アレクサンダー・ガヴリリュク ピアノリサイタル
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2007年11月20日(火) 19:00, 長岡市中之島文化センター 文化ホール
 
ピアノ:アレクサンダー・ガヴリリュク
 
 
バッハ/ブゾーニ編:トッカータとフーガ ニ短調 BWV565
モーツァルト:ピアノ・ソナタ 第17番 ニ長調 K576
シューベルト:ピアノ・ソナタ 第13番 イ長調 op.120, D665

(休憩15分)

ラフマニノフ:絵画的練習曲 op.39
モシュコフスキー:15の熟達の練習曲 変イ長調 op.72/11
バラキレフ:イスメライ(東洋風幻想曲)

(アンコール)
ラフマニノフ:ヴォカリーズ
リムスキー=コルサコフ:熊ん蜂の飛行
曲目不明      

 
 

 ガヴリリュクは2006年1月に、新潟市の「りゅーとぴあ」でリサイタルを行っており、そのすばらしい演奏は音楽仲間の間では語りぐさとなっていましたが、私は仕事の都合で聴くことは出来ませんでした。何とも悔しい思いをしたので、次に新潟に来るときは是非とも聴かねばと思い続けていました。そんなおり、このコンサートがあることを知り、大変楽しみにしていました。幸い今日は柏崎への出張があり、帰り道に立ち寄って聴くことができました。それにしても、どうして新潟市でコンサートをしてくれないのでしょうね。長岡としても、どうしてリリックホールじゃなくて、中之島なんでしょうね。と疑問は湧きましたが、中之島見附ICからすぐなので、逆に行きやすくて良かったです。
 ということで、雨の中出張帰りに立ち寄りました。今日は冷え込みが厳しく、いよいよ冬到来という感じでした。午前中は晴れていましたが、寒冷前線の通過で昼過ぎより冷たい雨が降り続き、大荒れです。少し早めにホールに到着し、併設された図書館で時間をつぶして開場を待ちました。

 ホールは500席の多目的ホールで、床の傾斜がほとんどありません。ステージの音響反射板はいかにも仮設という感じです。ピアノはベーゼンドルファー。
 音楽好きには魅力的なコンサートのはずですが、ガヴリリュクといっても一般にはネームバリューは乏しいでしょう。また、長岡市といっても中心部からはかなり離れた旧中之島町にあるホールなので、行きにくいこともあります。そんな悪条件もあってか、客席には空席が目立ちます。しかし、新潟市からの遠征組みも結構おられるようでした。自由席でしたのでほぼ中央の席を確保しました。

 バッハで演奏開始。いきなりのダイナミックな力強い演奏、ホールいっぱいに響く迫力ある演奏にビックリしました。噂通りのすごさです。オルガンではあまりにも有名な曲ですが、オルガン以上の迫力を感じました。これを聴いて今夜のコンサートがすばらしくなることは確信が持てました。
 このヘビー級の演奏に引き続くモーツァルトは柔らかく、ホットするような演奏でした。力や超絶技巧だけじゃなく、繊細な音楽性が豊かなところを見せてくれて、シューベルトもリラックスして聴くことができました。

 休憩後のラフマニノフは力強く、きらびやかで、曲名のように絵画的な印象を受けました。演奏時間の長い大曲で、聴き応えがありました。超絶的演奏に息を呑み、精神的高揚を与えてくれました。続くモシュコフスキー、バラキレフも機関銃の連射の如く鍵盤の乱れうち。ただただ唖然としながら聴いていました。胸は高鳴り、心地よい高揚感を感じ、交感神経は興奮しっぱなしです。血湧き肉躍る演奏に胸がいっぱいになりました。
 
 アンコールのヴォカリーズでほっとひと息継ぎましたが、その後のアンコール2曲(最後の曲名は不明)は再び機関銃の連射。人間業じゃありません。ここまでくると曲芸といっても良いでしょう。参ったとしかいいようがありません。噂に違わぬすばらしいピアニストです。この演奏の前では、芸術性がどうのなどという議論は全く無意味です。スカット爽やか、ストレスは一気に解消です。言葉では表現しがたい実にいい演奏でした。
 神業というべき超絶技巧は大変な驚きでしたが、その裏にある音楽性の豊かさにも感嘆しました。まだ23歳という若さというのもさらなる驚きです。これからどのように羽ばたいていくのか興味は尽きません。

 期待以上のすばらしいコンサートでした。田舎町の小さなホールですが、響きが良くてビックリしました。ベーゼンドルファーの重厚な響きがホールいっぱいに響き渡っていました。重苦しすぎることもなく、クリアな音色でした。ピアノを聴くにはいいホールだと思います。これで2000円とは驚きです。客席も混み合うことがなく、ゆったりと至福の時間を過ごすことができました。このようなすばらしいコンサートを主催された長岡市に感謝したいと思います。

 帰り道も雨が降り続いていましたが、気分は晴れやかでした。
 

(客席:K-11、自由席:2000円)