新潟市ジュニアオーケストラ教室第45回演奏会
  ←前  次→
2026年8月30日(日)14:00 新潟市民芸術文化会館 コンサートホール
指揮:藤井裕子(A合奏)、碇山隆一郎(B合奏)
 
(ロビーコンサート)
1. 弦楽アンサンブル
  レーン:パントマイム
2. トロンボーン二重奏
  デスモンド:Take Five
3. 管楽デュオ
  すぎやまこういち:ドラゴンクエスト より
4. 木管四重奏
  チャイコフスキー:「くるみ割り人形」より 小序曲、行進曲
5. 弦楽アンサンブル
  ラター:「弦楽のための組曲」より 第4楽章
 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

A合奏 (指揮: 藤井裕子 )
ビゼー(ウッドハウス編):オペラ「カルメン」より 行進曲
ワーグナー(ウッドハウス編):オペラ「さまよえるオランダ人」より
              「糸紡ぎの歌」「水夫の合唱」

B合奏 (指揮:碇山隆一郎)
リスト:ハンガリー狂詩曲 第2番

(休憩20分)

ベートーヴェン:交響曲 第5番 ハ短調 Op.67「運命」

(アンコール)
エルガー:行進曲「威風堂々」第1番 
  
 

 今年もついにこの日がやってきました。今日は毎年夏に恒例の新潟市ジュニアオーケストラ教室の演奏会です。私が一年で最も楽しみにしている演奏会であり、毎年万難を排して欠かさずに聴かせていただいています。
 毎年書いていますが、ウィーン・フィルが来ようがベルリン・フィルが来ようが、私はジュニアオケを選びます。という気概で臨んでおり、その思いは決して揺らぎません。

 毎年いろんな出来事がありましたが、その度に無理をしてでもこの演奏会には駆けつけてきました。今年もお盆の終わりに健康上の緊急事態が生じて自粛生活が続き、この演奏会も行けるかどうか危惧しましたが、なんとか出かけられる状況となりました。やはり私は、この演奏会を聴くために1年を生きているんだなあと実感しました。

 ということで、3月のスプリングコンサート以来、5か月ぶりの新潟市ジュニアオーケストラ教室の演奏会です。毎回書いていることですが、全国に数あるジュニアオーケストラのほとんどは、楽器演奏の経験者をオーディションで選んでいますが、新潟市は全くの初心者から受け入れ、楽器ごとの単科教室から、合奏初心者のA合奏、そして中上級者のB合奏へと育て上げる独自のシステムを取っており、ジュニアオーケストラ教室と名乗っています。
 いかにも初心者というような、ほのぼのとしたA合奏と、全国的にも高水準なB合奏の両方を楽しめるのが魅力の演奏会です。

 今回のメイン曲目は、ベートーヴェンの交響曲第5番「運命」です。この曲を取り上げるのはは、2016年9月の第35回演奏会(指揮:松村秀明)以来、ちょうど10年ぶりになります。その前は2010年9月の第29回演奏会(指揮:上野正博)で、このとき入場整理券の「0001」をゲットしたのですが、誰もほめてくれませんでした。
 ともあれ、当然ながら毎年メンバーが入れ代わりますし、前回とは指揮者も異なりますので、新鮮な気分で「運命」を聴かせていただこうと思います。

 ということで、今日の朝を迎えました。福井県では大雨になっており、新潟も初めは晴れていたものの、次第に雲行きが怪しくなってきました。
 体調は安定していましたので、簡単に昼食をとって家を出ました。どんよりとした雲が広がり、今にも雨が降りそうな中に、白山公園駐車場に到着しました。
 県民会館で某コンサートのチケットを買い、りゅーとぴあに入りますと、まだ開場待ちの列は伸びていませんでした。
 チラシ集めをして列に並び、開場とともに入場しました。客席は1階と2階のB/C/Dブロックが使用されていましたので、いつもの2階正面に席を取りました。13時25分からロビーコンサートがありましたので、ロビーに出て聴かせていただきました。

 最初は大編成の弦楽アンサンブルで、フィリップ・レーンの「パントマイム 」が演奏されましたが、いきなりの美しいアンサンブルに驚きました。弦楽メンバー全員参加かと思うほどの大編成の分厚いサウンドは見事であり、軽快で乱れのない演奏は、これがジュニアとは信じられないほどでした。
 2番目は、トロンボーン二重奏です。これも素晴しい演奏で、おなじみのジャズナンバー「Take Five」をノリノリに演奏して楽しませてくれました。
 3番目は、管楽デュオです。フルートとホルンという珍しい組み合わせの二重奏で、「ドラゴンクエスト」からの2曲を楽しく演奏してくれました。
 4番目は、フルート、オーボエ、ファゴット、クラリネットの木管四重奏で、「くるみ割り人形」からの2曲を、軽やかに演奏して楽しませてくれました。
 最後は、小編成の弦楽アンサンブル(2-2-1-2-1)で、ラターの 「弦楽のための組曲」 からの1 曲を見事なアンサンブルで聴かせてくれて、ジュニアの枠を超えた卓越した実力を見せつけてくれました。
 毎回のことではありますが、ロビーコンサートにはもったいないくらいの演奏であり、これまでの練習の成果が遺憾なく発揮されたものと思います。

 客席に戻り、この原稿を書きながら開演を待ちました。開演前にも関わらずオルガン席には照明が点けられていました。
 客席は3階やステージ周りの席は使用されませんでしたが、1階の前方にはかなりの空席があり、古くからのジュニアオケファンとしましては少し寂しく感じました。以前はこんなではなかったのですけれど。

 開演時間となり、まずは初級者のA合奏です。拍手の中に団員が入場し、最後にコンミスが登場して礼をして、大きな拍手が贈られました。いかにも小学生という団員も多く、コンミスは中学生を差し置いて、なんと小学5年生です。チューニングとなりましたが、その音もA合奏らしさを感じさせました。
 団員の数によるのでしょうが、最近不規則な編成が目立っており、今回はさらに特異な編成でした。左にヴァイオリンが9人密集し、その右にヴァイオリンが2人分かれて配置され、その右に指導者の先生によるヴィオラが1人、そしてコントラバスが1人という編成で、チェロはいませんでした。管・打楽器に比して弦の少なさが寂しく感じられました。

 藤井さんが登場して、1曲目は「カルメン」からの「行進曲」です。初級者用に編曲された短い曲ですが、ちゃんとオーケストラの音になっているのが驚きです。ただし、弦が少ないためもあって、メロディラインが聴き取りにくかったのは仕方ありませんね。
 団員代表3人による挨拶と曲目紹介があって、次はワーグナーの「さまよえるオランダ人」からの2曲です。これも1曲目と同様に、ほのぼのとした演奏ながら、ちゃんとしたオーケストラの音になっていて良かったです。最後は賑やかに盛り上げ、この奇妙な編成にも関わらず、バシッと決めてくれました。
 大きな拍手が贈られて、藤井先生に花束が贈呈され、最後は全員で礼をして、A合奏のステージは終了しました。

 続いては中上級者からなるB合奏です。ステージが整えられている間に代表者2人による挨拶がありました。7人の高校3年生は、このステージを最後に卒団することなどを話してくれました。
 2人は一旦下がって、しばしの静寂の後に団員が入場しました。最後にコンミスが登場してチューニングとなりました。
 弦の編成は小さく、弦5部は 7-7-6-8-3 です。第1ヴァイオリンの末席に2人(廣川さん、原山さん?)、第2ヴァイオリンの末席に1人(平山さん)の指導者が着き、パーカッションには本間さんが加わりました。左にはハープもありました。

 碇山さんが登場して、最初はリストの「ハンガリー狂詩曲第2番」です。重厚な弦楽アンサンブルで始まり、重々しく演奏が進みました。クラリネットの超絶的なソロがバッチリと決まり、民族色豊かに音楽が展開していきました。
 前半の「ラッサン」から後半の「フリスカ」へと曲調が大きく変わり、明るく華やかに、軽快に走り抜け、盛大に盛り上がりました。緩徐部をはさんでどんどんとスピードアップし、華やかに盛り上がって終わりました。
 さすがB合奏とうならせる演奏に、大きな拍手が贈られました。ジュニアという枠を外しても、アマオケとして十分に聴き応えある演奏でした。

 休憩後の後半は、べートーヴェンの交響曲第5番「運命」です。弦の編成は同様ですが、打楽器はティンパニだけです。碇山さんが登場して演奏開始しました。
 冒頭の「ン、ジャジャジャジャーン」の「ン」のためが少なかったのは、アマオケとしては仕方ないところでしょうか。ホルンは良く鳴り、管は良くまとまっていましたが、弦の厚みは少なく、もう少しヴァイオリンやヴィオラの人数が多かったならなあ、などと思いながら聴きました。でも、終始緊迫感を保ち続けたいい演奏でした。
 第2楽章は、ヴィオラとチェロがゆったりと穏やかなメロディを奏でて始まりました。堂々と行進するように、重厚感も感じさせました。
 第3楽章は、チェロとコントラバスの重々しい響きで始まり、ホルンが鳴り響いて曲が進みました。聴かせどころのチェロとコントラバスの荒々しい主題も、音量十分で迫力があり、軽快に走り抜けました。
 ヴァイオリンのピチカートの静けさの中から、静かに鳴るティンパニとともに次第にエネルギーを増していき、金管のファンファーレが鳴り響いて、途切れなく第4楽章へ突入しました。
 躍動感に溢れ、明るく爽やかに演奏が進み、若々しいエネルギーを振りまいていて、聴いていて気持ち良さを感じました。まさに若者たちの「運命」です。緩徐部から再び高らかにファンファーレを奏で、エネルギーを高めて、フィナーレへと駆け上がりました。
 大きな拍手が贈られて、カーテンコールとなりました。碇山さんは各パートを順に起立させて演奏を讃えました。碇山さんに花束が贈呈され、碇山さんは花束をコンミスに渡して下がりました。

 そして団員が増強され、パーカッションには本間さんが加わり、A合奏指揮の藤井さんもトランペットを持って登場。オルガン席には濱野さんではなく女性奏者が着きました。コンマスは女性から男性に交代しました。

 碇山さんが登場して、アンコールはもちろん「威風堂々」です。これは何も言うことはありません。これを聴くために私は1年間生きているようなものです。
 今月初めの「オーケストラはキミのともだち」で東京交響楽団の演奏を聴いたばかりですが、プロの演奏にはない感動がジュニアオケの演奏にはあります。毎年団員が入れ代わり、高校3年生はこの曲が最後の演奏になります。そんな子どもたちの熱い思いが込められた演奏であり、演奏技術を超越した何かがここにあるように思います。
 長い序奏の後に主題が奏でられる頃には目には涙がこみ上げてきて、繰り返しの後にオルガンとともに再度主題が力強く歌われますと、感動で胸が高鳴り、興奮が抑えられなくなります。これは何なんでしょうね。
 演奏終了とともに大きな拍手が贈られて、見事な演奏を讃えました。私も力の限りに拍手しました。最後は全員で礼をして、感動の演奏会は終演となりました。これまで何度泣かされたことかわかりませんが、今年も泣いてしまいました。
 この1年もいろんなこと、苦しいことがありましたが、聴きに来れて良かったと実感し、来年もこれを聴くために頑張るぞという思いを新たにしました。来年まで元気で過ごせますように、神にお願いしたいと思います。

 冒頭に書きましたように、実は今日のコンサートは体調的に行こうか行くまいか悩みました。でも思い切って行って良かったと思いました。2週間前に思わぬアクシデントで死に損ないましたが、本当に生きていて良かったです。
 子どもたちの演奏に感謝し、爽やかな気分でホールを後にしますと、外は雨になっていました。天気は崩れましたが、私の心は晴ればれでした。

 さて、期待を裏切らない見事な演奏を聴かせてくれたジュニアオケですが、年々団員減少のためか、弦の編成が小さくなっているのが気にかかります。これも少子化の影響でしょうか。部活動の地域移行が進んでいますので、もっと多くの生徒たちに参加してもらいたいですね。
   

(客席:2階C6-11、¥1000)