(1)これまでの治療の試み


 アドレナリン、アミノ酸、グリシン、ビタミンE、ビタミンB1、蛋白同化ホルモン、コルチコステロイド、ヌクレオチド、アロプリノール、ペニシラミン、膵エキス、成長ホルモン、コエンザイムQ10、血管拡張剤、カルシウム拮抗剤、蛋白分解酵素阻害剤(ベスタチン、E-64:EST)、タウリン、セファランチン、ダントロレンナトリウムとこれまでに種々の治療が試みられましたが、無効でした。現在では副腎皮質ホルモン(ステロイド)の使用が試みられています。ステロイドとしては通常プレドニゾロンが使用され、欧米では、その誘導体であるデフラザコートも試用されています。DMDを初め、各種の筋ジスで治療が試みられていますが、投与初期に一時的な筋力増強、進行抑制の効果はありますが持続しないというのが実情です。

治療の現状

 現状では、機能的進行を少しでも遅らせ、機能障害があるならあるなりに、いかに生活を安楽に拡大させるかということが大切です。この意味でリハビリの果たす役割は大きいと思われます。
 また、筋ジスは、決して四肢の筋肉だけの病気ではありません。機能障害の進行の他に、種々の合併症が大きな問題となります。筋ジスとしては避けられない問題ですので、合併症という表現は適切でなく、筋ジスの症状そのものと考えるべきです。筋ジスは全身の病気であり、いろいろな内臓障害を伴います。最も問題となるのは、呼吸不全、心不全であり、これが筋ジスの死因のほとんどを占めます。これらをいかに管理するかで寿命が大きく左右されます。限界はありますが、全身管理をきちんと行うようになって、筋ジスの寿命は従来より確実に延長しています。