個人的おすすめ本のページ

 シリーズ小説


 さて、ジャンルを問わず、気に入っているものからどんどん紹介しましょう。


 最初はやっぱりグインサーガ(1983−) 栗本薫、ハヤカワ文庫。主に剣と魔法と王女の世界をヒロイックファンタジーと呼びますが、国内ではこれを越える作品はまず出ないでしょう。世界観にはまると、読み始めるとすぐに作品世界へ入れます。私は中一の時から延々読んでますが、今でもやっぱり好きですね。全100巻目指して刊行中ですが、今現在本編72巻、外伝16巻。

 続いて、御手洗潔シリーズ(1981−) 島田荘司、講談社文庫ほか。本格ミステリーで、名探偵の御手洗潔が主人公。悲しい過去を持ちながらもボケ役の石岡君と共に、魅力的な謎と論理的解決を楽しませてくれます。このシリーズが向かう所はどこなのかも気になりますが。

 法月綸太郎シリーズ(1989−) 法月綸太郎、講談社文庫ほか。私が最も好きな探偵、法月綸太郎。初登場の「雪密室」ではインパクトが薄かったものの、「誰彼」でむむっときて、「頼子のために」でしびれました。これは名作。一方図書館司書が気に入り、図書館に入り浸るために謎を解かざるを得なくなる「法月綸太郎の新冒険」辺りもいい味出してます。ジレンマに陥り、新作が出ない法月綸太郎ですが、いつまでも待ってますから、復活させて下さいね。

 村野ミロシリーズ(1993−) 桐野夏生、講談社文庫ほか。乱歩賞受賞作「顔に降りかかる雨」で一般小説デビューした桐野夏生ですが、その後直木賞受賞したり「OUT」がドラマ化されたりで、一気にメジャーになりました。女性探偵村野ミロが主役のこのシリーズもぜひおすすめ。

 「私と円紫さん」シリーズ(1989−) 北村薫、創元推理文庫、東京創元社。もう何度もおすすめしているのですが、ここでも。読書好きの女の子、大学1年生の「私」を主人公としたこのシリーズ、日常の中の謎をモチーフに、人の心の動きを中心に暖かな視線で描いています。読み終わった後、暖かなコーヒーや紅茶が飲みたくなる小説という感じ。シリーズ事に一つずつ年を取っていく構成のため、4作目では卒論、最新作の5作目では就職しています。全ての小説好きの方へ。

 学生有栖シリーズ(1989−) 有栖川有栖、創元推理文庫。作者と同名の主人公がいるシリーズとして、学生編と作家編があるのですが、私は学生有栖シリーズが好み。「月光ゲーム」が1作目、3作目の「双頭の悪魔」以降、ずっと新作は出ていませんが、楽しみに待ってます。本格ミステリーと青春小説の融合という点から見れば、かなり成功しているのではないでしょうか。

 タックとポアンとタカチシリーズ(1996−) 西澤保彦、講談社文庫、角川文庫、幻冬舎など。正式なシリーズ名という訳ではないのだけど、主人公3人の名前を取って。高知にある架空の大学を舞台に、癖のある学生たちが主人公。会話などは楽しいのだけど、テーマはどっしりと考えさせられます。角川文庫の「彼女が死んだ夜」から読むのが良いでしょう。

 保呂草と紅子シリーズ(1999−) 森博嗣、講談社ノベルス。メフィスト賞でデビューした森博嗣は前シリーズの方がメジャーだけど、私はこちらの方が断然好み。「犀川助教授」シリーズは、うーんと思う部分の方が多かったけど、こちらは大技炸裂で、いい感じです。ただ森博嗣は合う合わないが大きい気がするので、個性的な小説が好きな方へおすすめ。

 ミステリが続いたので、小説に戻って流転の海シリーズ(1984−) 宮本輝、新潮文庫など。宮本輝に名作は数多いけど、自らがライフワークと呼ぶこのシリーズ、自らの半生記とも読めて、読み応え十分。現在第三部まで刊行されてますが、続きが待ち遠しい。

 陋巷に在りシリーズ(1991−) 酒見賢一、新潮社・新潮文庫。酒見賢一という作家はちょっと変わった小説ばかり書いてますが、これは孔子の物語。名前は知っているけど、何をした人かよく分からないという人が多いと思いますが、酒見賢一はこれをエンターテインメントとして料理してます。現代語で普通に書かれているし、読みやすいし、何より面白い。

 翻訳小説からも。図書館シリーズ(1997−) ジェフ・アボット、ハヤカワミステリアス・プレス文庫。母の病状が重くなったのに伴い、ボストンからテキサスの田舎町に戻ってきた主人公。図書館に勤める事になったが、そんな町でも事件は起きて、というストーリー。会話のテンポが良くて、アメリカの普通の生活が垣間見えます。

 今回の隠し球。「探偵メルカトル」シリーズ(1991−) 麻耶雄嵩、講談社文庫。ミステリーですが、このシリーズだけは100人読んで、70人までが合わないと言うのが目に見えるようです。大体1作目の「翼ある闇」で探偵が○○じゃって、2作目の「夏と冬の奏鳴曲」では、すごいラストが待ってます。キュビズムとミステリの統合というコピーが付いていたと思いましたが、このラストは、私が小説読んでインパクト強かったベスト3に入ります。これを読んで気に入ったという人はぜひメール下さい。きっと私と気が合うことでしょう。

購入

グインサーガ1 「豹頭の仮面」 文庫icon
御手洗シリーズ1 「占星術殺人事件」ノベルスicon 講談社文庫icon 光文社文庫icon
法月綸太郎シリーズ1 「雪密室」 文庫icon
村野ミロシリーズ1 「顔に降りかかる雨」 単行本icon 文庫icon
私と円紫さんシリーズ1 「空飛ぶ馬」 文庫icon
学生有栖シリーズ1 「月光ゲーム」 単行本icon 文庫本icon
タックとポアンとタカチシリーズ1 「彼女が死んだ夜」
   文庫文庫icon
保呂草と紅子シリーズ1 「黒猫の三角」 ノベルスicon
流転の海シリーズ1 「流転の海」 単行本icon 文庫icon
陋巷に在りシリーズ1 「陋巷に在り1」 単行本icon 文庫icon
図書館シリーズ1 「図書館の死体」 文庫icon
探偵メルカトルシリーズ1 「翼ある闇」 ノベルスicon 文庫icon



 ミステリー2


 前回挙げた入門編の大体は読んでいてミステリーの面白さが分かってきた、という前提で。しかし今まで挙げた本とかぶらずに10冊に絞るのは難しい。


 まずは、オーソドックスに「頼子のために」(1990)法月綸太郎、講談社文庫。作者と同名の探偵、法月綸太郎シリーズ3作目ですが、巧いです。一作目から順に読んだ方は、それぞれの作風の違いに驚かれたでしょうが、それが法月綸太郎の特徴かつ、寡作に陥りやすい点かもしれません。いきなりここから入って、合うようだったら他の作品も読む、というのもありでしょう。短編集の「冒険」でもいいかも。

 続いて、「修羅の終わり」(1997)貫井徳郎、講談社文庫。折原一とどちらにしようか迷ったけど、個人的好みでこちら。ミステリーには叙述トリックという手法がありますが、それを存分に活かした作品。これは分かっていてもなかなか難儀なトリック。厚いけど、それだけの事はあります。

 北村薫からは「冬のオペラ」(1993)北村薫、中央公論社・中公ノベルス。なぜかいろいろな所でバイトしている名探偵。その推理と台詞、そして助手役の感性は、ミステリーファンの心を揺さぶります。

 「夏と冬の奏鳴曲」(1993)麻耶雄嵩、講談社文庫。5のシリーズ物でも少し触れましたが、この作品は凄い。ミステリーとキュビズムの融合が一つのモチーフですが、初心者よりもある程度ミステリーを読んでいる人へおすすめ。変な小説なのだけど、これは歴史に残るでしょう。

 「名探偵の掟」(1996)東野圭吾、講談社文庫。連作短編集ですが、全編名探偵へのパロディーです。結構鋭いので、読んでいて笑ってしまいます。結構変化球なので、こちらもある程度読み込んでいる人向けかな。

 「左手に告げるなかれ」(1996)渡辺容子、講談社文庫。96年の乱歩賞受賞作。最近の若手の中では、ほとんど評判にならないけど、彼女と新野剛志はいいミステリー書くと思います。この小説は女性が主人公ですが、変貌の様子がリアルでいい。

 「ぼくのミステリな日常」(1991)若竹七海、創元推理文庫。デビュー作ですが、ここには彼女の魅力のほとんどが詰まってます。構成も作風も読後感も全て好き。ちょっと変わったミステリーを読みたい方と社内報に携わっている方全てに。

 「レディー・ジョーカー」(1997)高村薫、毎日新聞社。ここ10年のスパンで見ても、この小説は外せません。作家は、取材を綿密にしてそれに基づいて書くタイプと、思考に基づいて書くタイプに分ける事が出来るかもしれませんが、彼女は明らかに前者ですね。圧倒的な取材力と物語の強さ。ただただ引き込まれます。多分来年辺りに文庫化されるでしょう。

 「三月は深き紅の淵を」(1997)恩田陸、講談社。ミステリーファンは概ねチェックしている雑誌「メフィスト」に連載されていたものです。そこからしてミステリーっぽいのですが、中身も物語への愛情あふれた連作集。これは必読です。私は第一章が一番好きかな。

 例によって変化球で、「麦酒の家の冒険」(1996)西澤保彦、講談社文庫。講談社ノベルスというのは結構ミステリー新人デビューの場として、いい新人が時々出ます。最近はメフィスト賞(やや尻すぼみ気味)もあるし。森博嗣とほぼ同期の西澤保彦ですが、森さんに比べるとそんなに売れてないようです。この「麦酒の家の冒険」はシリーズ物でも触れたタックシリーズで、はっきり言って落ちはひどいのですが、西澤保彦入門編としてはいいかも。でも、「七回死んだ男」講談社文庫からの方がいいかな。

 以上、傾向ばらばらのラインナップでした。次回ミステリー編は、もうちょっとテーマを絞って紹介します。

購入

「頼子のために」 文庫icon
「修羅の終わり」 文庫icon
「冬のオペラ」 文庫icon
「夏と冬の奏鳴曲」 ノベルスicon 文庫icon
「名探偵の掟」 単行本icon ノベルスicon 文庫icon
「左手に告げるなかれ」 単行本icon 文庫icon
「ぼくのミステリな日常」 文庫icon
「レディー・ジョーカー」 単行本上icon 単行本下icon
「三月は深き紅の淵を」 単行本icon 文庫本icon
「麦酒の家の冒険」 ノベルスicon 文庫icon



 海外小説


 範囲が広すぎますが、ジャンル無視での11作品。


 まずは、いわゆるモダンホラーを挙げましょうか。従来のホラー小説より、エンターテインメント色を強めて、スピーディーな展開が特徴です。読んだことがない人でも、映画化された「スタンド・バイ・ミー」とか「ショーシャンク」「グリーンマイル」でお馴染みの、キングから。「ペット・セマタリー 上下」(1989)スティーヴン・キング、文春文庫。映画化されましたが、B級映画でした。小説の方がずっと怖いです。あるアメリカの街。この街には子供たちが作ってきたペットのお墓があり、最近多い交通事故で亡くなったペットを埋めた一家族。さて、というストーリー。この頃のキングの作品は全てそうなのですが、「こうならないように」という方向に話がずんずん進みます。

 続いて、「ウォッチャーズ 上下」(1993)ディーン・クーンツ、文春文庫。ことある事に私が勧めている小説ですが、アメリカで暮らす孤独な男が出会った一匹のゴールデン・レトリーヴァー。この犬は知性が非常に高く、その謎は後半明かされるのですが、それが善の存在だとすると、悪の存在とも言えるもう一匹の犬が登場します。でもこの悪の存在が、後半部非常に効いてきます。この犬のモノローグ、読んでいて涙ぐんでしまいました。クーンツの小説は善悪がはっきりしていて読みやすく、しかも読後感がいいので、翻訳小説を読み慣れていない人にはキングよりもおすすめ。

 さて、モダンホラー最後の一人で、「少年時代 上下」(1995)ロバート・マキャモン、文春文庫。キングがメイン州に拘る作家だとすると、マキャモンはアメリカ南部に拘る作家。その南部での少年の夏を描いた小説。アメリカの小説には、トム・ソーヤー以来少年物が多いですが、この小説は中でも珠玉。少年の恋、宝物、夏の想い出などが全て描かれてます。マキャモンは「遙か南へ」以来、新刊が出ていなくて寂しい限り。

 次はアイディア小説。この設定がいかに面白いかによって小説の出来は変わるのですが、やっぱり世界は広いので様々な小説が書かれてます。「リプレイ」(1990)ケン・グリムウッド、新潮文庫。北村薫の「時と人三部作」や、西澤保彦の「七回死んだ男」に影響を与えた小説で、設定は、ある年になると18歳に逆戻り。記憶はそのまま。「バック・トゥ・ザ・フューチャー」同様、そうなると株や競馬で、お金はどうにでも増やせます。彼の人生はどうなるのか、というもの。もうこの設定だけでも面白いのですが、この話のミソは、その先にあるので、ぜひ読んでみて下さい。これを未読なのは、あまりに惜しい事です。

 キングが絶賛して、数年前に映画化もされた「シンプル・プラン」(1994)スコット・スミス、扶桑社ミステリー文庫。アメリカの田舎町。偶然墜落した飛行機を見つけた男たちは、その中に大金を見つける。ぱっとしない生活から抜け出そうとする彼らは、その金を分けて、見つけなかった事にしようとする、というストーリー。怖いのはここからで、もう、凄い展開になります。普通に暮らしている人たちの心の変容、これは読み応えありますよ。

 「心を覗くスパイたち」(1988)ハーバート・バークホルツ、新潮文庫。CIAは百万人に一人と言われる人の心を読める人たちをスパイに使っている。当然ロシアも同じ事をしているが、アメリカのスパイとロシアのスパイが恋に落ちる。出会えるのはパーティー会場のみ。それも向き合えずに心の会話を交わすだけ。さて、というストーリー。この設定は巧い。恋愛小説にせずに、この後も趣向があるのだけど、それは読んでのお楽しみ。

 「流刑地サートからの脱出」(1989)リチャード・ハーレイ、新潮文庫。こちらの設定は、犯罪者の増加で刑務所の能力がパンクしたイギリス政府は、孤島に流刑地を作ることにした。矯正不能と思われた男たちが送られるこの島、犯罪者といえども人が集まる場所には社会が出来て、規律正しい生活を送ろうとする集団と、何でもありの集団とに分かれている。新入りとして送られた男を主人公にしたこの小説、どう展開するか読めないので、最後まで一気に読ませます。

 「透明人間の告白 上下」(1988)H・F・セイント、新潮文庫。タイトル通りなのだけど、あるきっかけで透明人間になってしまった男の暮らし方を描いた小説。解説で「透明人間版暮らしの手帖」と書かれているけど、そんな感じ。食事は消化するところが見えてしまう、セックスも難しい、友達も出来ない、おまけに存在を知った機関がスパイにしようと追ってくる。さて、というストーリー。ユーモラスな文章なので気楽に読み進められるが、裏側に皮肉がありそうで、結構深い。

 ミステリーからも読みやすいのを2冊ほど。「偽のデュー警部」(1983)ピーター・ラヴセイ、早川文庫。現代は科学捜査の進歩により、探偵の推理能力が発揮しにくい時代のため、各作家はいろいろ設定を考えていますが、ラヴセイが取った方法は、過去を舞台にする事。1920年代のイギリス−アメリカ間の豪華客船を舞台に、成り行きで警部に間違われた男が探偵役を務める、という小説。ラストまでの二転三転が良い感じです。

 「偽りの街」(1992)フィリップ・カー、新潮文庫。ハードボイルドですが、舞台が二次大戦直前のベルリン。権力に負けない生き方がセオリーの私立探偵ですが、ナチ政権下のベルリンでは軽口も命がけ。戦争の予感を抱く街で、彼はどういう行動を取るのかが読み所。自分の生き方も考えさせられます。

 最後は、先日読んだばかりだけど、「ハイ・フィデリティ」(1999)ニック・ホーンビィ、新潮文庫。恋に落ちるのは早いが、どうも毎回巧くいかない男が主人公。音楽おたくで、好きになった子には自分で編集したテープをあげるのが趣味。中古レコード屋の店長でもある彼は、同じような環境の男たちと働きながら、いつも「シングルA面の曲ベスト5」など、あらゆる事のベスト5を考える。一緒に暮らしていた女性に出て行かれた彼は、今までの生き方を考えると共に、今まで付き合った女の子ベスト5をつい考えてしまう、というストーリー。変な小説だけど、これはある種の人にはぴたりとはまるでしょう。なんかダメさ加減が人ごとだと思えずに、思い切り感情移入してしまったし。恋に不器用な人も、音楽ファンの人も、変わった小説好きな人も、結婚について考えている人も、みんな読んでみて下さい。

 以上、例によって本棚で目に付いた本を挙げましたが、翻訳小説ってちょっと苦手、という人にこそ読んで欲しいです。面白い小説を読みたかったら、ジャンルとか国籍などを限定するのはもったいないですよ。

購入

「ペット・セマタリー」 文庫上icon 文庫下icon
「ウォッチャーズ」 文庫上icon 文庫下icon
「少年時代」 単行本上icon 単行本下icon 文庫上icon 文庫下icon
「リプレイ」 文庫icon
「シンプル・プラン」 文庫icon
「心を覗くスパイたち」   絶版
「流刑地サートからの脱出」   絶版
「透明人間の告白」   絶版
「偽のデュー警部」 文庫icon
「偽りの街」   絶版
「ハイ・フィデリティ」 文庫icon



 品切れ・絶版小説


 今回リストに品切れ情報を追加した時思ったのが、その数の多さ。この名作も、あの名作も品切れ。うーん、古本屋を回って、何とか探し出してみてください。私のリストアップの都合上、五十音順でミステリー、文学、エッセイ・SF、海外の順です。人気作家は、ほとんど品切れないですね。親本か文庫か、どちらかが流通しているようです。


 まずは、稲見一良。「セントメリーのリボン」(1993)新潮文庫。行方不明になった犬を探す、猟犬探偵という変わった設定のハードボイルドですが、胸に沁みる話です。

 「僕らの気持ち」「僕らの世界」(1979)栗本薫、講談社文庫。乱歩賞受賞作の「僕らの時代」の2、3作目ですが、このシリーズ、結構いいです。栗本薫はSFと耽美小説以外にも、初期にはいろいろ名作があるので、ぜひシリーズ通してご一読を。

 結構人気があるのに、品切れが多いのは、「ぼくと、ぼくらの夏」(1988)樋口有介、文春文庫、「彼女はたぶん魔法を使う」(1990)樋口有介、講談社文庫。前者はデビュー作で、サントリーミステリー大賞読者賞だったかな。今の原型となる青春ミステリ。後者は、探偵柚木シリーズの一作目。

 続いて、なんでこれが品切れなのか意味不明な「山猫の夏」(1984)船戸与一、講談社文庫。「神話の果て」もそうか。冒険小説の第一人者として、ずっと書き続けてきた船戸与一。傑作です。南米三部作と言われる作品の一つ。

 杉元伶一は、私くらいの歳の人だとホットドッグプレスで一度は文章を読んだ事があると思う。ライター出身として初めて小説を書いたのが、「就職戦線異状なし」(1990)杉元伶一、講談社文庫。織田裕二主演で映画化されたけど、こちらはひどい出来。小説の方は、就職を巡る大学生が主人公だけど、少し村上春樹を彷彿とさせる部分もあったりして、傑作。「君のベッドで見る夢は」講談社ノベルス、と共に、何とか探してみて下さい。

 「二分割幽霊綺譚」(1983)新井素子、講談社文庫。十代デビューで、独特の文体でSFファンを楽しませてくれた新井素子の初期長編。個人的に、この時期の長編がとても好きなので。

 「未踏惑星キー・ラーゴ」(1986)梶尾真治、新潮・早川文庫。SFは品切れのオンパレード。梶尾真治ですらこんなにあるのか。ある惑星を舞台にした話だけど、ラストがとてもいいです。他にも「占星王をぶっとばせ!」新潮文庫、「サラマンダー殲滅」朝日ソノラマ文庫辺りはおすすめ。「サラマンダー殲滅」は確かSF大賞受賞作なのになあ。

 以上、自分のリストから目に付いたところを。リストアップしていない作家のものも、かなり品切れはあるかと思うので、本屋になくて注文しても品切れと言われようが、古本屋を活用して、読みたい本は何とか探し出しましょう。

 最後にこれだけでは寂しいので、ついでに村上さんのものも。「ウォーク・ドント・ラン」(1981)講談社。村上龍との対談集です。多分、本人たちの希望で絶版になっているので、それほど必読という感じはしないですね。まあ、それなりに面白いですが。


 メフィスト賞受賞作


 今までも変わった作品が多かった講談社ノベルスですが、メフィスト賞が出来て以来、その割合はますます増えました。ミステリーマニアにはお馴染みですが、一部の人だけが読むには惜しい作品も多いので、順に紹介してみます。初物買いの楽しさもありますよ。
 途中までは背表紙も普通の白だったんですが、最近は何でもありのカバーも楽しいです。ちなみに、「メフィスト」とは、講談社が年3回出しているミステリ専門誌です。

 1回目。「すべてがFになる」(1996)森博嗣。今やすっかりメジャーになってしまった森博嗣ですが、これがデビュー作です。初めて読んだ時は、その理系をモチーフにした構成が新鮮でした。

 2回目。「コズミック」(1996)清涼院流水。当時、かなりの物議を醸したミステリです。「これはミステリか?」という反対意見も多かったのですが、私は愛を感じて結構好きでした。ただ3作目辺りからは、ついていけないけど。ある程度ミステリを読んだ人はどうぞ。

 3回目。「六枚のとんかつ」(1997)蘇部健一。とても変な小説です。私はちょっと勘弁してほしかった。

 4回目。「Jの神話」(1998)乾くるみ。構成は面白かったんだけど、モチーフがなあ。今ひとつミステリという気がしなかった。

 5回目。「記憶の果て」(1998)浦賀和宏。後に安藤君シリーズとなるこの小説、高校生が主人公で様々な事の思考と、文化祭でYMOを演奏するという時代性も併せ、作風がとても好き。ひと味違う小説を読みたい人におすすめ。

 6回目。「歪んだ創世記」(1998)積木鏡介。よく覚えていないという事は、そんなに強い印象がなかったのでしょう。かなりトリッキーなミステリだったような。

 7回目。「血塗られた神話」(1998)新堂冬樹。この作者は去年辺りからメジャーになってしまいました。本物のそういう仕事をしていたようで、裏社会の描写は迫力あります。

 8回目。「ダブ(エ)ストン街道」(1998)浅暮三文。未読。読んだ方、感想教えて下さい。

 9回目。「QED 百人一首の呪」(1998)高田崇史。続けて未読。タイトルで引いた記憶が。

 10回目。「Kの流儀」(1999)中島望。またもや未読。やる気あるのでしょうか、私。

 11回目。「銀の檻を溶かして」(1999)高里椎奈。タイトルが巧いなあ。でも未読。このシリーズ、もう何作か出ているので、手遅れにならない内に読みたいな。

 12回目。「ドッペルゲンガー宮」(1999)霧舎巧。ようやく読んだものが。島田荘司、岡嶋二人、法月綸太郎など、少し先輩達が書いた本格ミステリへの愛情が感じられる小説。その辺りの作品が好きな人へおすすめ。

 13回目。「ハサミ男」(1999)殊能将之。読んでみて「本当に新人か?」と思った位の手慣れた文体。この人の才能は結構凄い。

 14回目。「UNKNOWN」(2000)古処誠二。この辺りだと、ついこの間という気がするが、2年前か。ふむ。オーソドックスな本格ミステリ。

 15回目。「真っ暗な夜明け」(2000)氷川透。霧舎巧もそうだけど、この人も本格ミステリが大好きなんだな、というのがひしひしと伝わってくる。結構マニアックだけど、その分好き。

 16回目。「ウェディング・ドレス」(2000)黒田研二。本格ミステリらしい舞台建て。なかなか豪快なトリックだった。

 17回目。「火蛾」(2000)古泉迦十。未読。なぜ読まなかったのかは特に理由なし。

 18回目。「日曜日の沈黙」(2000)石崎幸二。ミステリーマニアの男と女子高生2人が主人公だが、その「変さ」がとても好き。作中で触れられるが、ミステリーマニアはやっぱりどこか変わっている。

 19回目。「煙か土か食い物」(2001)舞城王太郎。家族描写が圧倒的。独特の人生観もいい。

 20回目。「月長石の魔犬」(2001)秋月涼介。どこか壊れている登場人物ばかりが出てくるが、妙にそれが心地よい部分もある。

 21回目。「フリッカー式」(2001)佐藤友哉。殺人者と視点が繋がる少女という設定は面白かった。

 22回目。「DOOMSDAY」(2001)津村巧。異星人がアメリカの田舎町に降りてきて、虐殺が始まるというそれだけの話。文体は巧いけど、だから何なんだという気がしないでもない。

 23回目。「クビキリサイクル」(2002)西尾維新。「すべてがFになる」に良くも悪くも影響を受けたような小説。キャラクター中心すぎかも。

 24回目。「『クロック城』殺人事件」(2002)北山猛邦。破滅を待つばかりの世界、という設定が良かった。今後に期待かな。

購入

「すべてがFになる」 文庫購入icon
「コズミック」 文庫上購入icon 文庫下購入icon
「六枚のとんかつ」 文庫購入icon
「Jの神話」 ノベルス購入icon
「記憶の果て」 文庫購入icon
「歪んだ創世記」 ノベルス購入icon
「血塗られた神話」 文庫購入icon
「ダブ(エ)ストン街道」 ノベルス購入icon
「QED 百人一首の呪」 ノベルス購入icon
「Kの流儀」 ノベルス購入icon
「銀の檻を溶かして」 ノベルス購入icon
「ドッペルゲンガ−宮」 ノベルス購入icon
「ハサミ男」 ノベルス購入icon
「UNKNOWN」 ノベルス購入icon
「真っ暗な夜明け」 ノベルス購入icon
「ウェディング・ドレス」 ノベルス購入icon
「火蛾」 ノベルス購入icon
「日曜日の沈黙」 ノベルス購入icon
「煙か土か食い物」 ノベルス購入icon
「月長石の魔犬」 ノベルス購入icon
「フリッカー式」 ノベルス購入icon
「DOOMSDAY」 ノベルス購入icon
「クビキリサイクル」 ノベルス購入icon
「『クロック城』殺人事件」 ノベルス購入icon

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