りゅーとぴあ・1コイン・コンサート Vol.100 「祝祭の日“ピアノ駅伝”」 
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2019年5月11日(土)  新潟市民芸術文化会館 コンサートホール
 
ピアノ:中川賢一、田村 緑、白石光隆、デュエットゥ
 
10:30 中川賢一 「0歳からの親子向けコンサート」

ムソルグスキー:組曲「展覧会の絵」より “プロムナード”
ドビュッシー:「アラベスク」第1番
ドビュッシー:「ベルガマスク組曲」第3番“月の光”
えのもとひろき:「海とお花畑の音楽物語」
けんちゃんといっしょ!〜リズム遊び〜
ムソルグスキー:組曲「展覧会の絵」より“キエフの大門”


13:00 田村 緑

チャイコフスキー:花のワルツ(組曲「くるみ割り人形」より)
フランス民謡(木下牧子編):キラキラ星
モーツァルト:「ねぇ、ママ聞いて」による12の変奏曲
モーツァルト:トルコ行進曲
ベートーヴェン:トルコ行進曲
ファジル・サイ:トルコ行進曲JAZZ
アメリカ民謡(ジャレット編):シェナンドー
ホルスト:組曲「惑星」より 第4曲“木星”


15:00 白石光隆

バッハ(ペトリ編):羊は安らかに草を食む
ヘンデル:シバの女王の到着
ベートーヴェン:エリーゼのために
ジョプリン:ジ・エンターテイナー
ガーシュイン劇場街のざわめき
ゴルソン:クリフォードの想いで出
ロジャース:私のお気に入り
ナザレー:オデオン
ピアソラ:デカリシモ
ブレイク:メモリーズ・オブ・ユー
カミロ:カリベ
(アンコール)
バッハ(コルトー編):アリオーソ


17:00 デュエットゥ かなえ&ゆかり (連弾&2台ピアノ)

ピアソラ(デュエットゥ編):リベルタンゴ (2台)
クルターク:「遊び」より (連弾)
   “花、人間は”
   “神の時は最良の時なり”(原曲:バッハ)
   “けんか”
   “パガニーニをたたえて”
ストラヴィンスキー:3つの小品 (連弾)
モンティ(デュエットゥ編):チャルダッシュ (連弾)
木内佳苗(デュエットゥ編):赤煉瓦ブルース (2台)
木内佳苗(デュエットゥ編):信濃川悠々 (2台)
ビゼー(シム編):「カルメン組曲」より  (2台)
   “闘牛士”
   “ハバネラ”
   “ボヘミアの踊り”
(アンコール)
湯山昭:いいことがありそう!

 2002年に全国に先駆けて始まった「りゅーとぴあ・1コイン・コンサート」が100回目を迎えて、その記念すべきコンサートです。
 今回のテーマは、100回を祝して「祝祭の日“ピアノ駅伝”」というテーマで、1日で4公演行うという豪華版です。各出演者が駅伝の如く、たすきリレーでつないでいくという趣向で、各公演はそれぞれ1コイン(500円)で聴くことができます。
 1コインコンサートはランチタイムに行われますが、ほとんどは平日で、休日開催はわずかしかありません。そのため100回の歴史を誇りますが、私が聴くことができたのは少数です。今回は土曜日開催ということで、予定を調整して、私も駅伝に参加することにしました。

 今日は天候に恵まれて、過ごしやすい陽気になりました。まさに春爛漫を感じさせます。朱鷺メッセではG20の農相会議が開催されて万代島周辺は厳戒体制。古町では恒例の「古町どんどん」が開催されて大にぎわいです。

 そんな土曜日、10時半からの1回目から参加の予定でいたのですが、療養中の私の大切な家族(猫ですが)が体調悪化し、動物病院に緊急入院しました。そんな慌ただしさで、参加も危ばまれましたが、様態が安定し、3回目から参加することができました。

 ということで、15時の回を聴くべく開場時間に会場入り。混み合うかと思ったのですが、それほどでもなく、各回に分散したということでしょうか。

 緑のたすきをかけた白石さんが登場して開演です。トークを義務付けれているのがこのコンサートの特徴ですが、少し早口で曲目紹介しながら演奏が進められました。

 チャーミングなバッハの“羊は安らかに草を食む”の優しいメロディーで演奏開始。コンサートホールの残響の豊かさが相乗し、癒しを与えました。
 続いてヘンデルの“シバの女王の到着”を高らかに、華麗に演奏し、ピアノ学習者の定番ながらコンサートでは聴く機会のない“エリーゼのために”を流麗に演奏して観客の心をつかみました。

 その後は、曲調ががらっと変わって、アメリカの曲を4曲。お馴染みのジョブリンの“ジ・エンターテイナー”とガーシュウィンの“劇場街のざわめき”を軽やかに演奏し、ラグタイムの名曲で楽しませました。
 そして、ゴルソンの“クリフォードの想い出”を情感たっぷりに演奏してうっとりとさせ、ロジャースの“私のお気に入り”でウキウキさせました。
 次は南米へ飛び、ナザレーの“オデオン”、ピアソラの“デカリシモ”をじっくりと聴かせ、秘めた想いを高揚させて再びアメリカへ戻りました。
 そして不朽のスタンダードナンバー“メモリーズ・オブ・ユー”で甘い世界に誘われ、最後はカミロの“カリベ”。16ビートのリズムに乗って大爆発し、アンコールのバッハの“アリオーソ”で興奮を鎮めてくれました。

 後半はクラッシクから外れて多彩な音楽で楽しませてくれ、白石さんのジャンルにとらわれない音楽性の豊かさが感じられました。ホールがシティホテルのラウンジであるかのような、洒落た空気感に包まれて心地良かったです。上質な大人の時間という感じでした。次の走者(奏者)であるデュエットゥにたすきを渡して終演となりました。


 休憩場所として開放された劇場のホワイエで休憩してこの原稿を書き始め、時間を見計らって再びコンサートホールへ移動し、最終公演のデュエットゥに参加です。

 デュエットゥのお二人(木内佳苗さん、大嶋有加里さん)は香川県高松市の出身で、同じピアノ教室に通った幼馴染だそうで、ピアノデュオとして多彩な活躍されています。

 白石さんから引き継いだ緑のたすきをかけた木内さんと大嶋さんが登場。木内さんは白いドレスでシックに、大嶋さんは黒いパンツルックで金髪のショートヘアとイメージが全く違いますが、息はぴったりです。

 2台ピアノによるピアソラで開演。カスタネットを鳴らしたりと、いきなりの素晴らしいパフォーマンスと2台ピアノならではの豪華なサウンドに魅了されました。
 続くクルタークの4曲は連弾で演奏されましたが、前衛的な曲に驚かされました。1曲目は7つの音だけで構成され、緊張感漂う透明感のある響きに息を呑み、2曲目は優しいメロディでほっとし、3曲目は3つの音で鍵盤上で二人のバトルが繰り広げられ、4曲目は両手に靴下をかぶせて演奏。あっけにとらるばかりで、“遊び”という曲名に納得しました。
 続くストラヴィンスキーも連弾で、3曲をちょっとコミカルな響きで楽しませ、ヴァイオリンの定番“チャルダッシュ”では木内さんが鍵盤ハーモニカでいい味を出していました。
 その後は木内さん作曲による2曲が2台ピアノで演奏されました。“赤煉瓦ブルース”は、大失恋して函館に旅した特に作曲したそうで、“信濃川悠々”は、前回新潟に来演した時に信濃川を見て徹夜で作曲して初演した曲だそうです。作曲もされるとはたいしたものですね。
 最後は“カルメン”からの3曲で、2台ピアノの迫力と豊かな響きで魅了し、アンコールを連弾で演奏して終演となりました。

 ここでステージにゴールのテープが張られ、今日の主演者全員がステージに出て、デュエットゥの二人がゴールして「ピアノ駅伝」は終了しました。

 後半の2公演しか聴けなかったのは残念でしたが、大いに楽しませていただきました。明日は本日出演した5人のピアニストによる5台ピアノの公演です。これは期待できそうですね。

 レセさんからいただいた100回記念のキャンディをお土産に、家路に着きました。
 
 

(客席:2階C3-7、各回¥500)