ジョイントコンサート 〜自然を讃えて〜
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2016年5月1日(日) 15:00  新潟市音楽文化会館
 
ヴァイオリン:伊野晴香、野口万佑花
ピアノ:小黒英美里、高橋沙紀子、西田遼太郎、本間 優
ソプラノ:桑野 彩、メゾソプラノ:中森千春
チェロ:阿部佐和子(賛助出演)
1.ヴァイオリン二重奏 (Vn1:伊野晴香、Vn2:野口万佑花、Pf:本間 優)
   ヴィヴァルディ(後藤丹・編):和声と創意の試み 「春」より 第1楽章
   スメタナ(後藤丹・編):連作交響詩「わが祖国」より 「モルダウ」

2.ピアノ独奏 (Pf:本間 優)
   シベリウス:「樹の組曲」Op.75 より 「白樺」、「樅の木」

3.ソプラノ独唱 (ソプラノ:桑野 彩、Pf:小黒英美里)
   中田喜直:ゆく春
   デラックァ:ヴィラネル

4.メゾソプラノ独唱 (メゾソプラノ:中森千春、Pf:本間 優)
   武満 徹(ブラウエル・編):翼
   橋本国彦:薊の花
   スコットランド民謡(山口晴子・編):広い河の岸辺

5.ヴァイオリン独奏 (Vn:野口万佑花、Pf:西田遼太郎)
   ブラームス:ヴァイオリンソナタ第1番 Op.78 「雨の歌」より 第1楽章

(休憩10分)

6.ピアノ独奏 (Pf:小黒英美里)
   ドビュッシー:ベルガマスク組曲 より 「月の光」、「パスピエ」

7.メゾソプラノ独唱 (メゾソプラノ:中森千春、Pf:本間 優)
   サン=サーンス:歌劇「サムソンとデリラ」より “春がやって来る”

8.ピアノ独奏 (Pf:西田遼太郎)
   ショパン:夜想曲 ハ短調 Op.48-1

9.ピアノ三重奏 (Vn:伊野晴香、Vc:阿部佐和子、Pf:本間 優)

(休憩10分)

10.ヴァイオリン独奏 (Vn:野口万佑花、Pf:西田遼太郎)
   ブラームス:五月の夜
   ヘス:ラヴェンダーの咲く庭で

11.ソプラノ独唱 (ソプラノ:桑野 彩、Pf:小黒英美里)
   高田三郎:くちなし
   プッチーニ:歌劇「ジャンニ・スキッキ」より “私のお父さま”

12.ピアノ連弾 (プリモ:高橋沙紀子、セコンド:本間 優)
   サン=サーンス:「動物の謝肉祭」より 
             「ライオンの行進」、「雄鶏と雌鶏」、「亀」、「カンガルー」
             「水族館」、「ピアニスト」、「化石」、「終曲」
 
 

 LFJ新潟の関連イベントのジョイントコンサートです。本間さんを中心に、毎年メンバーを変えてこの時期に開催されています。今年のLFJのテーマである「ナチュール」にちなんで、このジョイントコンサートのテーマは「自然を讃えて」となっています。
 3日間のLFJ新潟にほぼフル参加し、疲労も蓄積しているのですが、新潟の若手音楽家たちの演奏を聴き、応援したいと思いますので、気力を振り絞って駆けつけました。

 りゅーとぴあを通って音楽文化会館に向かいましたが、コンサートホールでは吹奏楽のコンサートの「Joint Concert in Brass 2016」が行われていました。実はそちらにも興味があり、しばしロビーで漏れ聞こえる演奏を聴かせていただきました。
 時間となり音楽文化会館に行きますと、ピアニストの小林浩子さんが受付されており、声をかけていただき、うれしかったです。このコンサートには出演されませんが、5月27日(金)19時より、スタジオAで「小林浩子・田村亮太 デュオリサイタル」が開催されます。コンサートの成功をお祈り申し上げます。

 ホールに入りますと、客の入りは程々というところでしょうか。開演時間となり、入れ替わりに各出演者が順に登場し、演奏が進められました。

 最初は、伊野さんと野口さんによるヴァイオリン二重奏です。お二人とも水色のドレスで、爽やかな春風を感じさせるようでした。演奏曲である「春」、「モルダウ」ともLFJ新潟で聴いたばかりですが、後藤丹先生の見事な編曲もあって、十二分に聴き映えする演奏に仕上げて楽しませてくれました。

 続いてはピアノ伴奏したばかりの本間さんが再登場して、シベリウスの小品を2曲聴かせてくれました。落ち着きのあるしっとりとした響き。澄んだ北欧の空気感を感じさせ、叙情的な調べが心にしみました。

 続いて桑野さんのソプラノ独唱です。澄んだ美しい声。ステージ映えする美貌。日本の歌曲をしっとりと歌った後は、見事なコロラトゥーラ・ソプラノで魅了しました。

 次はメゾソプラノの中森さん。黒いドレス姿は妖艶さを感じさせます。学生時代から聴かせていただいていますが、年毎に声に落ち着きが出て円熟味が増し、風格すら感じさせます。今日もしっとりとした歌声で魅了しました。新潟にソプラノ歌手はたくさんいらっしゃいますが、メゾソプラノで活躍されている方は少なく、今後のさらなる活躍を祈念しています。

 続いては野口さんのヴァイオリン独奏です。今度はブルーのドレスに衣装換えしての登場です。西田さんの軽やかなピアノ演奏の上に舞う蝶のように、爽やかな演奏を聴かせてくれました。

 1回目の休憩の後、続いては小黒さんのピアノ独奏です。ショートヘアで、ピンクのドレス姿が麗しく感じられます。「月の光」では清廉な透明感ある響きで魅了し、「パスピエ」では一転して色彩感、躍動感あふれる演奏で楽しませてくれました。新潟で小黒といえば亜紀さんを思い浮かべてしまいますが、今後は英美里さんも注目せねばと感じました。

 次は再び中森さんの独唱です。オペラのアリアを朗々と歌い、歌曲だけでなく、オペラでも存在感を示すことを知らしめてくれました。オペラの場面を想像しながら聴いていました。

 続いて黒一点で頑張っている西村さんのピアノ独奏です。ショパンのノクターンを、最初は静かにしっとりと、その後はめらめらと盛る上がる感情の高まりを、表現力豊かに演奏してくれました。

 次はヴァイオリンの伊野さん、チェロの阿部さん、ピアノの本間さんによるピアノ三重奏です。最初はちょっと荒削りに感じましたが、3人が次第に調和し、徐々に盛り上がりをみせました。最後は高揚感を感じさせて、うまくまとめてくれました。

 ここで2回目の休憩に入りましたが、所用があり、ここで退席させていただきました。野口さんの独奏、桑野さんの独唱、高橋さんと本間さんのピアノ連弾とプログラムが進みますが、聴けなかったのは残念でした。

 LFJでの世界の名手たちの演奏はもちろん良かったですっが、地元の音楽家の演奏も、引けをとらず楽しめます。これからの活躍を祈りつつホールを後にしました。

 
(客席:8-21、¥1500)