イタリア中部地震復興支援チャリティーコンサート 
  
第1部 室内楽とオペラの楽しみ
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2009年8月16日(日) 14:00  ホテルイタリア軒 サンマルコ
 
新潟 ARS NOVA 
(Vn1:庄司愛、Vn2:加藤礼子、Va:重光明愛、Vc:渋谷陽子、Cl:広瀬寿美、Hr:宮野大輔、Pf:石井朋子)
Sop:山下尚子、Mz:鈴木涼子、Br:押見春喜、Pf:金子めぐみ
 
 
室内楽 新潟ARS NOVA メンバーの演奏(司会:小西奈雅子)

エルガー:愛のあいさつ 
(Vn:庄司、Vc:渋谷、Pf:石井)
クライスラー:愛のよろこび 
(Vn1:庄司、Vn2:加藤、Va:重光、Vc:渋谷)
J.シュトラウス:ピチカートポルカ 
(Vn1:庄司、Vn2:加藤、Va:重光、Vc:渋谷)
ブルッフ:8つの小品より2曲 
(Va:重光、Cl:広瀬、Pf:石井)
カタルニャ民謡・カザルス編:鳥の歌 
(Vc:渋谷、Vn1:庄司、Vn2:加藤、Pf:石井)
ハーライン:星に願いを 
(Vn1:庄司、Vn2:加藤、Va:重光、Vc:渋谷、Cl:広瀬、Hr:宮野、Pf:石井)
J.シュトラウス:美しく青きドナウ
(Vn1:庄司、Vn2:加藤、Va:重光、Vc:渋谷、Cl:広瀬、Hr:宮野、Pf:石井)

(休憩15分)

オペラ Sop:山下尚子、Mz:鈴木涼子、Br:押見春喜、Pf:金子めぐみ

ロッシーニ:ヴェネツィアの競艇 (山下、鈴木、金子)
ロッシーニ:セヴィリアの理髪師〜今の歌声は (鈴木、金子)
ロッシーニ:セヴィリアの理髪師〜ロジーナとフィガロの二重唱 (鈴木、押見、金子)
ペスタロッツァ:チリビリビン (山下、金子)
トスティ:ヴッケーラ (押見、金子)
クルティス:帰れソレントへ (押見、金子)
プッチーニ:蝶々夫人〜花の二重唱 (山下、鈴木、金子)
プッチーニ:蝶々夫人〜ある晴れた日に (山下、金子)
サルトリ:君と旅立とう (山下、鈴木、押見、金子)

 
 

 
 4月にイタリア中部を襲った大地震の復興チャリティーコンサートです。新潟イタリア協会主催で、コンサートの収益金は被災地のペスカーラ市にある老人施設の復興に使われるそうです。正直言うと、他にめぼしいコンサートもなく、チャリティー目的というより、音楽を聴きたくて駆けつけました。第1部が「室内楽とオペラの楽しみ」、第2部が「ワインとジャズの楽しみ」となっていましたが、第1部だけ聴くことにしました。

 早めに古町に着いたので、久しぶりに古町商店街のアーケードを歩いていると、見事なソプラノの歌声が聞こえてきました。ちょうど古町街角パフォーマンスという催しで、Yuccaのコンサートが行われていました。全く知らない歌手でしたが、素晴らしいコロラトゥーラソプラノに耳を奪われ、椅子に座って聞きこんでしまいました。この人は東京音大声楽学科卒業ですが、サラ・ブライトマンのバックコーラスに参加して感銘を受け、クラシックの歌唱法だけでなく、ヒーリングの要素を加えて、多彩な活動をしているそうです。ルックスもすばらしく聴きほれてしまいました。「アヴェ・マリア」や「ピエ・イエス」、「千の風になって」、「タイム・トゥー・セイ・グッバイ」も良かったですが、古町のアーケードに響き渡る「夜の女王のアリア」は全く場違いではありましたが聴き応えがありました。この曲はTOYOTA「アルファード」のCMに使用されたとのことです。発声の仕方の解説をしたりサービス満点でした。来週(22日、23日)の「万代橋80周年記念フェスティバル」や10月の「古町どんどん」にも出演するとのことですので、お楽しみに。

 前置きが長くなってしまいました。Yuccaのライブが終わるとちょうど良い時間となり、イタリア軒に向かいました。会場は3階の宴会場でしたが、かなりの賑わいでした。今日のコンサートの興味は当初は前半のARS NOVAのメンバーの演奏だったのですが、実は後半が圧巻でした。

 主催者挨拶の後、小西さんの司会で前半の演奏が進められました。出演者全員新潟県出身の音楽家であり、新潟 ARS NOVA のメンバーで、地道な活動をされている方々です。いずれも良い演奏でしたが、トリオ・ベルガルモとして活躍しておられる庄司さん、渋谷さん、石井さんは光っていたように思います。特に渋谷さんの弾いた「鳥の歌」は心に染みました。演奏もさることながら、ヴィジュアル的にも私好みでありニンマリしていました。これで今日の目的は終わったかなと休憩に入ったのですが、大きな間違いでした。

 休憩後は山下さんの進行によりイタリアオペラのアリアとカンツォーネが歌われました。後半の出演者も前半同様に新潟の出身者です。山下さん、鈴木さん、金子さんは新潟清心女子高校の同窓生であり、山下さん、鈴木さんはボローニャで、金子さんはローマに留学しており、イタリアとの関係は深く、被災地にも行ったことがあるそうです。イタリア語の歌を思いっきり歌えて良かったと話されていました。
 さて、ソプラノの山下さん、メゾソプラノの鈴木さん、バスバリトンの押見さんのいずれの歌声も素晴らしかったのですが、やはり山下さんの歌声は飛び抜けていたように思います。小柄な体からは想像できないパワーに驚くとともに、リリカルな歌声に聴き惚れ、可憐な容姿に目を奪われてしまいました。華を感じさせる素晴らしい歌手です。新潟出身でこんな歌手がいたことを知らず、不勉強を恥じている次第です。調べてみたら、新潟市音楽文化会館でリサイタルもしていますし、りゅーとぴあのワンコインコンサートにも出演しているほどですから実力は大したものと思います。山下さんの輝きの蔭になってしまいましたが、鈴木さんも素晴らしかったです。山下さんの蝶々夫人、鈴木さんのスズキによる「花の二重唱」は今日のコンサートの白眉ではなかったでしょうか。
 ラストの曲は古町でYuccaの歌で聴いたばかりの「君と旅立とう」(タイム・トゥー・セイ・グッバイ)でした。何という偶然と驚きましたが、Yuccaの歌も良かったですが、やはりこちらが上でした。

 前半目当てに聴きに行って、後半に感激したコンサートでした。会場はホテルの宴会場で、音楽を聴く環境としては良くありませんでしたが、音楽的にも、視覚的にも素晴らしかったと思います。特に、山下さんに聴き惚れ、見とれ、心を奪われてしまいました。私が知らないだけなのでしょうが、こういう素晴らしい音楽家が新潟から輩出しているなんて、すごいなあ・・・。

 NHKが取材に来ていましたが、夜のローカルニュースでコンサートの模様が紹介され、感動を新たにしました。
 

(客席:5列目中央、自由席:2000円)