舘野ファミリー&フレンズ スペシャルコンサート2016
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2016年1月31日(日) 14:00  新潟市江南区文化会館 音楽演劇ホール
 
指揮:舘野英司
ピアノ:舘野 泉、 関田桂子
ヴァイオリン:ヤンネ舘野
舘野フレンズオーケストラ
 


ヴィヴァルディ:協奏曲集「四季」 (Vn:ヤンネ舘野)

(休憩15分)

宮下秀樹:ピアノと弦楽のための幻想曲 (新作委嘱) (Pf:関田桂子)

エスカンデ:アンティポダス 〜ファンタジア・コンセルタンティ (Pf:舘野 泉)

(アンコール)
ピアソラ:オブリビオン
カッチーニ(吉松隆・編):アヴェ・マリア

 先回のショパンコンクールの入賞者ガラコンサート以来体調不良が続き、このコンサートに行けるか心配だったのですが、昨日一日安静にしたのが良かったようで、今朝にはほぼ回復することができました。早めに会場入りし、ベストポジションに席を取り開演を待ちました。客席はほぼ満席といってよい大盛況です。

 開演時間となり、奏者が入場。女性陣はカラフルなドレス姿で、ステージに花が咲いたようで、新春の喜びを感じさせました。
 最初は「四季」です。指揮は新潟チェロアンサンブルの指導者としてお馴染みで、舘野泉さんの弟の舘野英司さん、ヴァイオリン独奏は、舘野泉さんの息子さんのヤンネ舘野さんです。
 オケの編成は、弦五部が4-3-3-3-2で、これにチェンバロが加わります。チェロとチェンバロ以外は立っての演奏です。メンバーには新潟の演奏家がズラリ。ヴァイオリンのトップは佐々木友子さん、その後ろには何と松村牧子さんがおられます。ほかにも伊野晴香さんに小島さん、奈良さんなどお馴染みさんが並んでいます。コントラバスは、別森さんに星野さん、チェンバロは、もちろん笠原さんです。
 演奏は、臨時編成のオケということで、若干アンサンブルの乱れを感じた場面もあり、独奏者に遊び心があったらもっと楽しめたようにも思いましたが、きっちりと良くまとまった演奏だったと思います。特に「夏」は、力が入っていて情熱的で心に迫りました。

 休憩後は、舘野氏のために作られた、ピアノと弦楽のための曲が2曲演奏されました。休憩時間にステージ中央にピアノが置かれ、弦五部は4-4-3-3-2となり、着席しての演奏です。コンマスはヤンネ舘野さんが務めます。

 最初は新潟市出身の宮下秀樹さんの新作です。ピアノは新潟出身の関田さん。高校は私の後輩ですが、大学は哲学科を出られたという異色の経歴です。
 曲は美しく、心にしみるような透明感のある音楽です。映画音楽にでも適するような、素人にも馴染みやすい音楽で、うっとりと聴き入りました。
 ピアノの関田さん、そして新潟の演奏家が集結した弦楽アンサンブル。曲も演奏も良かったと思います。新潟市出身の作曲家による作品を、新潟の演奏家で、新潟で初演するというのは感慨深いですね。
 素晴らしい音楽を書かれた宮下さんですが、曲の美しさもさることながら、新潟市の中学校の先生というのにも驚きました。すばらしい人材が新潟にいることに感激です。

 続いて舘野泉さんとバンドネオンの渡辺公章さんが登場して、「アンティポダス」という曲です。作曲者のエスカンデは、ブエノスアイレス出身で、現在京都で暮らしているそうです。「アンティポダス」とは、スペイン語で地球の裏側を意味するそうで、日本の琵琶湖のほとりの町とブエノスアイレスと、地球の正反対の二つの場所で同時進行する情景の変化を音楽で表現したそうです。
 全5楽章からなる変化に富んだ曲で、ピアノは左手だけの演奏とは思えない聴き応えのある曲でした。聴き馴染みのある調べが出てきたりして、面白く聴くことができました。

 アンコールの「オブリビオン」のバンドネオンの切ない調べに胸が熱くなり、最後の舘野泉さんの「アヴェ・マリア」は感動の涙を誘いました。吉松さんが左手用に編曲したとのことですが、とても片手での演奏とは信じられませんでした。

 演奏の素晴らしさは言うまでもありませんが、後半は舘野さんのオリジナル曲を聴くことができて良かったです。ほかでは聴くことはできないはずであり、この貴重なコンサートに参加できたことは幸運でした。舘野さんのますますのご健勝を祈りながら会場を後にしました。
  

(客席:5-20、3000円)