東京交響楽団 第28回新潟定期演奏会
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2004年10月10日 新潟市民芸術文化会館 コンサートホール
 
指揮:大友直人
ピアノ:辻井伸行
 
モーツァルト:ピアノ協奏曲第20番 ニ短調 K.466

(休憩20分)

ブラームス:ドイツレクイエム 作品45

       ソプラノ:菅 英三子
       バリトン:甲斐栄次郎
       唱:にいがた東響コーラス(合唱指揮:栗山文昭)

 
 
 

 台風が過ぎ去り、青空が心地よい日曜日の昼下がり、ゆったり気分でりゅーとぴあに赴きました。今回は公開リハーサルからの参加です。
 13時過ぎにホールに着くと、すでに開場待ちの行列ができていました。3階席が解放され、Iブロックに席を取りました。

 まず、ドイツレクイエムからリハーサルが始まりました。合唱団はオケの後方にぎっしりで壮観です。今日のコンミスは大谷さんですが、髪をショートカットにして若々しいお姿でびっくりしました。
 大友さんが登場して演奏開始。合唱のハーモニーが美しく、オケのサウンドも柔らかく、弦が美しかったです。パイプオルガンの重厚なサウンドがオケを支え、疲れた心を癒します。宗教的すぎず、劇的な音楽がホールを埋め、感動へと誘います。独唱の菅さん、甲斐さんもすばらしい美声を披露してくれあしたが、出番が少なかったのが残念です。リハーサルはオルガンの音量の調整のやりとりがありましが、特に目立った指示もなく、何カ所か演奏の確認をして終了しました。

 続いて、合唱団が退場し、ピアノが搬入されて、モーツァルトのリハーサルです。大友さんに導かれて辻井さんが登場。力強い、ダイナミックな演奏です。1音1音がしっかりとしており、自分の音楽世界を形作っていました。自作のカデンツアも魅力的。16歳の高校生というのは驚きであり、ましてや目が不自由というハンディキャップを持っているとは信じがたいです。途中で止めることもなくリハーサルは終了し、楽員からも拍手が沸きました。

 15時半にリハーサルは終了し、秋晴れの屋上空中庭園を散策して時間をつぶしました。ここから見る新潟の町並みは美しいです。眼下にはゆったりと流れる信濃川。水上バスが川を上っていきました。その先遠くに見える弥彦、角田の山並みのシルエットが美しいです。快晴の空、心地よい風。5月と並んで、新潟の一番いい季節です。

 さて、再びホールに戻って、大友さんと合唱指揮の栗山さんによるプレトークを聴き、いよいよ本番です。ホールはいつもながら3階席横とP席に空席が目立ちますが、S席エリアはほぼ満席です。このへんは固定客で占められているのでしょう。

 大友さんに導かれて辻井さんが登場。その姿はやはり16歳ですが、演奏はリハーサルと同様に、音がしかっりとした力強い演奏です。若さは感じさせず、堂々たる演奏。その分軽妙さには欠け、新鮮な驚きはないですが、熱のこもった演奏に心が揺さぶられました。まだまだこの若さ。天才の登場に拍手を贈りたいです。これからの発展がますます期待されます。

 休憩の後、ドイツレクイエム。ゲネプロを聴いていますので、新鮮な感動は薄れてしまいましたが、にいがた東響コーラスの熱演に感動しました。はじめから終わりまで合唱ばかりのこの曲。よくぞここまでと感激しました。独唱の菅さん、甲斐さんの歌声は、やはり美しく感動的であり、もっと聴きたい衝動にかられました。オケの演奏もすばらしく、柔らかなきれいなハーモニーを聴かせてくれました。パイプオルガンも劇的効果をあげるのに貢献していました。

 先回の定期は「はずれ」でしたが、今回はすばらしい内容の好演でしたた。イメージチェンジした大谷さんの存在も大きいものと思われます。

 さすがにゲネプロから本番を聴き通すと疲労感を感じます。でも心地よい疲労です。外に出るともう真っ暗。日はどんどん短くなっています。秋は深まり、冬へと向かっていることを実感しました。
 

(客席:2階Cブロック*−*)