イタリア・スポレート歌劇場 「セビリアの理髪師」
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2007年6月19日(火) 18:30  新潟県民会館大ホール 
 
 

ロッシーニ:「セビリアの理髪師」全2幕

第1幕 第1場:バルトロ家の前の路上
     第2場:バルトロ家のサロン

(休憩20分)

第2場 第1場:バルトロ家の書斎


指揮:ヴィート・クレメンテ
演出:ジョルジョ・プレスブルガー
舞台美術:ティート・ヴァリスコ
照明:グラツィアーノ・アルベルテッラ
衣装:アンナ・ビアジョッティ(ローマ・オペラ座) 
合唱指揮:アンドレア・アマランテ
チェンバロ:アントネッラ・ポーリ
イタリア・スポレート歌劇場管弦楽団、合唱団

アルマヴィーヴァ伯爵:ジャンルーカ・ボッキーノ
ロジーナ:マリア・アグレスタ
フィガロ:オリヴィエロ・ジョルジュッティ
バルトロ:オマール・モンタナーリ
ドン・バジリオ:カロージェロ・アンドリーナ
フィオレッロ:ジューリオ・ボスケッティ
ベルタ:フェデリーカ・ジャンサンティ
アンブロージオ:イヴァーノ・グランチ
役人:ジューリオ・ボスケッティ

 
 

 久しぶりのオペラです。新潟のような田舎町ではオペラの公演はたまにしかありませんから、選択の余地などありません。もちろん今年初めてのオペラ公演です。最近多数のイタリアの歌劇場の来日公演が行われており、現在も時期を同じくしてパレルモ・マッシモ歌劇場の来日公演が行われている最中ですが、スポレート歌劇場と言われても初めて聞く名前ですし、スポレートという町自身も知りません。全く不勉強でしたが、「イタリア中部、ウンブリア州の古都スポレートに本拠地を置くスポレート歌劇場は、イタリア最高の新人歌手登竜門として知られる伝統劇場」なのだそうで、新潟に昨年来演したサッバティーニもここから世に出たんだそうです。2004年以来の来日で、今回は「日本におけるイタリア2007・春」という催しの一環であり、新潟を初め、全国で15公演、同一演目で開催されます。「すべてが粋! これぞイタリア人によるロッシーニ最高の恋物語」というチラシの文句が期待を持たせます。新潟は最初の公演地であり、前日に公開のゲネプロも行われました。

 出張先から急いで帰って県民会館に駆けつけました。入場するとイタリアの方々がスポレートとスポレート歌劇場のパンフレットを配っていました。
 今回の席は2階席1列目中央のお気に入りの場所です。客席は空席が目立ち、7割程度の入りでしょうか。早々とSS席を買ったのに、安い席でもいい場所がけっこう空いており、少々後悔しました。
 出演者では、メゾソプラノのソニア・ガナッシ、テノールのアントニーノ・シラグーザ、中島康晴が看板のようですが、新潟での出演はなく、プログラムを見ると3番手、4番手の歌手の出演です。日本公演の初日であるので、トップ歌手の出演を期待したのですが、東京公演のために温存のようです。どうせ地方公演はこんなものでしょう。

 さて、いよいよ開演です。県民会館のオケピットは狭いのですが、そこにチェンバロも入っているので、楽団員がすべて入れたのか心配です。照明が落とされ、序曲の演奏が始まりました。小規模編成のためか音の厚みはなく、癖のある演奏で、アンサンブルの乱れもあります。オケの質は良いようには思われませんが、軽快な、いかにもイタリア的な乗りが感じられました。舞台装置は旅公演だけあって簡素です。
 アルマヴィーヴァ伯爵が登場してオペラの始まりですが、声が出ません。音程も、声量も、声質も良くありません。何せ4番手の歌手。公演初日で調子が出ないのかもしれません。大事なアルマヴィーヴァ伯爵がこれではと、ちょっとがっかりして先行きが不安になりましたが、フィガロの有名なアリア「私は町の何でも屋」が見事に決まったので、ちょっと安心しました。その後アルマヴィーヴァ伯爵の声も次第に安定し、熱演ぶりが聴く方に伝わり、耳も慣れてきました。ロジーナやバルトロなど、その他の各出演者はいい歌声であり、早口の歌詞を見事に歌いきって熱演でした。

 不満な点は無いではありませんが、それなりに楽しめた3時間でした。ガナッシとシラグーザで聴いてみたかったなあ、という思いはありましたが、イタリアの歌劇場によるイタリア語オペラですから、本場物を堪能できて良かったと思います。本音を言えばB席5000円でも良かったかな・・・。
 なお、1500円で販売されていた公演プログラムに「ロッシーニ興亡記」、「ロッシーニと台本作家たち」という解説文が載っていましたが、読み応えがあって楽しめました。

 新潟での次のオペラは、12月のレニングラード国立歌劇場の「カルメン」までないようです。早くもチケット発売ですが、今度はどうしましょうかねえ・・。
 

(客席:2階1-33、SS席:13000円)