東京交響楽団 第63回新潟定期演奏会
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2011年2月27日(日) 17:00  新潟市民芸術文化会館 コンサートホール
 
指揮: 大友直人
ピアノ: 上原彩子
コンサートマスター: 高木和弘
 
 


パヌフニク:交響曲 第3番「祭典交響曲(シンフォニア・サクラ)」

ラヴェル:ピアノ協奏曲 ト長調

(休憩20分)

スタンフォード:交響曲 第3番 ヘ短調 作品28 「アイリッシュ」


 
 
 

 新潟シューベルティアーデのコンサートが終了し、少し時間が空いたので、CDショップのコンチェルトを覗いてきましたが、冷たい雨が降り始め、肌寒さが身にしみました。

 さて、今度は東響定期です。昨年11月以来ですから、随分と久しぶりに感じます。パヌフニクにスタンフォードというマニアックなプログラムであり、実は今年度一番楽しみにしていたコンサートです。この機会を逃すと、新潟では生で聴く機会は一生ないと思われます。こういう曲を聴けるのが東響定期の醍醐味です。客は7割程度の入りでしょうか。曲目を考えると、むしろ良く入ったなあ、というのが私の感想です。

 拍手の中楽員が入場し、楽員も起立して拍手に応えます。ステージいっぱいのフル編成のオケは壮観です。今日のコンマスは久しぶりに高木さんです。フォアシュピーラーは田尻さんじゃなくて廣岡さん。チェロのトップは定年になったはずのボーマンさんです。

 大友さんがかっこ良く登場し、最初はパヌフニクです。トランペットの4人がステージの四隅に配置し、このトランペットの掛け合いで演奏が始まりました。音響的にも聴きごたえある曲であり、大いに楽しめました。うまくまとめないと破綻しそうな曲ですが、大友さんがうまくコントロールしていたように思いました。

 続いてはラヴェルのピアノ協奏曲です。今日の演目では唯一のポピュラーな曲です。個人的には以前は好きな曲でもなかったのですが、「のだめ」で取り上げられてから、何故か好きになってしまいました。
 オケの編成はかなり小さくなりました。青いドレスの上原さんが登場。ラヴェルですから、もっと軽やかに、弾けるように、色彩感豊かに弾いてくれることを期待したのですが、ちょっと私の好みとは違ったようです。この上原さんは、昨年11月に長岡で聴いています。そのときは第3子出産直前の身重の状態での演奏でしたが、今回は出産後。いかにも日本のお母さんというような、どっしりと堂々とした演奏ぶりだったと思います。アンコールを期待したのですが、そのまま休憩に入りました。

 後半はスタンフォードです。イギリス音楽を得意とする大友さんならではの選曲と思います。これも意外に聴きやすい曲であり、魅力ある曲でした。もっと退屈するんじゃないかと思いつつ聴いていたのですが、第3楽章はブラームスのパロディであり、冗談かと思うほどで、大変面白かったです。

 隠れた名曲を聴けて有意義なコンサートでした。曲も良かったですが、東響の演奏もすばらしく、厚みある弦のアンサンブルが美しく、管楽器の皆さんも頑張っていました。そして何より、大友さんのキビキビした指揮ぶりが印象的でした。これまで中庸を行くような演奏で、欲求不満を感じないではなかったですが、今日の演奏は文句なく楽しめるものでした。これからも名曲だけでなく、このような秘曲を聴かせてほしいと思います。
 

(客席:2階C5-**、S席:定期会員、5500円)