新垣 隆&磯 絵里子 おしゃべりコンサート
←前  次→
2015年12月22日(火) 19:00  新潟市民芸術文化会館 コンサートホール
 
ヴァイオリン:磯 絵里子
ピアノ:新垣 隆
 

モンティ:チャールダーシュ

ドビュッシー(ハイフェッツ編):ゴリウォーグのケークウォーク
ドヴォルザーク:我が母の教え給いし歌

グリーグ:ヴァイオリン・ソナタ第3番

(休憩15分)

新垣 隆:即興曲

新垣 隆:ロンド

ディニク:ひばり
サン=サーンス(ハイフェッツ編):白鳥
ヴィラ=ロボス:黒鳥の歌
新垣 隆:哀しい鳥

サラサーテ:ツィゴイネルワイゼン

(アンコール)
ポンセ:エストレリータ

 新潟には何度も来演していてお馴染みの磯さんと、話題の新垣さんとのデュオコンサートです。例の事件のため一躍有名になった新垣さんは、TVのバラエティ番組への露出も多く、やりすぎにすら思えています。どうしてもスキャンダルからは逃れられず、それを逆手にとってステップアップしている姿を見ますと、たいしたものと感心してしまいます。
 でも冷静に考えますと、作曲家、ピアニストとしての新垣さんは、評価すべきと思っています。何を隠そう私は、S氏の名前で出された交響曲「HIROSHIMA」に感激し、新潟でのコンサートも聴いています。東響ロビーコンサートで演奏された「シャコンヌ」の感動は今でも記憶に新たです。S氏の障害がどうのと論ずる以前に、純粋に音楽に感動しました。その作曲家である新垣さんのコンサートということで、自作曲の演奏に期待していました。
 もちろん、磯さんのヴァイオリンも楽しみです。磯さんの演奏は何度も聴かせていただいており、一番最近は昨年のオルガン・クリスマス・コンサートでの演奏を聴いています。
 でも、新垣さんとはどういう関係なのか気になっていましたが、お二人とも桐朋のご出身で、大学時代からのお知り合いなんですね。新垣さんは45歳だそうですから、そうすると磯さんは・・・。余計な詮索はやめましょう。

 前置きが長くなってしまいました。今日は柏崎に出張に出かけており、体調も良くなく、止めにしようかとも思ったのですが、北陸道を大急ぎで走って開演に間に合いました。
 客席は1階と2階のB、C、Dブロックが使用されていましたが、予想以上の客の入りで、まずまずというところではないでしょうか。

 レモンイエローのドレスが麗しい磯さんと、タキシード姿の新垣さんが登場して、定番のチャールダッシュで開演しました。磯さんとしては手馴れたものであり、さらりと演奏しましたが、高音の艶やかな響きが良かったです。

 続いてドビュッシーとドヴォルザークを続けて演奏しましたが、歌わせ方がお見事で、さすがに磯さんだなあと感激しました。
 
 でも、小品ばかりで物足りないと思ったところで、グリーグのソナタをしっかりと演奏して満足させてくれました。この間、「おしゃべりコンサート」と銘打っているように、磯さんと新垣さんのトークを交えて演奏されましたが、新垣さんが言葉少なく、朴とつな話し方で、終始磯さんがリードしていました。

 休憩後の後半は、新垣さんのピアノの即興演奏で始まりました。新潟のイメージでの演奏とのことで、美しい調べがやがてジングルベルに変わり、クリスマス気分も感じさせてくれました。

 続いては赤いドレスに着替えた磯さんが登場し、新垣さん作曲の「ロンド」です。演奏前のトークで、新垣さん出演の金鳥のゴキブリ殺虫剤の音楽の演奏のサービスもありました。現代音楽の作曲家としての本領発揮ということなのでしょうが、ちょっとサービスのし過ぎのようにも思えました。
 「ロンド」は、自分の人生に例えて解説していましたが、曲は聴きやすいもので、スムーズに耳に入ってきました。現代音楽より、こういう庶民受けする曲で楽しませてくれたらよいように思います。

 次は鳥にちなんだ曲を4曲演奏しました。ここは磯さんの面目躍如たる演奏でした。「ひばり」での超高音域での擬音効果のテクニックは素晴らしかったです。「白鳥」ではチェロでの演奏以上に優雅な調べで魅了し、その「白鳥」へのオマージュとして作曲されたという「黒鳥の歌」もしみじみと心にしみました。そして、新垣さんの作による「哀しい鳥」の切々たる調べに魅了されました。

 最後は、「ツィゴイネルワイゼン」を情熱的に、官能的に演奏し、会場を魅了して、大きな拍手が贈られました。アンコールにデザートにちょうど良い「エストレリータ」を演奏して終演となりました。

 新垣さんの自作曲が少なかったのは残念でしたが、演奏としては楽しめました。曲目だけみますと、名曲コンサートのようですが、グリーグのソナタなどもあり、内容的には十分だったと思います。新垣さんのトークがもっと聞きたかったですが、言葉少なに話すところが魅力なのかもしれません。節度ある磯さんのリードで、例の事件の話題もさらりと話に出して、客の興味も裏切りませんでした。

 ピアニストとしての演奏も良かったです。楽譜通りの伴奏でなく、即興的なフレーズを加えたりして、独自色を出していました。これからどういう路線で行くのかはわかりませんが、メロディメーカーとしての実力は大したものであり、今後の活躍を期待したいと思います。S氏名義で出した曲の数々が、再び日の目を見ることができればと思わずにいられません。

  

(客席:2階C4-5、会員割引:¥3600)