カルテット・スピリタス サクソフォン四重奏コンサート
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2022年5月3日(火) 14:00 新潟市民芸術文化会館 コンサートホール
サクソフォン四重奏:カルテット・スピリタス
  ソプラノ:松原孝政、アルト:波多江史朗、テナー:松井宏幸、バリトン:東 涼太
ピアノ: 苅谷麻里(★)
 
〜サクソフォン四重奏「珠玉の名曲選」〜

 デュボワ:サクソフォン四重奏曲
 ピエルネ:序奏と民謡風ロンドによる変奏曲
 ラクール:サクソフォン四重奏曲

(休憩20分)

〜エンターテイメント・ステージ〜

 内田祥子編:スピリタス映画音楽メドレー
(★)
 梶浦由記・草野華余子:炎〜紅蓮華
 内田祥子編:松井選!! 四重奏のためのスターウォーズ
 ガーシュウィン:ラプソディ・イン・ブルー 
(★)

(アンコール)
 ピアソラ:悪魔をやっつけろ

 今日は憲法記念日。昨夜は雨が降ったりしましたが、今朝は青空が広がり、絶好の行楽日和となりました。どこも賑わっていることと思いますが、私は音楽を楽しもうと思います。

 今日は、「りゅーとぴあ・1・コイン・コンサート」の歴代出演者の中で、圧倒的人気を誇るというサクソフォン奏者4人組のカルテット・スピリタスのコンサートです。私も2008年11月に聴かせてもらったことがあり、今回も楽しい演奏が聴けるものと、楽しみにしていました。

 しかし、今日はマルタケホールで開催された加藤礼子さんと小林浩子さんのコンサートと重なってしまい、悩ましい日となってしまいました。
 私は二人の大ファンを自認していますので、是非とも行きたかったのですが、こちらのチケットを先に買ってしまいました。身体はひとつ。仕方ないですね。
 フランクのヴァイオリンソナタなどが演奏され、素晴らしい演奏だったと伝え聞きました。また次の機会に聴かせていただきたいと思います。

 好天の中、気分良く車を進め、早めにりゅーとぴあ入りしました。インフォメーションで某公演のチケットを買い、ひと休みしようと東ロビーに行きますと、4日のロビーコンサートの準備が終わっていて、休憩場所がなくなっていました。
 ステージが設置され、椅子がたくさん並べられていましたが、天候も良さそうですので、賑わうことでしょうね。そのまま外に出て、やすらぎ堤を散策し、心地よい川風に吹かれ、新潟の春を満喫しました。

 りゅーとぴあに戻りますと、ちょうど開場時間となり、すぐに入場して、この原稿を書きながら開演を待ちました。ステージ周りと3階席は使用されませんでしたが、開演時間が近付くにつれ、客席は埋まり、なかなかの盛況です。客層はいつものクラシックコンサートとは明らかに異なり、吹奏楽ファンも多いようで、平均年齢も低いようでした。

 開演時間となり、4人が登場。左から、ソプラノ・サクソフォン、テナー・サクソフォン、バリトン・サクソフォン、アルト・サクソフォンという並びです。

 前半は、サクソフォン四重奏のためのオリジナル作品で、いずれもフランスの作曲家です。デュポアの「サクソフォン四重奏曲」で開演しました。第1楽章は軽快に駆け抜け、第2楽章は、ゆったりと、切々と思いを訴え、第3楽章は、、足早に激しくリズムを刻み、第4楽章は、細かなリズムで、猛スピードで駆け抜けました。
 安定した演奏技術に支えられたサクソフォン四重奏は、聴き応えもたっぷりであり、4人の卓越した音楽性が如実に示されました。

 ここでテナー・サクソフォンの松井さんの挨拶があり、各メンバーの自己紹介と、新潟とのつながりや思いについての話がありました。来年結成20周年を迎え、りゅーとぴあでの演奏会は、8年振り5回目だそうです。以後松井さんを中心に、楽しいトークや曲目解説を交えながら演奏が進められました。

 2曲目は、ピエルネの「序奏と民謡風ロンドによる変奏曲」です。バリトン・サクソフォンの重厚なサウンドでのゆったりとしたメロディに始まり、妖しげな雰囲気を醸し出しながら、各パートが形を変え、絡み合い、猛スピードで追いかけながら、緩・急の音楽が変容しながら繰り返され、スピードアップ、パワーアップして曲を閉じました、

 曲目紹介があり、前半最後は、ラクールの「サクソフォン四重奏曲」です。第1楽章は、テナー・サクソフォンに次いでソプラノ・サクソフォンがメロディを奏で、その後は四重奏となって幽玄な調べが胸に迫りました。第2楽章は、スピードアップし、複雑で不気味なリズムを刻み、第3楽章は、いかにも現代音楽風の暗く、スピーディなリズムで、緩徐部を挟みながら、複雑に進行し、ミステリアスな響きで不安な心にさせられました。超絶技巧に圧倒され、フィナーレを迎えました。

 前半は、「これがサクソフォン四重奏だ!」という音楽で、娯楽性は排除した正統的サクソフォン四重奏でした。演奏家・芸術家的としての4人の凄さが示され、聴く方も身構え、息をこらえるような緊張感を強いられ、心地良い疲労感を感じました。

 休憩時間にピアノが設置され、後半はエンターテイメント・ステージです。照明効果も加えられ、がらりと変わった雰囲気の中で演奏が進みました。

 薄紫色のドレスが麗しい苅谷麻里さんが登場して、ピアノ独奏でジョプリンの「ジ・エンターテイナー」を演奏。続いてピアノ伴奏にのせて、バリトン・サクソフォンがマンシーニの「子象の行進」を演奏しながら登場し、席に着きました。
 続いてアルト・サクソフォンが、モリコーネの「ニューシネマパラダイス」を演奏しながら登場。ピアノ、バリトン・サクソフォンとともに、美しい演奏が心にしみました。
 続いてテナー・サクソフォンがマンシーニの「ピンク・パンサー」をコミカルなアクションを交えて演奏しながら登場。芸達者ぶりで楽しませてくれました。
 最後にソプラノ・サクソフォンが登場して、「ロッキーのテーマ」を全員で高らかに演奏し、聴く者の気分を高揚させ、盛り上げました。
 そして最後は、ラフマニノフの「パガニーニの主題による狂詩曲」の第18変奏を、ピアノとサクソフォン四重奏とでしっとりと演奏し、しみじみとした感動の中で締めくくりました。

 苅谷さんがステージから下がって、「鬼滅の刃」でおなじみの「炎〜紅蓮華」を、リズミカルに楽しく演奏し、聴衆を高揚させました。照明も演奏効果を高めて盛り上げてくれました。

 続いては、テナー・サクソフォンの松井さんが、スターウォーズ・シリーズの音楽の中から、サクソフォン四重奏に合う音楽をセレクトした曲目を演奏しました。
 20世紀Foxのファンファーレで始まって、帝国のマーチ〜酒場のバンド〜愛のテーマ〜王座の間〜ファントムメナスよりの曲をメドレーで演奏して楽しませてくれました。

 最後は、苅谷さんが再登場して、最後はガーシュウィンの「ラプソディ・イン・ブルー」です。サクソフォン四重奏とピアノという組み合わせで、サクソフォンの音量にピアノが負けていましたが、編曲の妙と抜群の演奏テクニックにより、聴かせる音楽に仕上がっていました。

 拍手に応えて、アンコールは四重奏でピアソラの「悪魔をやっつけろ」を、情熱的タンゴのリズムで激しく演奏して、コンサートは終演となりました。

 4人それぞれのサクソフォン奏者としての技量の素晴らしさ、4人揃ってのサクソフォン四重奏の素晴らしさを実感させられました。
 大きさと音域こそ違いますが、同じリード楽器のサクソフォンであり、低音域から高音域まで、違和感なくシームレスに、スムーズに音が繋かります。サクソフォンという楽器の素晴らしさを再認識することができました。
 
 

(客席:2階C4-5、¥3000)