鍵冨弦太郎 ヴァイオリン・リサイタル
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2008年7月11日(金) 19:00  新潟市音楽文化会館
 
ヴァイオリン:鍵冨弦太郎
ピアノ:松本和将
 

 
J.S.バッハ:ソナタ1番 アダージョ
クライスラー:ウィーン奇想曲    
ベートーヴェン:ヴァイオリン・ソナタ第5番「春」

(休憩:20分)

ヴィエニャスキ:スケルツォ・タランテラ
クライスラー:シンコペーション
フランク:ヴァイオリン・ソナタ

(アンコール)
ラフマニノフ:ヴォカリーズ
クライスラー編:ロンドン・デリーの歌

 
 

 新潟の誇る期待のヴァイオリニストのリサイタルです。小学校5年で東響との共演を果たし、その後もコンクールに優勝したり、CDを出したりと活躍は目覚ましいですが、昨年3月に「にいがた祝祭コンサート」で東響と共演したとき、必ずしもいい演奏とは言えませんでした。その後の成長ぶりを確かめようと駆けつけましたが、チケットは3500円とちょっと高額です。

 演奏は、ウーン・・・。良く言えば優しい音と言えなくもありませんが、正直な感想は、音程・音量・音色ともあやふやな、力強さの感じられない、生ぬるい演奏でした。どうにも気持ちが入っていないような印象であり、集中していない感じです。故郷に戻って、気持ちが緩んだのでしょうか。本来の実力はこんなはずじゃありません。コンディションが悪かったのでしょうか。ピアノの松本さんはすばらしく、熱のこもった演奏で、鍵冨さんを時々見つめながらリードしていました。最後のフランクのソナタは本人も思い入れがあると言っていましたが、少しは聴き応えがありました。これも松本さんの牽引力によるものと思います。

 ということで、期待していただけに肩すかしを食らった感じです。優しい故郷の人たちは暖かく見守ってくれるでしょうが、甘えてばかりではいけません。高額な入場料を取っているので、プロの演奏家としての自覚を持つべきでしょう。あ、まだ学生さんだったっけ・・?。10月の東響との共演が少し心配に感じます。人気が先行している感じですが、ヴィジュアル系のJ-classic奏者で終わることのないように・・・。ファンクラブの勧誘をする前に、自己研鑽を深める必要があります。益々の精進に期待しましょう。そうそう、トークも上手になる必要がありますね。挨拶くらいはちゃんと言えないといけませんよ。 才能を高く買っているだけに残念でなりません。
 

(客席:12−5、3500円)