C鑑別すべき状態
閉じこめ症候群:眼は動かすが無動・無言。四肢の完全麻痺。橋底部の梗塞性病
変によるものが知られている。動眼神経、滑車神経は保たれるので眼は動く
が、それ以下の運動神経系は遮断されるので顔面・咽頭・四肢は全く動かな
い。感覚系は保たれ、網様体賦活系は障害されないので意識は清明。睡眠・
覚醒のリズムはあり、脳波は正常。
D脳死とは
大脳・脳幹を含めた脳機能が不可逆的にすべて失われた状態。植物状態とは全く異
なる。当然深昏睡であり、脳幹反射は失われ、自発呼吸はない。脳波は平坦。こうい
う状態が不可逆的に持続していることを確認してはじめて「脳死」と判定される。大脳・
脳幹が生きていないということをいかに正しく判定するかが問題である。脳死の判定
基準、脳死を人の死としていいか、などの問題が臓器移植とからんで社会問題となっ
た。
3.意識障害の原因
大脳や脳幹を直接障害する頭蓋内疾患の他に、脳神経機能を二次的に障害させる種
々の全身性の異常が原因となる。
頭蓋内病変:脳血管障害、脳腫瘍、脳外傷、脳炎、髄膜炎など
全身性病変:循環器・呼吸器疾患による脳の低酸素、電解質・浸透圧異常、
糖代謝異常(高血糖・低血糖)、内分泌異常、薬物中毒 など
4.意識障害患者のみかた
@全身状態の把握
生命徴候(vital sign)のチェック:呼吸、脈拍、血圧、体温
救命救急処置と並行して進める。
A情報収集:発症の状況、既往歴、基礎疾患
B意識レベルの判定:意識障害の種類と程度を判定する。
開眼しているか、呼びかけに答えるか、刺激に反応するか。
意識混濁か意識変容か。
3-3-9度方式
グラスゴー・コーマ・スケール
C麻痺症状、脳局所症状の有無
D眼球運動、瞳孔、各種反射:脳幹の反応があるか重要
E呼吸の型
チェーンストークス呼吸:過呼吸と無呼吸を繰り返す。
中枢神経原性過呼吸
失調性呼吸