チーズ何でもQ&A


最近ナチュラルチーズがブームといわれていますが、プロセスチーズとの違いを簡単に教えてください。また、それぞれの特長は?
  • ナチュラルチーズは、チーズを熟成させる微生物や酵素が活きて、活動しているチーズです。したがって、温度や湿度の影響を受けながら常に変化を続け、チーズのタイプによって、食べ頃の時期が違ってきます。歴史の古いものが多く、バラエティーに富み、それぞれ強い個性をもっています。
  • プロセスチーズは、ナチュラルチーズを砕いて熱をかけて溶かし、殺菌して密閉包装しますので、保存性に優れ、品質も安定しています。また、用途別にいろいろな形のものをつくることができるのも特徴の一つです。

同じプロセスチーズでも買った時によって色が違うのはなぜ?
  • まず、原料になる牛乳ですが、青草を食べる夏と干草を食べている冬とは、乳の色がわずかに違っています。ですから、これを原料にしてつくられるナチュラルチーズの色が季節によって違ってきます。また、ナチュラルチーズは熟成の度合いによっても色が変わります。これらのナチュラルチーズを原料にしているプロセスチーズの色はこうした影響をうけ、少しずつ違ってくるのです。

プロセスチーズを製造する際、乳化剤が必要と聞きますが、乳化剤とはどんなものですか。
  • プロセスチーズの製造には原料チーズを乳化するためにリン酸塩などが使われます。これはたん白質や脂肪の分散をよくし、プロセスチーズの組織を均一で安定した品質のものになるようにするため必要不可欠のものです。
  • FAO・WHOの合同専門委員会報告では「縮合りん酸塩はそのままでは毒性は考えられないし、りん酸化給物はミネラル消耗についてその作用は実験結果からみて影響がない」となっていますし、またカルシウムとの関係、虫歯に及ぼす影響などを調べたが、何らの影響もなかったという実験報告もあります。

チーズに生えたカビは取り除けば食べられるでしようか。また、誤って食べても大丈夫でしようか。
  • 白カビや青カビで熟成させるチーズは、保存状態さえよければ他のカビは生えにくいのですが、開封したプロセスチーズや、ゴーダ、チェダー、グリュイェールといった、固いチーズは表面にカビが生えることがあります。チーズに生えるカビに、まだ毒性のあるものは発見されていませんが、なるべく食べないようにする方が無難でしょう。カビを注意深く取り除けばチーズは食べられます。

ナチュラルチーズとプロセスチーズの保存方法の違いを教えてください。
  • プロセスチーズは、開封前なら5℃前後で1年位は持ちますが、開封すると切り口が乾燥してきますので、ラップを切り口にピッタリとはりつけて乾燥を防いでください。
  • ナチュラルチーズでも、特に柔らかいタイプのチーズは乾燥しやすいので、タッパーなどの密閉容器にレタスの葉などと一緒に入れて保存するか、ラップをして、冷蔵庫の野菜室に保存してください。
  • ナチュラルチーズには食べ頃がありますので、あまり長く置くと過熟して風味が悪くなるものもあるので要注意。
  • 固いタイプのものは、熟成がゆっくりしているため、冷蔵保存すれば長持ちしますが、表面にカビが生えやすいので、ウィスキーやブランデーなどで表面を拭いてからラップすると、ある程度カビは防げますし、風味もよくなります。

粉チーズの匂いが気になるのですが、弱いものは無いのでしょうか。
  • 粉にしてお料理に使う、イタリアの代表的な超硬質チーズのパルメザンはイタリア人に最も愛されているチーズの一つですが、強い個性のある香りと濃厚な味が特長です。慣れると、この香りが食欲をそそりますが、日本人にはまだ強すぎるという方が多いようです。そんな人のために、匂いの弱いプロセスタイプの粉チーズも市販されています。

チーズフードとチーズはどう違うのでしょうか。
くわしくは「表示に関する公正競争規約」に定められていますが、
  • チーズフードとは製品中にチーズが51%以上含まれ粉乳、乳糖など「乳」由来のもの、あるいは「乳」に由来しないたんぱく質、脂肪、炭水化物など(重量の10%以内)や香辛料、調味料など(水分以外の成分の1/6以内)を加えてつくられた食品です。
  • これに対し、チーズは「乳」以外のたんぱく質、脂肪、炭水化物などを混ぜていないものと規定されています。
  • 尚、プロセスチーズに調味料や香辛料を加えるときは、水分以外の成分の1/6以内でなければなりません。

ストリングチーズが裂きいかのように裂けるのはなぜですか。
  • ストリングチーズは、イタリアのモツァレラチーズと同じく熟成させないタイプのナチュラルチーズです。つくり方は、熱で溶かすと糸を引く性質を利用して、チーズをお湯の中で温めて練り、引っ張って冷やすと、伸びた部分は一定の方向性を持った繊維状になります。このような原理を利用してつくったのがストリングチーズです。繊維状になったチーズは、糸のように細く裂け、シコシコした独特のおいしさになります。添加物は加えていません。

チーズによっては塩味の強いものがありますが、塩分を控えることはできないのでしょうか。
  • ナチュラルチーズの中で、例えばブルー系のチーズは、塩分が強くなっています。これは、このチーズがうまく発酵、熟成するためには、塩分がどうしても必要なのです。もし塩分を低くしてつくると、うまく発酵せず、ブルーチーズの特長を備えたチーズはできません。塩はこのチーズにとって重要な役割を持っているのです。
  • プロセスチーズをつくるとき塩は加えませんが、原料のナチュラルチーズに由来する塩分相当量は2.8%です。参考までに他の食品と塩分相当量を比較すると、
    スライスチーズ1枚(199) 約0.59
    食パン    1枚(6枚切り)約1.39
    スライスハム 1枚(309) 約0.89