壮年期以降の健康管理について

かんぽの宿柏崎での講演ノート


1.本日の講演について

 壮年期以降を健康に過ごすには、どのような点に注意したら良いのか、今回は特に日々の生活習慣(ライフスタイル)の重要性、精神の健康の大切さについてお話ししたいと思います。自分の健康は自分で維持しなければなりません。積極的な生活姿勢が何より大事です。ここに話を聞きに来て下さった方々は、自分の健康について少しでも気にかけておられるわけで、それはすばらしいことだと思います。こういう場に積極的に参加しようとする姿勢、生き方が健康維持に重要なのです。

2.健康を維持するために

 健康の維持ということには、肉体的な健康だけでなく、精神的な健康も含まれます。体の病気がなくても苦しむ人もいますし、病気を持っていても楽しく過ごしている人もいます。気持ちの持ちようというのも大事です。人間には寿命があります。いつか必ず何かの病気になり、死んでいきます。自分の寿命は神のみぞ知るで、誰にも分かりません。でも、自分の寿命を延ばす努力はできます。少なくとも寿命を縮めること、体に害になることを避けることはできるはずです。自分の人生、どうせ生きるなら、生きがいを持ち、元気に楽しく過ごしたいものです。

(1)肉体の健康

1.こわい成人病(生活習慣病)

 がん、心臓病、脳血管障害、これが現在の日本人の3大死因であり、3大成人病と呼ばれるものです。
この問題については度々話題にのぼる問題ですので、本日は詳しく述べませんが、成人病予防のポイントについては、後でお話ししたいと思います。

2.成人病(生活習慣病)の危険因子(リスクファクター)

 高血圧、肥満、高脂血症、糖尿病、タバコなど、成人病の危険因子がいくつか知られています。これらを減らすことが大切ですが、これは各個人の毎日の生活の仕方に関わります。病院での治療のみならず、自分の健康を自分で管理する姿勢が重要です。

3.定期的な健康診断で健康状態の把握と病気の早期発見

 血圧、脈拍、血液検査、尿検査、便検査、心電図、レントゲン検査、眼底検査、がん検診などで自分の健康状態を知ることが大切です。基本検診として義務付けられていますが、受けない人もおられます。検査を受けようという気持ちが、健康の自己管理の第1歩です。

4.自分自身での健康チェック

 体重、体温、脈拍、血圧、尿・便、これらは日々の生活の中で、自分で簡単にチェックできます。あまり神経質になることはありませんが、たまには自分の健康状態に気を配ろうとする生活姿勢が大切です。

5.生活の中での健康作り

@正しい食生活

 成人病の予防、健康の維持に重要です。
コレステロール、エネルギーの摂りすぎに注意する。
塩分の摂りすぎに注意する。
カルシウム不足にも注意する。

A適度な運動
 使わない機能は衰えます。骨も弱ります。脂肪もたまります。使わないために機能が衰えることを廃用症候群といいます。運動をしている中高年は長生きをします。運動は筋力・持久力を付けるだけでなく、心肺機能を改善し、関節の動きを良くし、骨を丈夫にします。神経の活動も高め、ボケの防止になります。ストレス解消にもなります。さらに生きがいのある生活にもつながります。

B休養と睡眠
 疲れた体、脳を休ませ機能を回復させることが大切です。不眠で悩む人もいます。年をとると、生理的に睡眠時間が短くなります。寝付きが悪い、眠りが浅い、途中で目覚める、朝早く目覚めるというのは、誰にでも現れる生理的現象で、心配はいりません。
 しかし、良い睡眠をとるためには、適度な仕事や運動、趣味・娯楽による気分転換、寝具・寝室などの環境整備など生活全体のバランスをとり、良い生活習慣を作ることが重要です。
 それでも不眠に悩むようでしたら、医師に相談して下さい。本当に不眠なのか、原因は何かなど確かめることが重要です。必要により睡眠導入剤もあります。医師の指示通りに使う限りは安全です。

C精神的疲労の解消
 不満やイライラの解消、気晴らしが重要です。ストレスの原因は多様であり、ストレスに対する反応も個人によって違います。ストレスを上手に処理するコツを身につけることが重要です。周囲の信頼できる人に相談したり、趣味を生かしたりスポーツをしたり、心身をリラックスさせる手技を身につけたり、必要なら専門医に相談したり、ということが大切です。

6.老化に伴う問題

脳の老化:痴呆(いわゆるボケ)
骨の老化:骨粗しょう症
目の老化:白内障、緑内障
歯の老化
 これらの老化に伴う諸問題は、誰でも避けて通ることはできません。しかし、老化を遅らせる努力、生じた問題の解決が大切です。

(2)精神の健康

 これまでにも述べたように、肉体の健康を保つには、精神も健康でなければなりません。老年期になると、必然的に失うものが多くなります。家族、仕事・収入、家や社会での地位・役割、心身の健康、生きがい、友人、人間関係などいろいろ失うものがあります。さらには知的能力や自分の生活史を失ったり(健忘)します。これらの喪失感が生きる不安(存在不安)につながります。具体的には、ストレス、心身症、神経症、うつ病、不眠などが問題となります。生きがいを持つこと、積極的に外にでること、必要によって専門医の診察を受けることなどが重要です。

(3)結局どういうことか

 大切なことは、自分の健康状態を良く知り、生活の中で自己管理することです。努力なしの健康はあり得ません。何の努力もなく、目的を持たず家の中でゴロゴロと生活することが病気のもとになります。閉じこもり生活ではいけません。病気や障害を持ったとしても、自分でできることは自分ですることが大切です。

 刺激のない生活→運動不足→疲れやすい→横になる→体力低下→疲れやすい→横になる→
      ↓                       ↑
        → → することがない → → →

 こういう悪循環を作ってはいけません。自分で自分の生活習慣を見直すことが大切です。たまには「かんぽの宿」に来られ、友人と語り、おいしいものを食べ、温泉でゆったりする、そして、こうやって医者の話でも聞いてみる、こういうことが大切なんだと思います。

3.ぼけないために

 これまで一般的な健康管理についてお話ししました。次に成人病と並んで、高齢化社会では避けて通れない「ぼけ:痴呆」の問題に触れたいと思います。これからお話ししますが、「ボケ」も毎日の生活の仕方(ライフスタイル)と密接に関わっているということを強調したいと思います。

(1)老年期にみられる痴呆

 老年期にみられる痴呆の原因として多いものには、老年痴呆(アルツハイマー型老年痴呆)と血管性痴呆があります。老年痴呆は原因不明に神経細胞が変性・脱落し脳萎縮が進行する病気です。65歳以前に発症した場合はアルツハイマー病として区別していますが、病理学的には同じ病気です。一方血管性痴呆は、脳梗塞、脳出血などの脳血管障害に伴って生じる痴呆です。

(2)老年期痴呆の危険因子とライフスタイル

 ある疫学調査の結果によると、老年痴呆の危険因子として、@精神社会的不活発、A運動の不活発、B頭部外傷、C歯牙喪失、D低学歴があげられています。また、血管性痴呆の危険因子としては、@精神社会的不活発、A運動の不活発、B脳卒中、高血圧、糖尿病の既往、C検診不受診、D低学歴が上げられています。両者に共通する問題点として、特に「若いときからの精神社会的不活発」「運動の不活発」が問題であることが明らかにされました。

(3)痴呆予防の10カ条

 上記の調査結果を踏まえて痴呆予防の10カ条(案)が提唱されています。

   1.いつまでも 興味をもって 学びましょう
   2.趣味をもち 豊かな老後を 迎えましょう
   3.友達を ふやせ心の 枝伸ばせ
   4.無理せずに 運動すれば よい刺激
   5.頭への けがや衝撃 痴呆の原因
   6.歯を守り おいしく噛んで よい一生
   7.成人病 防いで脳も 健康に
   8.検診は 痴呆の頼れる 防波堤
   9.物忘れ ひどくなったら 相談を
  10.ボケ治療 一歩退き 二歩前進

(4)具体的対策

 具体的な注意点について述べたいと思います。

1.高血圧・動脈硬化対策
 塩分制限、食事療法、運動など。他の成人病(生活習慣病)の予防と同様の注意が大切です。

2.頭部外傷などの脳の器質性傷害の予防
 上記の疫学調査の結果から、頭部外傷は痴呆の非特異的危険因子であることが明らかにされました。

3.若いときからの精神・運動の活性化
 使わない機能は衰えるということは自然の摂理です。脳の活性化が重要です。脳を使わないと脳代謝が減少し脳血流が減ります。それがまた脳機能の低下を助長します。

4.歯の保存
 疫学調査によると、老年痴呆、血管性痴呆の人は歯の喪失が多いというこが明らかにされています。単に栄養低下といことでなく、咀嚼運動の低下や歯からの慢性知覚刺激の欠落による脳代謝低下などが関わるものと推測されます。

5.生きがい対策
 生きがいのある活発な精神・社会活動が重要です。生きがいを持つためには、心の健康も大切です。

6.生活の仕方
 @気軽に、無理せず、おおらかに、「我が道を行く」の精神で活動に打ち込むこと。
 A自らをみがく60の手習い。
 B自分に合ったレクレーション活動をさがす。
 C心のふれあいをの場を持つ努力:進んで仲間に入り社会参加を。
 D常に新しいことを求めて。
 E積極的に街に出る。
 F健やかに老いる:十分な栄養、適度な運動、休養・睡眠
 G自分の健康を知る努力:定期的な健康診断、日常生活の健康チェック。

4.まとめ

 自分自身の生活の姿勢がいかに大切であるか、ご理解いただけましたでしょうか。間違った生活習慣が万病のもとになり、老化もすすめてしまいます。安楽だけを求めていてはいけません。楽なことに一度慣れてしまうとそれ以上のことができなくなってしまいます。使わない機能は衰えます。肉体だけでなく精神も同様です。肉体より心が先に衰えてしまってはいけません。これからも元気で楽しく暮らしていけるよう頑張りましょう。

成人病の予防について

 これまでは、壮年期・老年期の健康維持全般に渡って総括的なお話をしてきました。残った時間は、成人病の予防について個別にお話ししたいと思います。

1.がんの予防

(1)がん発病のメカニズム

 がん細胞は体の中のどこかに常に発生していますが、体の免疫力によって破壊され、増殖することはありません。しかし、体の免疫力、抵抗力が低下したときや体の抵抗力以上にがん細胞が発生すると、がん細胞が増殖し、がんが発病します。

(2)がんを予防するには

1.がん細胞発生の原因となる発がん物質を避ける。
 禁煙、刺激物を避ける。日焼けのしすぎに注意。かびや焼け焦げに注意。その他ダイオキシンなどの発癌性物質の危険が話題になっています。後で述べますが、生活習慣の改善が重要です。

2.がん細胞を駆逐する抵抗力、免疫力をつける。
 バランスのとれた栄養、食べ過ぎ・太りすぎに注意、適度の運動、規則的な生活、精神の健康など、これまた生活習慣が重要です。

(3)早期発見

 がん検診の有用性は確かです。早期発見に勝る治療はありません。検診は無駄だと主張する医師があり、著書がベストセラーになったりしていますが、一般的には検診は重要だと思います。

(4)ライフスタイルとがん

 成人病全般にも言えることですが、生活習慣とがんの発生は密接です。特に喫煙の影響は最も重要です。日本人の肺癌の2/3は喫煙によると考えられています。その他にも喫煙は、口腔咽頭癌、喉頭癌、食道癌、膵臓癌、膀胱癌、子宮頚癌などの危険因子となっています。その他、食生活の重要性が指摘されています。米国の研究によれば、癌の原因は、1/3が喫煙、1/3が食物によるといいます。以下、その研究による生活上の注意点を紹介します。

1.植物性食品を基本とした、栄養的に適切で多種類の食物を摂ることが大切
 多種類の野菜、果物、穀物、でんぷん性食品、植物性蛋白などが大切。肉、脂肪は摂りすぎない。塩分摂りすぎない。カビに注意。添加物は適正な使用である限り問題はないが、全く安全とは言い切れない。焦げたものは食べない方がよい。

2.正常体重の維持
 肥満もやせもよくない。
 BMI(体格指数)=体重kg/(身長cm)2 を18.5〜25の範囲内に維持する。

3.身体活動の維持
 活動的なライフスタイルが大切。激しい運動もときに必要である。

4.飲酒は勧められない
 酒1合、ビール中瓶1本以下に抑える。(女性はその1/2)

5.禁煙
 生産、宣伝、販売、喫煙を抑制しなければならない。

2.脳卒中の予防

(1)脳卒中とは

 脳梗塞(脳血栓、脳塞栓)、脳出血、くも膜下出血 などがあります。

(2)脳卒中発作の引き金

1.脳卒中の危険因子(リスクファクター)

 これは心筋梗塞の危険因子とも共通しますので、予防としては同様に考えて下さい。

@高血圧
 高血圧の人は5-10倍の発生頻度。血圧は急に下げない、減塩が基本。急な降圧は脳梗塞の誘発に危険がある。

A心臓病
 弁膜症、不整脈。

B糖尿病
 脳梗塞の発生率は2倍。糖尿病の人は、肥満、高血圧、高脂血症の人が多いのも問題である。糖尿病患者の死因として脳卒中が多い。

C高脂血症、高コレステロール血症
 コレステロール低値(栄養不良の反映)はむしろ脳出血の危険因子となるが、高値は脳梗塞の危険因子。HDLコレステロールは高いほど良い。

Dその他
 加齢、肥満、脱水、喫煙、痛風(高尿酸血症)、経口避妊薬(ピル)など。

2.日常生活の中での危険因子

@寒さと急激な温度変化

 寒い時期は暑い時期の1.5倍の発生頻度。対策としては、夜間のトイレは丹前やガウンを着る。トイレの保温。朝の洗顔はお湯使う。入浴の脱衣は暖かい部屋で。血圧の高い人は1番風呂避ける。薄着で急に寒いところに出ないなど。

A過度のストレス
 くよくよしない。気分転換。

B過労
 眠不足、深酒も良くない。

C用便
 便秘しないように。線維質の多い食物が良い。いきむと血圧上昇→発作を誘発(くも膜下出血の20%は用便中。)

D食生活のアンバランス
 塩分、栄養素の偏り。

E脱水
 水分が足りないと血液が濃くなりつまりやすくなる。特に夜間の水分に注意必要。発汗時の水分補給も大切。

F酒
 適度の酒(日本酒1合、ビール1本)はHDLを増加させ、動脈硬化の予防になるが、量が過ぎれば毒でしかない。

G喫煙
 喫煙の害は言うまでもない。

3.予防

@危険因子の管理、治療

 上記の危険因子を減らしていくことが基本となる。

A年に1回は健康診査
 血圧、検尿(腎臓病、糖尿病)、心電図、眼底(動脈硬化の進み具合)、血液(コレステロール)、体重、問診など。

B薬物療法
 基礎疾患の治療
 血栓症予防薬:抗血小板剤、抗凝固剤、EPA、DHA

(3)脳卒中患者の在宅生活の注意点

 脳血管障害の後遺症は、これから一生つき合っていかなければならない問題であり、後遺症を回復させ、廃用症候群を招かないためには、家庭に帰ってからでも病院で習った運動療法を日常行うことが大切です。動きすぎて失敗する例より、動かずに廃用症候群を起こす例が圧倒的に多いのです。
 再発予防のためには、危険因子を減らすことを徹底して行うことにあります。すなわち、高血圧・糖尿病などの合併症があれば、食事療法を徹底し、必要に応じ薬物療法を受け、タバコを止め、アルコールは程々にし、脱水に注意し、精神的ストレスや肉体的疲労を避け、適度の睡眠をとり、入浴はぬる目のお湯でなが湯を避け、できるだけ長期に根気よく薬物療法を続けることが大事です。自分でできることまでを他人に頼り、いたずらに悲観ばかりして自分であまり動かない例も多くみられます。

 脳卒中患者は歩かねばならない。
 脳卒中患者は病気に甘えてはならない。
 脳卒中患者は怠けてはならない。
 失った物を嘆かずに、残った物を鍛えよ。

3.血圧について

(1)血圧とは

 心臓から押し出された血液が血管の壁に作用する力(圧力)をいいます。心臓が収縮して血液が押し出されたときに最も強い圧がかかります。これを収縮期血圧(最大血圧、最高血圧)と言います。また、心臓が拡張して心臓に血管から血液が流れ込んだとき圧は最も弱くなります。これを拡張期血圧(最小血圧)と言います。140/80などというのは、収縮期血圧が140、拡張期血圧が80ということです。単位はmmHgです。これは、血圧計の水銀の高さが何ミリまで上がるかということで圧を表しています。

(2)血圧は絶えず変動する

 血圧は生活の中で20-30mmHgは変動するのが普通です。したがって血圧を測るときはいつも同じ条件で測らないと比較できません。血圧計の種類によっても若干の差は出ます。
 血圧の上昇は、運動、精神的興奮、不安・心配事、トイレでのいきみ、車運転などで起こります。一方血圧の低下は、くつろいでいるとき、精神的にリラックスしたとき、軽い運動をしたとき、適温で入浴したときなどでみられます。酒は飲み方で上がったり、下がったりします。

(3)血圧はさまざまな因子で調整されている

 血圧は、心拍出量、血管抵抗、循環血液量、血液粘度、血管壁の弾性、交感神経、昇圧物質、ホルモン、電解質などさまざまな因子で調節されています。

(4)高血圧とは

 WHOの基準で、正常血圧は、収縮期血圧が140以下、拡張期血圧が90以下とされ、収縮期血圧が160以上、あるいは拡張期血圧が95以上の場合を高血圧としています。その中間は境界域血圧としています。40歳以上の1/4が高血圧だといわれています。最近では高血圧の基準をもっと厳しくしようとの意見もあり、米国の指診では、140/90以上は高血圧として治療することを提唱しています。時期をおいて2回以上測定して、160/100以上の血圧が持続して確認された場合は薬物治療が必要です。

(5)こわい高血圧

 境界域血圧の人は、正常人に比べ脳卒中の頻度は2〜5倍、心臓病は1.5〜2倍と言われています。高血圧の人はさらに高く、脳卒中の頻度は5〜10倍、心臓病は2〜5倍です。血圧そのものより、二次的に生じる合併症に注意しなければなりません。脳卒中、心不全、心筋梗塞、腎硬化症などの最大の危険因子は高血圧です。

(6)高血圧予防のポイント

1.減塩
 1日の食塩摂取量は10g以下、高血圧者は8g以下にする必要があります。

2.バランスのとれた食生活
 カロリーを減らせばいいというものではありません。バランスの良い食事が大切です。

3.節酒
 禁酒ということではありません。ほどほどに抑えましょうという意味です。酒1合以下、ビール1本以下に抑えましょう。

4.肥満大敵
 太りすぎはもちろん良くありません。標準体重の115%を超える人は肥満の是正が必要です。対策はカロリー制限が基本です。

5.ストレス解消
 くよくよしない。仕事に打ち込む。暖かい人間関係。生きる喜び。気軽に相談。レクレーション・スポーツ。睡眠。

6.適度な運動
 効果的な運動は、有酸素的な等張運動(歩行、ジョギング、サイクリング、水泳など)で、運動の強さは軽度から中等度、最大心拍数(220−年齢)の70%以下の強度、具体的には運動中に会話ができる程度の強度です。これを1回30〜60分、週3〜5回行う必要があります。

7.禁煙
 喫煙者は血圧が低いという傾向が知られていますが、喫煙の急性効果としては血圧上昇です。喫煙は心筋梗塞をはじめ他の病気の重要な危険因子であるので禁煙すべきである。

8.日常生活は規則正しく
 規則的な生活習慣が大切です。

4.食塩を減らす知恵

  1.味噌汁は身を多く人数にあわせてつくる。
  2.醤油はかけずにつける。
  3.漬け物は各自の皿に取る。
  4.一日一食は味噌汁、漬け物なし。
  5.かまぼこ、ちくわ、ソーセージなど少な目に。
  6.酢、わさび、しょうがなどを上手に利用。
  7.店屋物、インスタント食品は塩分多いので控える。
  8.新鮮な生野菜をたっぷりと。
  9.マヨネーズ、ケチャップなど利用。
 10.味は薄味、手作りの味。

*主な食品の食塩含有量
味噌汁:1.5g、蒲鉾3切れ:1.5g、塩鮭1切れ:4.9g、のり佃煮大匙1杯:2.5g、たくあん3切れ:2g、ハム3枚:1.5g、梅干し1個:2.4g、醤油大匙1杯:3.2g

5.コレステロールを減らすには

 コレステロールには大きく2種類あります。
LDL(悪玉コレステロール):動脈硬化の原因となる。
HDL(善玉コレステロール):余分なコレステロールを肝臓に運ぶ。動脈硬化を抑制。
    LDLが減って、HDLが増えればいいということです。
 血液中の総コレステロールは、220mg/dl以下が目標です。

 生活上の注意点は以下の通りです。

1.エネルギーをとりすぎない
 カロリーを制限して標準体重を目指す。標準体重1kgあたり25〜30kcalとする。

2.脂肪は総エネルギーの20-25%に抑える
 動物性脂肪(飽和脂肪酸、コレステロール多い)より植物性脂肪(不飽和脂肪酸多い)が良い。
 動物性脂肪:植物性脂肪=1:2とする。魚は不飽和脂肪酸多いので良い。(DHA、EPA)

3.コレステロールの多い食品をさける
 1日300mg以下に抑える。(卵黄1個210mg、イカ1/2パイ300mg、エビ中2匹120mg)
 コレステロールが多い食品:バター、しらす干し、うなぎ、すじこ、たらこ、いか、うに、
            甘エビ、レバー、卵

4.甘いものはだめ
 肥満を招き、中性脂肪を増加させる。

5.繊維性食品をとる
 余分なコレステロールを便とともに排出させる作用がある。
 1日10g以上が目標。さつまいも1個5.5g。

6.適度の運動
 日常生活に組み込み毎日行えるような運動がよい。

7.タバコを減らす
 ニコチン、COが動脈硬化と関連している。喫煙者はHDLが少ない。

8.酒は適量に抑える
 適度の飲酒はストレス解消、動脈硬化予防、HDL増加の作用があるが、過ぎれば害になる。

9.薬物療法
 以上のように生活習慣を改善してもコレステロールが下がらないときは、薬物療法を行う。