古楽アンサンブルのプロジェクト・リュリの演奏会です。古楽というかなりマニアックなジャンルですが、地道に活動を続けられ、今回は回数を重ねて12回目の演奏会となります。今回も主催の中山さんよりご案内をいただき、昨年に引き続いて聴かせていただくことにしました。
13時10分に東響ロビーコンサートが終わり、快晴の日差しに照らされながら、東堀を汗を拭き拭き歩いて、だいしホールに到着。ちょうど開場時間であり、受付に出てこられた大学で同級の中山さんに挨拶して入場。出演者自ら受付しているのはこのコンサートくらいでしょうね。
今日のプログラムは、パッヘルベル、J.S.バッハ、C.P.E.バッハと連なるドイツの音楽に、クープラン、ルクレールというフランスの音楽が絡められています。
時間となり、パッヘルベルの「音楽の歓び」で開演しました。ヴァイオリン2本(庄司、佐野)とガンバ(中山)、チェンバロ(師岡)での演奏です。
ガンバとチェンバロの上に、2つのヴァイオリンが蝶が舞うように、絡み合って音楽を作り出し、ノンビブラートのヴァイオリン、ガンバの音色が王宮にいるかのような優雅な気分に誘いました。
続いては、庄司さんが下がって、オルジナルメンバー3人で、クープランの「趣味の和、または新しいコンセール」から第10番が演奏されました。4楽章からなる曲を、ゆったりと演奏し、アンサンブルの妙に夢幻の世界に誘われました。
佐野さんが退場して庄司さんが登場し、J.S.バッハの「ヴァイオリンとチェンバロのためのソナタ」です。ヴァイオリンとチェンバロだけでなく、ガンバも加わっての演奏です。
ガンバのふくよかな低音と、輝きのあるチェンバロに支えられて、感情を抑えたような柔らかなヴァイオリンが歌い、味わいのある音楽を創り出していました。
休憩後の後半は、クープランの「ルソン・ド・テネブレ」です。ガンバとチェンバロの伴奏で、風間さんが切々と歌いました。旧約聖書を元にした宗教曲ということで、風間さんはいつもの華やかなドレスでなく、黒いドレスで歌い、心に染みる歌声に、汚れた私の精神が清められたように感じました。
それにしましても、こういう曲には風間さんがぴったりですね。この時代の歌曲には風間さんは欠かせず、その存在感は群を抜きます。
続いては中山さんのガンバ独奏で、C.P.Eバッハの「無伴奏ガンバのためのソナタ」から、第1、第2楽章が演奏されました。ホールいっぱいに、音量豊かにふくよかに響くガンバ。聴くたびにますます演奏に円熟味が増し、燻し銀のようにきらめく音楽に、うっとりと聴き入りました。さすがに新潟のガンバの第一人者ですね。
最後は1曲目と同様に、ヴァイオリン2本、ガンバ、チェンバロでのルクレールの「トリオによるソナタ」です。1曲目と違って左から佐野さん、庄司さんという並びでした。
ガンバとチェンバロに支えられ、ヴァイオリンが互いにせめぎ合い、調和し、最後を飾るにふさわしい聴き応えある演奏を聴かせてくれました。
アンコールには風間さんも加わって、ヘンリー・パーセルのアリアが1曲歌われました。このままもっと聴いていた気分でしたが、終演となりました。
帰りには、出演者が見送ってくれました。コンサートの打ち上げに誘っていただきましたが、東響定期に行かねばならず、失礼させていただきました。今度ゆっくりお話したいと思います。
毎年開催されている古楽のコンサート。芸術的教養のない私は、このコンサートを機会に、このような音楽に親しむことができました。私の人生を豊かにしてくれたことは間違いありません。1年間の綿密な準備を経て開催されているコンサート。また来年も素晴らしい演奏を聴かせてくれることでしょう。
帰り際、古町を通りましたら、新潟総踊りで賑わっていました。元気溢れる新潟は良いですね。日が傾き、暑さが和らぎ始めた中、りゅーとぴあへと歩いていきました。
(客席:F-8、当日券¥1300) |