名探偵の掟


 本格推理のお約束に疑問を投げかけている作品。

 何冊かの小説を読んできたが、笑ったのはこの小説が初めてだと記憶しています。

 六章の一節(主人公の登場シーン)は、風呂の中で大爆笑しました。
 「笑わせる小説ってあるんだな〜」と本気で一瞬思いました。

 ウェブページや小説の後書き解説などで、この小説の評論をよく見かけます。 どの評価も大体同じで「読者と作家の両方に向けてユーモアで包みながら鋭く批判している」 作品となっています。

 実際、その通りだと思いますが、余り見かけないのが 「その矛先は全て作者「東野圭吾」自身に向けられた言葉」というもの。
 刃は読者、作家の双方を双方を刺していますが、その真の矛先は作者自身であるという点を、 敢えて記しておこうと思います。
 解説や評論は作家がよく書く為、ライバル作家を擁護・同情する様な文章を書くと、 おかしな受け取られ方をする恐れ(?)から書かれないのだと思っています。
 同情している様な取られ方をされそうですが、匿名ですし遠慮なく書いてみた次第です。

 この少し後に出版された「名探偵の呪縛」という一冊で、著者自身が過去を振り返った 心境を書いている部分、そこで触れられている内容からしても、この「名探偵の掟」はそういう 視点で捉えるのが正しいのではないのかな?と思っています。


最終更新日:2007/08/19