新潟バッハ管弦楽団&合唱団 新潟公演 (第5回公演)
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2016年10月9日(日) 14:00  新潟市民芸術文化会館 コンサートホール
 
音楽監督・指揮・チェンバロ:八百板正己
 
J.S.バッハ

トッカータ ハ短調 BWV564 より (オルガン:八百板正己)

カンタータ 第1番 BWV1 より
 1.合唱「なんと美しく朝焼けの星は輝くことでしょう」
 6.コラール「どれほど私は心から喜んでいることでしょう」

管弦楽組曲 第4番 ニ長調 BWV1069
 1.序曲 2.ブーレT、U 3.ガヴォット 4.メヌエットT、U 5.喜び

(休憩15分)

ブランデンブルク協奏曲 第4番 ト長調 BWV1049
 1.アレグロ 2.アンダンテ 3.ブレスト

ヨハネ受難曲 BWV245 より イエスの死の場面から終曲まで
 28.コラール「彼は最期の時において」
 29.福音史家「この時から」
 30.アリア「果たされました」
 31.福音史家「そして首を垂れ」
 32.アリアとコラール「私の愛しい救い主よ」
 33.福音史家「すると見よ、神殿の垂れ幕が」
 34.アリオーソ「わが心よ、全世界が」
 35.アリア「流れ出なさい、わが心よ、溢れ出る涙の中に」
 36.福音史家「さて、ユダヤ人たちは」
 37.コラール「どうか力を貸してください」
 38.福音史家「その後、イエスの弟子のアリマタヤのヨセフが」
 39.合唱「安らかに眠ってください、聖なる骸よ」
 40.コラール「ああ主よ、どうかあなたの愛する御使いに命じて」

ミサ曲 ロ短調 BWV232 より
 合唱「私たちに平和を与えてください」

(アンコール)
 合唱「私たちに平和を与えてください」(もう一度)

 10年間でバッハの大規模な主要作品のすべてを新潟県人の力で上演することを目的に、八百板正己さんを音楽監督として新潟バッハ管弦楽団&合唱団が結成されました。昨年旗揚げ公演を開催して地道に活動を重ね、今回が通算5回目の公演だそうです。
 ゲストやエキストラに頼らず、独唱者も独奏者も団員の中から選ぶという徹底振りで、新潟、長岡、上越に練習拠点を持ち、全県的活動をしているというのは賞賛されます。

 しかし、これまで聴く機会はなく、今回初めて聴かせていただくことにしました。昼食をゆっくりと食べ、りゅーとぴあへと向かいました。
 今日は新潟シティマラソンの日。交通規制は解除されましたが、まだ駐車場は満車で、少しはなれたパーキングに車をとめて、ホールに急ぎました。ちょうど開場されており、2階正面に席を取りました。3階とステージ回りの席はは使用されていませんでしたが、客の入りはそれなりにというところでしょうか。

 まず八百板さんのパイプオルガン演奏で開演しました。音楽監督自らの演奏であり、これは良い演奏だったと思います。演奏の途中にステージに、色とりどりのドレスに着飾った合唱団とオケ団員が静かに入場しました。
 編成は、弦がヴァイオリンが6、ヴィオラ2、チェロ4、コントラバス1であり、これに管楽器がいろいろ、チェンバロ、ティンパニ、小型オルガンが配置されていました。合唱団席はオケの後方に設けられていました。ヴァイオリンの中には小学生のお嬢さんが一人混じっていたのが目立ちました。

 オルガン演奏を終えた八百板さんがステージに登場し、以後八百板さんの指揮で、解説を交えながら演奏が進められました。
 最初はアマチュアの危うさが感じられ、管弦楽組曲ではアンサンブルや音量バランスの不安定さが気になりました。特に弦のアンサンブルが良くなく、管楽器も楽器によるレベルの差が感じられました。でも、曲としての体裁は整えられており、聴く側に寛大な心を要求されましたが、まずまず楽しむことはできました。

 後半のブランデンブルク協奏曲は、八百板さんのチェンバロ弾き振りで演奏されましたが、前半とは見違えるような演奏となり、前半は何だったんだと思うほどでした。ソリストの頑張りもあって、聴き映えする演奏に仕上がっていました。第2楽章では小学生の団員がヴァイオリンソロを頑張っていましたが、あえて小学生を持ってきた真意は何だったんでしょうか。

 そして圧巻だったのはヨハネ受難曲です。オケも安定し、合唱もお見事でした。ソロを歌った団員の素晴らしさにも感激しました。特にテノールが際立って良く、プロの歌い手かと思うほどでした。曲の後半3分の1をノーカットで演奏しましたが、劇的で感動的な演奏に感激しました。

 最後は毎回演奏しているというミサ曲ロ短調からの「私たちに平和を与えてください」で、これもフィナーレを飾るにふさわしい熱演だったと思います。特にティンパニが加わるあたりからの盛り上がりが良かったです。
 拍手に応えてアンコールの段になりましたが、この曲の後に演奏すべきアンコール曲はないということで、もう一度この曲を演奏して終演となりました。

 時刻は4時半。内容的にも充実した演奏会でした。最初は不安定さを感じて、アマチュアだからこんなものかと思いましたが、私の思い違いのようであり、後半は聴き応え十分な演奏でした。終わってみれば、練習が積まれた素晴らしい演奏だったと思います。

 考えてみますと、このプロジェクトがスタートしてまだ1年です。1年でこれだけの演奏を聴かせてくれるというのはすごいことなんだと思います。八百板さんの熱意の賜物に違いありません。これからレベルアップしていくはずであり、今後どのように発展していくのか期待を持って見守って行きたいと思います。
 

(客席:2階C3-7、¥2000)