OpenOffice.orgの導入を検討したメモ
気が向いたのでOpenOffice.orgの導入を検討してみました。
1. 結論
以下の理由により、導入を見送りとする。
- セキュリティ面のリスクが高い
- 運用ルールの変更が必要
以下に検討内容を記す。
2. 検討
2-1. セキュリティ
セキュリティ面の要素は、以下の点が考えられる。
- 発見の容易性
ソースコードがオープンな為に不特定の人間がセキュリティホールを発見出来る。
- 報告の責任
セキュリティホールを発見した場合に報告する義務がない。 発見した上で、それを報告せずに利用することが可能である。
- 対処の責任
発見されたセキュリティホールが早期に解決される保証がない。
- チェック体制
チェック体制が不透明である。 有志で開発、拡張を続けているが、どの程度のチェックが施されているのかが見えない。
一般のソフトウェア開発会社に比較すれば、遙かに高いチェックが施されていると期待できるが、定かではない。
但し、チェック体制を信用し、対処の責任を諦めれば、安定版かリリース版を利用することでリスクを減らす事が期待できる。
これは、オープンソースのソフトウェアに言える一般的な事項である。
2-2. コスト
コスト面の要素は、以下の点が考えられる。
- 初期投資コスト
オープンソースのソフトウェアである為、初期投資に金銭が不要である。
但し、導入する上で現行製品との差分を洗い出す必要がある。
具体的には以下のような事柄を検討する必要が考えられる。
- 文書、スプレッドシート、マクロの互換性
- 操作の互換性
軽く調べた所では、ファイルの互換性はあるが、操作の互換性に若干の差分がある。
恐らく設計方針の違いであると考えられるが、スプレッドシートではセル選択、ワードプロセッサではスタイルの扱い方に違いが存在する。
この為に移行する場合は、操作の再学習が必要になる。
- 運用コスト
ソフトウェアを利用する上で必ず掛かる電気代、ハードウェア調達などは除外する。
この前提で運用上のコストには、以下のような事項を検討する必要が考えられる。
MS-OfficeとOpenOffice.orgで同じファイルを開いた場合に表示されるレイアウトに違いが生じるとの情報がある。
具体的には、レイアウトが崩れてしまい行がずれる、禁則処理が異なるなどの事例が報告されていた。
但し、この部分は運用で対策が可能である。
- 編集作業を共有する場合は、互換製品と共存して運用しない
- 編集作業を共有しない場合は、文書を.pdfで共有する
編集作業を共有しない場合とは、一方が閲覧のみで充分な運用を指す。
OpenOffice.org 自体に.pdfエクスポート機能が備わっている為、Acrobat 製品は不要である。
以上のように、操作の再学習と、運用ルールを変更する必要がある。
3. まとめ
導入する際には、以下の前提を必要とする。
- セキュリティのチェック体制を信用する
- セキュリティの保証と担保を諦める
この上で以下のコストを必要とする。
- 操作を再教育、再学習する
- 編集作業を共有する集団は、使用するソフトウェアを統一する
- 文書は、.pdfにて受け渡すルールに変更する
以上の事柄を受け入れる事で導入が可能であるが、自己責任の負担が高い為に導入を見送るべきと結論する。
…箇条書きで済まそうと考えていたが、だらだらと書いてしまいました。
OpenOffice.org の機能的な欠陥はなさそうであり、互換性は信用しても良いと考えています。
最大の問題は、OpenSource である事に端を発する部分です。
例えば、どこかの企業がセキュリティチェックを代行したり、RedHat のようにサポート保証すれば、
ある程度は緩和されると思われます。
ですが、OpenSourceである以上、前者に望みがない為、将来に渡っても改善される見込みはありません。
致命的な問題は、セキュリティを担保する責任者が不在である点です。
オープンソースは、全ての義務と責任を放棄したいが故に存在する。 義務と責任を放棄した上で金銭を貰いたい。
けれども、そんな無責任に金銭を支払う人間は居ません。 結果、無責任ソフトウェアが流通することになる。
ただより高い物はない。
作成日:2010/10/29