のだから。
まぁ、消化不良を起こした重箱の隅はどうでもいい。
AIは好奇心で動いているのだから、敢えて「アカウントが別の意志で動く事」を許して「遊び相手を作っている」とも説明できますしね。
なんせ奴は「●ブマシン」。 孤立した愛は虚しいだけ。 そこまで知恵がついた恐ろしい機械なのでしょう。
これ以上、書くとネタバレするのでまとめます。
くだらなく、無責任な映画、アニメーション、ゲーム、小説、漫画、ドラマなどが氾濫し、無責任な情報がメディア、ネットで垂れ流される時代にあって、久しぶりに責任ある脚本の映画を鑑賞できて幸せです。
テーマを提示する脚本媒体は、須く「答え」を提示する責任がある。 例え、テーマが唯一の答えを持たない事柄であろうとも。 そう思っている私の感想でした。
(一部の恥ずかしい文章を削除しました。 2009/09/19)
最終更新日:2009/09/16