悪意


 警告:私は「東野圭吾」小説のファンです。
 以下の文章は、それを認識して「色眼鏡が加わっていること」を考慮してください。

 テーマとして「動機」に焦点が絞られた推理小説。

 「面白かった」「興味深かった」と感じた一冊。

 誰は犯人か?
 どの様に犯罪を実行したのか?
 なぜ犯行に及んだのか?

 推理小説で謎の中心となるこれらの内、最後の「動機」に的が絞られており、 犯人の手記から物語りが始まり、2章で犯人が確定し、直ぐに犯行のトリックも確定するが、 動機だけが謎のまま残る。

 動機が犯人から提示されても、主人公の一人であり犯人の知人でもある刑事は、 その動機に不自然さを感じて、彼が納得する真の動機を探していく。

 動機は犯人の過去(少年時代)にあり、それを隠す事が原点ではないのか?という結論に達するが、 刑事はそういう単純な事でなく、そこから始まり、その後に積み重ねてきた出来事全てが動機であり、 犯人に襲った病がトリガとなって犯行に及んだのだろうと結論される。(確か、そうだったと思います。)

 同作者の別の小説の後書きの解説からすると、推理小説(&ミステリー)で犯行に及ぶ動機が 如何に単純な動機であり、動機というのはそんな単純なものじゃないという事を作者は言っている、 という事らしく、なるほど確かにそうだな、と思った一冊。

 東野圭吾の作品は、最初に「天空の蜂」を読み、この一冊でファンになった。


最終更新日:2007/08/19