ホールのピアノ


 コンサートでは演奏者が自分の楽器を持ち歩くのが普通ですが、ピアニストだけはそうはいきません。自分専用のピアノを会場に持ち込む巨匠もありましょうが、通常はホールにあるピアノを弾くことになります。ピアノ毎で微妙な音色の違い、鍵盤のタッチの違いがあるでしょうから、ピアニストも大変と思います。
 コンサート用のピアノといえばスタインウェイのフルコンサートピアノ、型番で言えばD274。もはや定番ですね。これ以外のピアノを聴くのはまれとも言えます。最近ではヤマハやカワイも台頭してきているようですが、スタインウェイの厚い信頼を突き崩すのは大変だと思います。
 世界的にはスタインウェイ、ベーゼンドルファー、ベヒシュタインが3大ピアノだそうですが、いつも聴くのはやっぱりスタインウェイ。ということで、実際に新潟のホールのピアノはどうなのか調べてみました。

 まずは、私のホームグランドともいうべきりゅーとぴあ。ここにはスタインウェイD274が2台あるほかにベーゼンドルファーのModel290インペリアルが1台、さらにヤマハとカワイのフルコンサートピアノがあります。さすがに多種を備えていますが、これまでスタインウェイしか聴いたことがないような気がします。ベーゼンドルファーを聴く機会はなかったように思います。
 ちなみにこのインペリアルはベーゼンドルファーの最上位機種で、通常の88鍵の下にさらに鍵盤があり、全部で97鍵を有するものです。その豊潤な響きを聴いてみたいものです。
 ほかのホールでは、新潟県民会館にはスタインウェイ2台にヤマハ、カワイ、新潟市音楽文化会館にはスタインウェイ2台にベーゼンドルファー・インペリアル、ヤマハ、新潟テルサにはベーゼンドルファー・インペリアルにカワイがあります。だいしホールにはベーゼンドルファーがありますが、インペリアルではなく、その下の機種であるModel275です。その他のホールでも白根や巻のホールではスタインウェイです。
 こうしてみると新潟市内にはいろんなピアノがあることに気づきました。ピアノの演奏や音色を評価するとき、ピアノの種類や調律という点にも注意しなければいけないなあ、と感じました。

 さらに新潟市以外のホールについて調べてみたら、さすがに長岡リリックホールにはスタインウェイが2台あり、ヤマハもあります。特色ある公演で注目され、CD録音にも利用される小出郷文化会館にはスタインウェイのほかにベヒシュタインとヤマハがあります。その他やっぱりスタインウェイが中心です。
 しかし、ベーゼンドルファー・インペリアルがあまりにも多いことに驚きました。東京以外でこれだけ集積している県は新潟県くらいじゃないでしょうか。誰がピアノを選定したのかは分かりませんが、ちょっとビックリしました。
 見附市文化ホール、五泉市さくらんど会館、聖籠町文化会館、村上市民ふれあいセンター、ハートピア中郷、アミューズメント佐渡などにインペリアルがあります。だいしホールや中之島文化ホールには275があります。
 中でも見附市文化ホール・アルカディアのインペリアルは、世界的ピアニストのパウル・バドゥラ=スコダが、数あるインペリアルのなかからアルカディアのために選んだんだそうです。

 インペリアルにしろスタインウェイD274にしろ、値段は1800〜1900万円位します。国産でもフルコンサートとなると1000万円以上します。よく考えてみるとみんな税金で買ってるんですよね。新潟市のようにしょっちゅう使用されていればいいのですが、地方では年に数回しか催し物がない場合が多いので、有効活用して欲しいものです。
 また、ピアノは生き物であり、寿命があります。メンテナンスされなければどんどん劣化します。新潟県内のホールのピアノは古くなったものも多いようです。どのように手入れされているかも大変気になります。

2007/8/5