マルタ・アルゲリッチ&ヨーロッパ室内管弦楽団
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2000年10月26日 新潟市民芸術文化会館 コンサートホール
 
指揮:エマニュエル・クリヴィヌ
ピアノ:マルタ・アルゲリッチ
 

R.シュトラウス:メタモルフォーゼン(変容) 〜23の独奏弦楽器のための習作

シューマン:ピアノ協奏曲イ短調 op.54 (ピアノ:マルタ・アルゲリッチ)

(アンコール) スカルラッティ ピアノ・ソナタニ短調より       

(休憩)

ベートーヴェン:交響曲第7番イ長調 op.92

 
 

 
 
 新潟の音楽界にあっては今年の目玉のコンサートではなかろうかと思います。個人的にはそう思って大変楽しみにしていました。
 職場を早めに出て余裕のはずでしたが、北陸道を降りたところで事故による大渋滞に巻き込まれ、結局はギリギリでした。こんなことならパーキングエリアで、のんびりうどんなど食べてるんじゃなかったと思ったのですが後の祭り。息を切らして会場に駆けこんだときには7時を回っていました。ちょうど楽員が入場するときで、ぎりぎりセーフ。

 さて、小編成の弦楽(23人)だけで1曲目の演奏開始。私の息はまだ整わず、ハーハーしたまま。汗もどっと出てきたところ。静かな、心を落ち着かせる弦楽のハーモニー。初めて聴く曲でしたが、R.シュトラウスにこんな曲があったのかと感銘しました。ランニングして高ぶっていた心が安らいでいくのが自分でも分かりました。疲れもすーっと抜けていきました。
 クリヴィヌは指揮棒を持たず、ゲルギエフばりの指さばきで指揮をしていました。曲の魅力とそれを具現化するオーケストラの力量を実感し、1曲目から至福のひとときを過ごすことができました。

 次は、ステージ中央にピアノが運び込まれて、いよいよアルゲリッチです。本当に来るんだろうかと期待と不安を持っていた音楽ファンも多かったようです。会場の緊張感も高まっています。
 入念なチューニングが終わってアルゲリッチ登場。本当に来てくれたんだとひと安心。椅子の高さを暫く調整をして演奏開始。ロングヘアーの黒髪を揺らしながら、力強くダイナミックな演奏。それでいて繊細さも併せ持ちます。残念なことに、私の席(1階13列左寄り)ではピアノが少し響きすぎて濁って聴こえましたが、期待に違わぬ力演でした。クリヴィヌは今度は指揮棒を持ち、オケも負けじと頑張ってくれて、これぞ協奏曲とうなってしまいました。
 会場は割れんばかりの大拍手。満足感でいっぱいでした。深々と体を曲げる独特なお辞儀。カーテンコールが続き、アンコールはスカルラッティ。これがまた超絶的な演奏でますます会場は熱狂しました。拍手が収まらず、アルゲリッチがコンサートマスターに退席を促して、ようやく休憩に入ることができました。今日はもうこれで十分という気持ちになりました。

 さて、後半はベートーヴェンの7番。この曲は、この春オーケストラアンサンブル金沢で聴いたばかりです。前半で満足しましたのでオマケという感じで演奏に臨みました。
 第1楽章が始まるとともに、私の認識が間違っていたことに気付きました。なんとも軽快な躍動的な名演でした。第2楽章のアレグレットも美しかったです。そして第3楽章、第4楽章と大爆発。リズムの躍動、狂喜乱舞、精神の高揚、・・・。こりゃすごい演奏だ! こんなすごい7番はカルロス・クライバー以来だ! と、個人的には大満足。クリヴィヌさん、やるじゃない。実は、クリヴィヌといえば、昨年のN響新潟公演を指揮して、がっかりしていたので、あまり期待していなかったのです。ところがどっこい、アルゲリッチ以上の好演だったのではなかったでしょうか。私の席ではオケは少し粗っぽく聴こえましたが、爆発するエネルギーに圧倒されました。時刻はもう9時半。拍手は鳴りやまなかったですが、アンコールなしでコンサートは終了しました。

 さて、1階席から退場するとき思わぬ幸運に出会いました。何とあのアルゲリッチが1階席裏の通路を係員に誘導されながら歩いて来るではないですか。ステージ衣装のままです。肩が擦れ合うような至近距離ですれ違いました。意外に小柄なのに少し驚きました。何やら話しながら歩いていましたが、聞き取れた言葉は、 I'm so hungry。 
 新潟でこのような演奏会を聴けて大満足です。私のお腹も so hungry。パンをかじりながらルンルン気分で柏崎への帰途につきました。