幸田浩子 オペラティック・リサイタル 〜ARIA 花から花へ〜
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2019年7月6日(土) 14:00 紀尾井ホール
ソプラノ:幸田浩子
テノール:ジョン・健・ヌッツォ
ピアノ・作曲:藤光 健
舞台装花:大泉麗仁
 

第1部
藤光 健:オペラ「ジャンニ・スキッキ」ファンタジー (ピアノ)
プッチーニ:オペラ「ジャンニ・スキッキ」より
      “私の愛しいお父様さま” (ソプラノ)
プッチーニ:オペラ「つばめ」より
      “誰がドレッタの美しい夢を” (ソプラノ)
藤光 健:オペラ「マノン・レスコー」ファンタジー (ピアノ)
プッチーニ:オペラ「マノン・レスコー」より
      “こんな美しい女性を見たことがない” (テノール)
      “この柔らかなレースの中で” (ソプラノ)
藤光 健:オペラ「ラ・ボエーム」ファンタジー (ピアノ)
プッチーニ:オペラ「ラ・ボエーム」より
      “ええ、私はミミと呼ばれています” (ソプラノ)
      “愛らしい乙女よ” (ソプラノ&テノール)

(休憩20分)

第2部
ヴェルディ:オペラ「リゴレット」より
      “麗しい人の名は” (ソプラノ)
      女心の歌 (テノール)
ヴェルディ:オペラ「椿姫」より
      乾杯の歌 (ソプラノ&テノール)
      “不思議だわ!〜ああ、きっと彼なのね〜私はいつも自由で” (ソプラノ)
      第3幕への前奏曲 (ピアノ)
      “さようなら、過ぎ去った日々の美しく楽しい夢よ” (ソプラノ)
      “パリを離れて”〜フィナーレ (ソプラノ&テノール)

(アンコール)
ディ・カプア:オ・ソレ・ミオ (テノール)
ベッペ・ドンギア:カリヨン ―新しい色の祝祭にて― (ソプラノ)

 今日は仕事で東京へ出張でした。17時からの会に出席しなければならなかったのですが、せっかくの上京ですので、早めに出かけて、コンサートを聴いて来ることにしました。コンサートを検索し、時間と移動距離を勘案し、このコンサートを聴くことにして、チケットをネット購入しました。

 このコンサートは「幸田浩子 オペラティック・リサイタル ―ARIA 花から花へ―」と題され、ソプラノの幸田浩子さんが、テノールのジョン・健・ヌッツォさんと共演して、オペラのアリアを歌うというものです。
 昨年発売したCDデビュー10周年記念盤「花から花へ〜オペラ・アリア集」にちなんだプログラムのようですが、演出、照明、字幕など、通常の声楽演奏会とは大きく異なる工夫を凝らし、華道家の大泉麗仁さんによる舞台装花というのも注目点のようです。

 美貌と実力を兼ね備えた幸田さんについては、多彩な活動をされていますので、今さらここに書くまでもないですが、ジョン・健・ヌッツォさんを相手にして、どのような歌声を聴かせてくれるか楽しみでした。

 さて、幸田浩子さんは、2011年3月6日、震災の直前に、新潟(りゅーとぴあ コンサートホール)で、林美智子さんと「極上のモーツァルト」と題するデュオコンサートを開催し、リリカルな歌声で魅了されたことが記憶に残っています。この時以来、8年ぶりになります。

 共演のジョン・健・ヌッツォさんは、2016年6月5日に新潟(りゅーとぴあ コンサートホール)でリサイタルを開催し、声量豊かなテノールで興奮と感動をいただきました。昨年9月にも新潟県民会館で、今井あいさんらとのコンサートがありましたが、別のコンサートと重なって行けませんでした。従いまして、3年振りということになります。

 昼に東京駅に到着。中央線に乗り換えてJR四ツ谷駅で降り、上智大学の横のソフィア通りを5〜6分歩いて、ホテルニューオータニ向かいにある紀尾井ホールに到着しました。ホールの前は何度か通ったことがあるのですが、中に入るのは今回が初めてです。

 狭いロビーで開場待ちし、開場時間とともに入場しました。ホールは800席の小型のシューボックス型ホールで、奥行きがある分、横幅は狭く、ステージも広くはありません。ホールは茶色い木目が美しく、落ち着いた雰囲気です。1階、2階ともにサイド席があり、1階席は傾斜がほとんどなく、平土間的です。ステージには、ピアノと芸術的な装花作品が置かれ、両サイドには字幕の表示が設置されています。

 開演時間となり、場内が暗転。前半はプッチーニです。ステージ上の装花作品にスポッライトが当てられ、華道家の大泉さんが、藤光さんのしっとりとしたピアノ演奏に乗せて、木の枝や花を飾り付け、見事な作品に仕上げました。このときの藤光さんの曲もピアノ演奏も良かったです。

 ここで白ピンクのドレスが麗しい幸田さんが登場し、「ジャンニ・スキッキ」と「つばめ」からアリアを2曲。美しいコルラトゥーラソプラノに心を奪われました。

 藤光さんの心打つピアノ演奏の後、「マノン・レスコー」から、ヌッツォさんが声量豊かに1曲歌って大きな喝采が贈られ、続いて幸田さんのアリアにうっとりと聴き入りました。

 続いて藤光さんのピアノの後、「ラ・ボエーム」から、幸田さんがアリアを歌い、ヌッツォさんとの美しい二重唱が舞台裏に消え、感動のなかに前半を締めくくりました。

 後半はヴェルディです。白地に赤いバラのドレスに着替えた幸田さんが登場し、「リゴレット」のアリアを歌い、ヌッツォさんの「女心の歌」で大盛り上がりでした。

 続いては、「椿姫」からの名場面が演じられました。幸田さんは真っ赤なドレスに着替え、二人で「乾杯の歌」を華やか歌い、ヌッツォさんが退場して、幸田さんのアリアに酔しれました。

 藤光さんのピアノによる間奏曲の後、場面に合わせてシンプルな白いドレスに着替えた幸田さんがアリアを切々と歌い、最後の二重唱で涙を誘って、感動の中に幕を閉じました。実際にオペラを見たかのような満足感を感じる素晴らしいパフォーマンスでした。

 アンコールは、ヌッツォさんがオ・ソレ・ミオで明るく盛り上げ、幸田さんがカリヨンをしっとりと歌い、最後は舞台装花の大泉さんもステージに上がり、感動のコンサートは終演となりました。

 単なるリサイタルではなく、演出や照明効果も素晴らしく、オペラの名場面が眼前に浮かぶかのようで、感動もひとしおでした。ホールの柔らかな響きも相乗効果を上げていました。

 実力者の二人の歌声の素晴らしさのほか、藤光さんの情感あふれる卓越したピアノ演奏も特筆すべきでしょう。また、オペラのメロディを元に作曲した藤光さんの曲そのものも良かったです。

 歌、ピアノ、舞台装花、照明、演出と、すべてが最高の仕上がりであり、一期一会の感動のステージを作り出しました。いい音楽を聴けた満足感で気分も晴れやかにホールを後にしました。

 

(客席:1階 14-22、S席:¥5500)