駅の隅に自分の鞄がある。枕や本も置いてある。線路の代わりに川が流れている。川に沿ってあぜ道がある。向かいの岸の家の庭。こいのぼりが置いてある。川から白と赤のまだら模様の鯉が上がってきて、こいのぼりをまたいで川に戻る。日が暮れてきた。私は荷物をまとめ、あぜ道を歩く。100メートルもしない所に私のアパートがある。窓から自分の部屋に入る。持ってきた枕を置く。ラジオドラマをやっている。谷間に取り残された男女の話だ。原作は内田春菊らしいが、こんな話はなかったはずだ。聴きながらうとうとする。