ロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団
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2006年11月28日  所沢市民文化センター ミューズ  アークホール
 
指揮:マリス・ヤンソンス
 
 
ベートーヴェン:交響曲第8番 ヘ長調 op.93

(休憩20分)

マーラー:交響曲第1番 ニ長調 「巨人」

 
 

 久し振りに東京出張することになり、コンサートはないかと調べてみたら、所沢でこのコンサートがあることがわかりました。完売かと思いきや、チケットを無事ゲットできました。所沢市の主催公演で、料金は安く設定されていました。
 ヤンソンスもコンセルトヘボウも、ミューズも初めてであり、期待がふくらみました。新潟から所沢まで聴きに行くのは私くらいかと思ったのですが、ほかにもいることが判明しました。

 航空公園駅から早足でホールに向かいました。入り口前のツリーのイルミネーションが美しかったです。所沢市民文化センター(ミューズ)は、大・中・小の3つのホールを持つ公共施設です。このうち大ホールがアークホールであり、パイプオルガンを備えたシューボックス型のホールです。ウィーンのムジークフェラインを模したような構造ですが、パイプオルガンの両脇にあるミューズ像が異彩を放つものの、豪華さはありません。明るいデザインで、天井が高く、容積は大きいです。
 今回の席は1階のほぼ中央左よりのまずまず良い席と思います。満席かと思いましたが、ポツリポツリと空席があり、私の隣りも空席でした。

 拍手の中楽員が入場。前半はベートーヴェンの8番です。7番と9番に挟まれて影が薄い曲であり、実演を聴くのは今回が初めてかもしれません。少なくともこの10年は聴いた覚えがありません。
 楽器の配置は第1ヴァイオリンと第2ヴァイオリンが左右に分かれる対向配置。その後方の左手にコントラバス、中央にチェロ、右手にヴィオラが陣取ります。
 ヤンソンスが颯爽と登場し、演奏開始。早過ぎもせず、キビキビとし、軽快な演奏で、爽やかでした。ヤンソンスの指揮ぶりもかっ良かったです。
 ホールのせいかオケの音はやや軽かったです。残響は多いのですが音の厚みが感じられませんでした。各楽器の音の分離は良く、鮮明でしたが、マスとしての音のパワーが薄かったです。我がホームグランドの「りゅーとぴあ」の響きに慣れてしまったせいかな。と、音響面での不満はありましたが、演奏の質は高かったです。小粒ながらも味わい深いこの曲の良さを再認識させてくれました。

 休憩の後、後半はマーラーの1番。前半と違って、オケの配置は通常のよくある配置になっていました。第2ヴァイオリンは第1の隣りに移り、右側前方にはヴィオラ、その隣りにチェロが陣取りました。コントラバスは右奥に移動していました。
 この曲は1週間前に京響で聴いたばかりです。当然ながら、演奏の質は違います。ときにアレッという場面もないではなかったですが、音もアンサンブルも京響とは格の違いを見せました。メロディの歌わせ方はさすがです。
 ただし、前半同様に、ホールの特性によるのかもしれないですが、強奏の場面でも音は濁らず、これはいいことなのかも知れず、ヤンソンスのめざすところなのかも知れないですが、逆にホールを満たす音の洪水に身をゆだねるという感慨は得られませんでした。各楽器の音としてはすばらしく、クリアでしたが、ズシリと腹に響くオーケストラの迫力は感じられませんでした。
 まあ、これは個人的好みであるので、意見は分かれようと思います。もうひとつ不満は、最後のクライマックスでホルンが起立しなかったこと。やっぱり最後は視覚的にも爆発してくれなきゃ・・。過度に感情移入せず、力任せでない、抑制の効いた名演という言い方もできよましょうが、もう少し燃えてもいいのじゃないかという気もしました。

 総じて音についての不満はあったのですが、演奏そのものはすばらしかったです。ヤンソンスの指揮ぶりの見事さにも感銘しました。はるばる所沢まで繰り出した甲斐があったというものです。
 何度もカーテンコールがされ、楽員が引き払った後もヤンソンスはステージに呼び戻され、花束を受け取ったりしていましたが、結局アンコールなしでお開きとなりました。伝え聞くところによると、サントリーホールではアンコールを2曲もやったそうで、ちょっと残念でした。どうも次の予定があるらしく、ホール横には楽員を運ぶと思われる観光バスが待機していました。

 終演後新潟から聴きに来た音楽仲間と落ち合って、音楽談義をしながら帰路につきました。ホールの響きが良くないというのは意見が一致。今度は「りゅーとぴあ」で聴いてみたいなあ。

(客席:1階17−5、S席:15000円)