山本真希 オルガンリサイタルシリーズ 
グレンツィングオルガンの魅力 No.11 巨匠J.S.バッハ
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2011年3月12日(土) 17:00  新潟市民芸術文化会館 コンサートホール
 
オルガン:山本真希
コラール演奏: 新潟市ジニア合唱団、敬和学園混声合唱団
 
J.S.バッハ

ライプツィヒ・コラール集より  コラール演奏:新潟市ジュニア合唱団

 第1曲 “来たれ聖霊、主なる神” によるファンタジア BWV651
 第2曲 “来たれ聖霊、主なる神” アリオ・モード BWV652
 第4曲 “装いせよ、おお愛する魂よ”  BWV654
 第6曲 “おお神の子羊、罪なくして”  BWV656
 第8曲 “われは御神より離れず”  BWV658

前奏曲とフーガ ハ長調(ライプツィヒのハ長調)  BWV547

(休憩20分)

前奏曲とフーガ ロ短調  BWV544

ライプツィヒ・コラール集より  コラール演奏:敬和学園混声合唱団

 第12曲 “いと高きところにいます神にのみ栄光あれ”  BWV662
 第13曲 “いと高きところにいます神にのみ栄光あれ”  BWV663
 第14曲 “いと高きところにいます神にのみ栄光あれ”によるトリオ  BWV663
 第15曲 “われらの救い主なるイエス・キリストは” BWV665
 
 

 昨日の未曾有の東日本の大震災により、イベントの中止が相次ぎ、このコンサートもどうなるかと心配されましたが、予定通り開催となりました。被災された方々のことを思うと、この国家的緊急事態にコンサートでもあるまいとも思いつつ、やはり聴かねばということで、仕事帰りに聴いてきました。

 山本さんのリサイタルシリーズ第11回の今回は、「巨匠J.S.バッハ〜ライプツィヒ・コラール集と晩年バッハの名曲」と題されています。バッハがライプツィヒの音楽監督をしていた時代に、讃美歌のメロディーをもとに作曲した大規模なコラール作品と「前奏曲とフーガ」が演奏されましたが、コラール集の演奏の前には作品の元になったコラール(賛美歌)をアカペラの合唱で歌うという趣向でした。

 さて、ホールはこの緊急事態もあってか、いつもより若干空席が目立ちました。レセプショニストの研修が行われているようで、客の数に比して職員が多かったのが異様でした。オルガンでは音の良い3階Jブロックに席を取りました。

 最初はライプツィヒ・コラール集からの5曲です。ジュニア合唱団の9人がP席で歌い、その後にオルガン演奏が行われました。ジュニア合唱団の清らかな歌声が残響豊かなホールにこだまし、教会にいるかのようでした。オルガンの音もしんみりと心に響き、震災犠牲者への鎮魂曲のごとく感じられました。

 続いての前奏曲とフーガは、一転して迫力ある多彩な音色で、燃え上がるような情熱的な演奏でした。先日の石丸由佳さんのリサイタルで、その輝かしい音色に感嘆しましたが、山本さんも負けることはなく、さすがと唸らされました。

 後半は前奏曲とフーガで始まりました。水平トランペットが効果的に使用され、立体感ある音色と迫力に心躍りました。

 続いてのコラール集は、ステージ上に敬和学園混声合唱団が登場し、前半同様にコラールが歌われたあとにオルガンが演奏されました。女声だけのジュニアとは違って、男声の加わった混声合唱はすばらしいハーモニーであり、音の厚みが違います。さすがに県内最高峰の合唱です。前半のジュニアの清楚で透き通った胸打つ合唱とは異なりますが、合唱の質としては高かったと思います。

 合唱とオルガンの組み合わせは効果的であり、始めに合唱を聴くことでオルガンが抵抗なく心に入り込み、オルガンの良さをより高めていたように感じました。

 それにしましても、山本さんの演奏はいいですね。ますます磨きがかかって、新潟の至宝と言えましょう。アンコールはなかったですが、2時間たっぷりのコンサート。十分すぎる内容でした。

 帰りに明日の東響定期中止の掲示がありました。被害はますます拡大するばかり。この記事を書いているときも余震を感じました。こんな文章を打っていられる幸運に感謝しなければなりません。一刻でも早く事態が落ち着きますように・・・。
 

(客席:前半:3階J3−14、全席自由:900円、セット券)