新年になったと思ったら早くも3月。慌ただしい日々でしたが、時間の流れの速さに驚きます。昨日今日と好天が続き、春の足音を感じさせました。
今日は久しぶりの東響定期です。前回の12月の定期演奏会は飯森さんが熱演を聴かせてくれたようですが、外せない忘年会のため残念ながら欠席しましたので、10月の50回定期以来ということになります。もっとも東響としてはジルベスターコンサートで聴いていますが。
さて、今日は車を買い換えて納車の日でした。支払いを済ませ、慣らし運転のためドライブした後にホールに向かいました。少し早めに着いたので、県民会館の情報ラウンジで音楽雑誌を読んで時間をつぶしました。ここはいろんな音楽関係の書籍がたくさん置いてあるので便利です。
開場時間を見計らってりゅーとぴあに行きました。ホールはいつもの入りというところでしょうか。私の隣が空席で、ゆったり聴くことができました。今日の定期は大友さんの指揮で、オール・エルガー・プログラムです。昨日は東京芸術劇場で同じプログラムが演奏されています。いつものように拍手の中楽員が入場し、大谷さんが登場すると一段と大きな拍手が湧きました。
1曲目は「威風堂々」第2番です。第1番の陰に隠れて聴く機会が少ないですが、親しみやすい曲です。東響の弦の響きの良さにも感動しました。
2曲目はウィスペルウェイが登場してチェロ協奏曲です。この曲はデュ・プレの名演があまりにも有名であり、愛聴していますが、実演では聴いたことがなかったので、楽しみにしていました。ウィスペルウェイは2002年12月にサントリーホールでの日本フィル定期演奏会で聴いたことがありましたが、あまり記憶に残っていません。
ウィスペルウェイは燕尾服を着ないで、チョッキ姿で登場して演奏が始まりました。まず、チェロの音が良いことに驚きました。ホールいっぱいに朗々と響き渡り、ホールの音響の良さを再確認させてくれました。演奏はストイックな、まさに「孤高のチェリスト」と呼ぶにふさわしいものでした。東響の演奏も美しかったと思います。アンコールのバッハも聴き応えある名演奏であり、心に響きました。
休憩後の最初は「南国にて」。初めて聴く曲ですが、美しい旋律にあふれる名曲です。中間部での、新しく主席で入団された青木篤子さんのヴィオラソロには心が癒され、うっとりと聴き入りました。管楽器のソロも美しく、今日の演目の中でも最高の演奏だったのではないでしょうか。
最後は、お馴染みの「威風堂々」第1番。パイプオルガンも加わって大盛り上がりする曲ですから、楽しく聴きました。東響の演奏も手慣れたもの。もしかしたら東響が新潟で一番多く演奏している曲かも知れません。毎年の小学5年生対象のコンサートで必ずやってますから。でも、手慣れた分だけ感動が薄まったようにも思います。あるいは大友さんが抑えていたのかも知れません。どうせならもっと爆発してくれた方が良かったかな。感動という点では、新潟市ジュニアオケの演奏の方が上かも・・。
アンコールは、大谷さんのソロで「愛の挨拶」でした。エルガーのアンコールといえば「ニムロッド」かなと予想していたのですが、まさか「愛の挨拶」をやるとは思ってもいませんでした。大谷さんとしてはツィゴイネルワイゼンと同じくらいたくさん演奏しているに違いなく、大谷節を聴かせ、しっとりと締めてコンサートは終演となりました。
小品ばかりで、時間的にも、内容的にも物足りない感じはないではありませんが、演奏内容としてはまずまず良かったと思います。日本人指揮者でエルガーと言えば尾高さんが思い浮かびますが、大友さんもイギリス音楽が得意なんだそうであり、なかなか良い演奏を披露してくれました。これまでの大友さんの演奏は、悪くはないのですが、イマイチ突出する感動は乏しかったように感じていました。その点今日はこれまでになく良かったと思います。聴きやすい曲ばかりで、飽きなかったためもあるかも知れません。東響の演奏も破綻はなく、各楽器のソロの美しさは感嘆ものでした。でも、大曲がなく、メインディッシュのないディナーみたいな感じもあり、欲をいえば交響曲を入れて欲しかったかな、という気もします。アンコールで「威風堂々」第1番というのが一番盛り上がると思うのですけれど。
楽しい気分で外に出ると、雨が降り始め、駆け足で車に向かいました。気温も下がってきて、これから雪の予報。春はもうちょっと先のようです。
(客席:2階C5-**、S席:定期会員、5000円) |