個人的おすすめ本のページ

 各紹介ページの下にある購入コーナーは、クリックすると、オンライン書店の「boople」の購入ページに飛びます。ここで買っていただくと、5%が収入となるので、私のミニ書店コーナーでもあります。

 1 村上作品について (2000.04.20)

 1回目はやはり村上作品から。
 新刊出る度に買っているよ、という人には無用の情報ですが、村上作品には時系列順に読んだ方がいい作品もありますので、初心者の方向けに書いてみます。

 2 国内ミステリー 入門編 (2000.04.27)

 2回目は面白い小説を読もうと思っている方への入門編。
 出版される小説の半分ほどをミステリーが占めると言われてますが、数多く出ているだけに傾向も様々。いい小説も数多くある勢いのあるジャンルです。

 3 読後ほのぼのと暖かくなる本 (2000.05.17)

 3回目はほのぼの小説。
 読み終わった後、暖かい気持ちになる小説を選んでみました。

 4 恋愛小説 (2000.05.31)

 4回目は恋愛小説。
 「恋愛小説を読もう」と思って読んでいる訳ではないですが、やはり扱われることの多いテーマです。

 5 シリーズ物 (2000.07.12)

 5回目はシリーズ。
 村上さんにもシリーズ物はありますが、ほとんどの作家は一つはシリーズ物書いてます。その中からのおすすめを。

 6 国内ミステリー2 (2000.11.07)

 久々の6回目。
 前に書いた入門編の続きで、ミステリーについてです。

 7 海外小説 (2001.2.13)

 2001年初の7回目。
 海外翻訳小説でのおすすめを。

 8 品切れ・絶版小説 (2001.8.20)

 8回目はほとんど古本屋でしか手に入らない、品切れ・絶版本のおすすめ。
 ちなみに、品切れとは今度重刷されるかもしれない本、絶版はその出版社からはもう出ない本です。

 9 メフィスト賞 (2002.4.09)

 久々9回目は、ミステリーマニアにはお馴染みメフィスト賞受賞作。確信犯的に変な小説を送り続ける講談社ノベルス。これがデビュー作となる作家は、今やメジャーになった作家もいるし、これからが楽しみな作家も、それが微妙な作家も、様々です。


 村上作品について


 私は機会があると、村上ファンには初めて読んだ作品を聞くことにしています。この設問への圧倒的マジョリティ回答は「ノルウェイの森」。当時大ベストセラーになりましたし、村上春樹を読まない人でも、あの小説を書いた人という認識をされているようです。

 それはそれで一向に構わないのですが、この小説を読んで「村上春樹という人が書いた小説は、何故だか自分にぴったり合う。他の小説も読んでみよう」と思った人は、結構困るかもしれません。村上作品には割と研究本やガイドブックが出ているのですが、私なりの読む順番のお勧めを。ただし、長編のみです。

 デビュー作である「風の歌を聴け」(1979)。これは「1973年のピンボール」(1980)「羊をめぐる冒険」(1982)と共に3部作となっています。やはりこの三部作を順番に読んでみるのがいいでしょう。全て講談社文庫です。東京の大学に行っている「僕」が、夏休みで帰省した際に、友人の「鼠」と一夏を過ごすエピソードは、後々まで効いてきます。

 この三部作の続編として「ダンス・ダンス・ダンス」もあるのですが、作風が変わるので、これはひとまず置いておきます。「世界の終わりとハードボイルド・ワンダーランド」(1985)は、「羊」と「ノルウェイ」の間に出た長編で、私的にはベスト長編。二つの世界が交互に語られるという構成で、この世界観はある意味村上作品の真骨頂。近年中にはこの作品の続編的長編が出るという話もあり、今から楽しみです。結構ボリュームのある長編ですので、ごゆっくりどうぞ。新潮文庫から。

 この後で、「ノルウェイの森」(1987)を未読の方は読むのが良いでしょう。要するに、発表順に読むのが作者の変遷が分かるというだけなのですが。作者が「初のリアリズム小説」と言い、帯には「100%の恋愛小説」とありました。売れた本故に、古本屋へ行くと、赤と緑の単行本が2冊で200円ほどで入手出来ると思います。文庫は講談社文庫から。

 この後はようやく「ダンス・ダンス・ダンス」(1988)です。「羊」以来の札幌を舞台に「僕」はステップを踏み続けます。あちらとこちらの世界を繋ぐものは? 出来れば三部作を読んで、しばらくしてから読むと感慨もひとしおなのですが、一気に続けて読むのもまた幸せかもしれません。この単行本に使われた佐々木マキさんのイラストが素敵で、ずっとポスターを探しているのですが見つかりません。こちらも講談社文庫から。

 次は「国境の南、太陽の西」(1992)です。個人的には短編編の「TVピープル」(1990)と共に、これらの作品からまた作風が変わったと思うので、出来れば続けてどうぞ。
 私は大学生の時に初めて読みましたが、怖い小説です。ある程度年を取ってから再読してみると心にしんみりと伝わってくるいい長編なのですが、ファンの間でもかなり好みは別れるでしょう。村上長編の中でも「ノルウェイ」よりも特異な位置を占める作品かもしれません。この作品に限らず、村上作品は再読した際には初読時と読後感が変わるので、気に入らなくてもしばらく経ってから再読してみるのがいいかもしれませんね。文庫は講談社文庫から。

 そして「ねじまき鳥クロニクル」(1994)。三部構成で、二部と三部の間は1年4ヶ月空いたため、今から読む人もその位空けて読んで下さい、という意地悪はともかく、クロニクルというタイトルにふさわしい大作です。今までにないファクターもいろいろ登場し、「開かれた村上春樹」を彷彿とさせます。時間のある時に一気にどうぞ。文庫は新潮文庫から。

 今現在、最新の長編が「スプートニクの恋人」(1999)です。アタッチメントとデタッチメントという言葉を、村上さんはよく使うようになりましたが、それがどういう事かよく分かるでしょう。講談社からです。

 以上、長編は9作品のみです。20年間に9作品というのは寡作なような気がしますが、他にも短編集、エッセイ集、翻訳、旅行記、ノンフィクションと様々な作品を出していますので、当分は作品世界に浸れる事でしょう。それぞれの最初に読むお勧めは、「カンガルー日和」、「村上朝日堂」、「カーヴァーズ・ダズン」、「遠い太鼓」、「アンダーグラウンド」。

 更に、短編について補足。まず短編があって、そこから長編になった作品があります。「蛍・納屋を焼く・その他の短編」に収録されている「蛍」が「ノルウェイの森」に、単行本未収録の「街とその不確かな壁」が「世界の終わりとハードボイルド・ワンダーランド」に。他にも「ねじまき鳥」に繋がる短編や、羊男が登場する短編があるので、ぜひ短編集も読んでみて下さい。

 以上、思いつくままざっと書きましたが、質問などありましたら、掲示板の方へ書き込んで下さいね。いつでもお答えいたします。

購入

「風の歌を聴け」 単行本icon 文庫icon
「1973年のピンボール」 単行本icon 文庫icon
「羊をめぐる冒険」 単行本icon 文庫上icon 文庫下icon
「世界の終わりとハードボイルド・ワンダーランド」 単行本新装版icon 文庫上icon 文庫下icon
「ノルウェイの森」 単行本上icon 単行本下icon 文庫上icon 文庫下icon
「ダンス・ダンス・ダンス」 単行本上icon 単行本下icon 文庫上icon 文庫下icon
「国境の南、太陽の西」 単行本icon 文庫icon
「ねじまき鳥クロニクル」 単行本第1部icon 単行本第2部icon 単行本第3部icon 文庫第1部icon 文庫第2部icon 文庫第3部icon
「スプートニクの恋人」 単行本icon 文庫icon

「村上春樹全作品 1 風の歌&ピンボール」 全集1icon
「村上春樹全作品 2 羊をめぐる冒険」 全集2icon
「村上春樹全作品 3 短編集1」 全集3icon
「村上春樹全作品 4 世界の終わりとハードボイルド・ワンダーランド」 全集4icon
「村上春樹全作品 5 短編集2」 全集5icon
「村上春樹全作品 6 ノルウェイの森」 全集6icon
「村上春樹全作品 7 ダンス・ダンス・ダンス」 全集7icon
「村上春樹全作品 8 短編集3」 全集8icon
村上春樹 書籍一覧icon


 国内ミステリー 入門編


 小説は小説としてあればいいので、ジャンル分けは特に必要ないと思う時もあるのですが、便宜上ミステリーという言葉を使います。

 さて、あまりミステリーを読まない人にとってミステリーとは「人が殺される小説」「2時間ドラマの原作」というイメージかもしれません。ミステリーとは広義のジャンルで、これが更に細分化されます。本格、社会派、ハードボイルド、冒険小説、犯罪小説、スパイ小説…などなど。国内での本格物の旗手、島田荘司は本格ミステリーの定義を示して賛否両論でしたが、大ざっぱに言って、「謎」を突き詰めていく小説がミステリーである、というのが私の定義です。

 前置きが長くなりましたが、現在文庫で入手しやすい小説を前提として紹介していきます。あまりマニアックじゃなく、読んでいてミステリーの面白さを十分に味わえる小説を順不同で10冊挙げてみます。しかし、この10冊全部未読で、これから読む人は幸せですよ。


「クラインの壺」 岡嶋二人、新潮文庫

 ミステリー作家になるには様々な道がありますが、一番の王道は新人賞。中でも江戸川乱歩賞はその後成功した作家がほとんど。岡嶋二人は28回目の受賞者です。
 日本では珍しい二人の合作作家で、27作品出した後に解散しました。その解散に当たって、最後に長編を3つ発表しましたが、どれも傑作。今回は「クラインの壺」を推します。どちらが本物の世界なのか、読んでみて確かめて下さい。非常に読みやすい文体です。

「レベル7」 宮部みゆき、新潮文庫

 もうかなりメジャーとなったので、名前はよく聞くかと思います。社会派、超能力物、時代物に本格と様々な作品を発表していますし、短編の名手でもあります。
 その彼女からは「レベル7」を。目覚めてみたら知らない部屋にいた。隣には知らない女性。二人とも記憶は全くない。さて、これはどういうことか、というストーリーです。記憶喪失物は私の好きな話の一つですので、そのうちこれをメインテーマに紹介したいですね。「龍は眠る」「火車」と共に初期三部作と呼ばれていますが、どれから読んでも傑作です。

「黄金を抱いて翔べ」 高村薫、新潮文庫

 宮部みゆきと来たら高村薫です。二人とも推理サスペンス大賞出身ですし、よくライバルとして名前が挙げられます。
 本来なら文句なしに傑作の「レディー・ジョーカー」(毎日新聞社)を推したいのですが、まだ文庫化されていません。という事でデビュー作のこの作品を。大阪の街を舞台とした、金塊強奪作戦についての話です。読み応え十分。文体は重いですが、密度の濃い物語を堪能して下さい。

「占星術殺人事件」 島田荘司、講談社文庫

 本格ミステリー界の大御所、島田荘司です。綾辻行人、法月綸太郎などのデビューに手を貸し、新本格ブームを作り上げました。
 その島田荘司のデビュー作。名探偵御手洗潔初登場です。魅力的な謎と論理的な解決、本格の魅力十分な作品。続けて「異邦の騎士」(講談社文庫)を読むといいでしょう。

「十角館の殺人」 綾辻行人、講談社文庫

 近頃さっぱり新刊が出ませんが、綾辻行人の本格ミステリースピリットは熱いです。
 これもデビュー作ですが、登場人物のニックネームをミステリー作家から取っていたり、作品自体がクリスティーの本歌取りだったりして、ややマニアックです。でも「意外なラスト」のカタルシスはたまりません。「館シリーズ」の一作目でもあります。

「空飛ぶ馬」 北村薫、創元推理文庫

 「日常の謎ミステリー」とでも言うべき、殺人事件が出てこないミステリー。女子大生の「私」が探偵役の噺家と共に、論理的に謎を明らかにしていく過程は、ただただ感心させられます。
 本好きの「私」、全編に流れる「人間への信頼」。読後心が温かくなる小説です。主人公の「私」はシリーズが出るたびに一つずつ年を取っていくので、成長を見守っている気分にもさせられます。

「行きずりの街」 志水辰夫、新潮文庫

 この人の文体はかなり独特で、「シミタツ節」と言われています。ジャンル的には冒険小説とハードボイルドの中間でしょうか。
 村上春樹と同様に、こればかりは合う合わないがあるので、読んでみて下さいとしか言いようがありません。別に強くもない中年男が主人公ですが、意地の張り方がなかなか好きです。

「ホワイトアウト」 真保裕一、講談社文庫

 真保裕一も乱歩賞出身ですが、漢字二文字の通称「小役人」シリーズでミステリーファンを唸らせ、「ホワイトアウト」であっと言わせました。
 冬の雪山のダムを乗っ取ったテロリスト。闘うのはたった一人の男、という設定の小説ですが、これが読ませます。「日本版ダイ・ハード」という評もありましたが、映画化され、今年公開だそうです。血湧き肉踊る冒険小説の醍醐味を堪能して下さい。「奪取」もおすすめです。

「新宿鮫」 大沢在昌、光文社文庫

 「踊る大捜査線」でもキャリア組が注目されていましたが、キャリアといえばやはりこれ。刑事物は普通組織捜査の描写となりますが、これは単独で動く新宿署の鮫島刑事が主人公です。4作目では直木賞を受賞してしまいました。
 2作目、3作目のテンションの高さがお勧めなのですが、設定が分からないと困るので、この1作目から順番にどうぞ。

「卒業」 東野圭吾、講談社文庫

 岡嶋二人の数年後の乱歩賞受賞作家です。様々なジャンルを書く作家で、「秘密」で一躍メジャーになりました。
 あまりシリーズキャラクターを持たない作家なのですが、「加賀刑事物」は唯一今でも続いています。その加賀が初登場作品で本格ミステリーです。こんな事書くのは失礼かもしれませんが、東野圭吾は光文社文庫の作品を除いて、ほとんど外れがありません。




 本棚を見回して、読みやすそうな本から挙げてみましたが、やはり10冊じゃ足りませんね。でもこの10冊は自信を持って勧められます。これでミステリーに馴染むと、もう少しマニアックなものも面白いと思うようになるでしょう。それは後日、中級編で紹介します。

購入

「クラインの壺」 文庫icon
「レベル7」 単行本icon 文庫icon
「黄金を抱いて翔べ」 単行本icon 文庫icon
「占星術殺人事件」 ノベルスicon 講談社文庫icon 光文社文庫icon
「十角館の殺人」 ノベルスicon 文庫icon
「空飛ぶ馬」 文庫icon
「行きずりの街」 文庫icon
「ホワイトアウト」 単行本icon 文庫icon
「新宿鮫」 ノベルスicon 文庫icon
「卒業」 文庫icon


 ほのぼの小説


 要は、読後暖かい気持ちにさせてくれる小説です。しばらく考えた結果、10冊をリストアップしてみました。4回目の恋愛とある程度だぶる部分もありますね。


 まずは、「ステップファザー・ステップ」(1993)宮部みゆき、講談社・講談社文庫。親に家出された双子の中学生の男の子の面倒を見ることになってしまったプロの泥棒。彼らを主人公とした連作短編集ですが、少年を描かせたら本当巧い宮部嬢。読後感が心地よい佳作に仕上げています。

 続いて、「時計を忘れて森へいこう」(1998)光原百合、東京創元社。東京から八ヶ岳へと引っ越してきた女の子。自然保護員の護さんの事が大好きで、彼の職場である環境教育のシーク協会へ入り浸り。そこの人たちとの交流を交えながらの連作短編集。これがデビュー作で、作風は東京創元社の先達たちである北村薫や加納朋子に似ている部分はありますが、ほのぼの度は一番でしょう。

 「魔法飛行」(1993)加納朋子、東京創元社・創元推理文庫。こちらも連作短編集なのですが、その仕掛けを十分に活かした珠玉の一冊。全てを読み終わった後に、真相が分かるという構成ですが、私は読後ぞくぞくきました。加納朋子はこの後に出したものももちろんいいのですが、これを越える小説は難しいかもしれません。キャラクターはデビュー作の「ななつのこ」と共通なので、そちらから読むのがベストかも。「空を想う心」「人を想う心」、この二つが織りなす世界を堪能して下さい。

 「スキップ」(1995)北村薫、新潮社・新潮文庫。北村薫の名前が一気に売れたこの作品、既に読まれている方も多いと思います。高校3年の文化祭の前日から、気が付くと一気に40代の主婦になってしまった女子高校生。夫も子供もいるし、職業は高校教師らしい。さあ困った、というのが導入部。彼女がいかに過ごしていくか、それが読みどころです。善人しか出てこない、性の問題を回避しているという点はありますが、この作品においては疵にならないでしょう。時をテーマにした三部作の一作目でもあります。

 「光の帝国」(1997)恩田陸、集英社文庫。ある特殊な能力を持った人々を主人公とした連作短編集。恩田陸は「三月の深き紅の淵に」という傑作もありますが、本当に小説を書くことが好きなんだなと実感させられる作家です。作者のあとがきにあるように、長編用のプロットとなりうる題材ばかりなので、読後しばし作品世界へ思いを馳せる時間が心地よいです。

 「しゃべれどもしゃべれども」(1997)佐藤多佳子、新潮文庫。児童文学作家だった著者の、一般向け小説第一作。喧嘩っ早い落語家、どもり癖があるテニスコーチ、自分の思いを言えない勝ち気な女性、口べたな野球解説者、大阪から東京へ転校したものの馴染めない小学生。ふとしたきっかけで、落語家が彼らに話し方教室をする事になるけど、これが大変。ラスト辺りの展開が秀逸で、読後はほのぼの感十分。二作目も期待大です。

 「お引っ越し」(1990)ひこ・田中、福武書店・講談社文庫。私が密かに好きな児童文学作家なのですが、この作品もいいです。関西を舞台に、両親の離婚に揺れる11歳の少女が主人公。今までの世界から変わるため、いろいろルールを決めたりする日常生活の描写もいいし、心理描写もいい。この子を見守る周りの大人たちもいい。たまにはこういう小説もいいですよ。

 「夏への扉」(1979)ロバート・A・ハインライン、ハヤカワ文庫。SFからも一冊。何にしようか迷ったのですが、結局これに。飼い猫のピーとは冬になると夏への扉を探し始める。数多いドアのどれかが夏へと繋がっている事を信じて、という導入部で始まるこの物語、多くのファン投票ではベストSFに挙げられていますが、それだけの事はあります。未読の方はぜひどうぞ。

 「月の砂漠をさばさばと」(1999)北村薫、新潮社。北村薫からもう一冊。ほとんど全部がこのジャンルに入る作家なのだけど、もう一冊ということならこれかな。おかあさんと小学5年生のさきちゃんの日々の暮らしを綴った連作短編集。おとうさんはいない、二人のユニットでの生活がほのぼのと書かれてます。「神の子どもたち」の中の「蜂蜜パイ」が好きな人はきっと気に入るでしょう。

 おまけで中日ファン向け。「勝利投手」(1986)梅田香子、河出書房新社。甲子園で活躍した投手が実はサウスポーの女性だった。彼女に惚れ込んだ星野仙一は、球団を説得し、ドラフト1位指名へ。協約を何とか改訂し、プロ野球初の女性投手が誕生した、というストーリー。プロ2年目に1軍に上がり、巨人とのマッチレースを制して、日本シリーズにまで行ってしまいます。ファンならぜひどうぞ。

 以上、文庫が書いていないのは単行本だけです。

購入

「ステップファザー・ステップ」 文庫icon
「時計を忘れて森へいこう」
   単行本単行本icon
「魔法飛行」 単行本icon
   文庫文庫icon
「スキップ」 単行本icon 文庫icon
「光の帝国」
   単行本単行本icon  文庫文庫icon
「しゃべれどもしゃべれども」 単行本icon 文庫icon
「お引っ越し」   品切れ
「夏への扉」 文庫icon
「月の砂漠をさばさばと」 単行本icon
「勝利投手」   品切れ

 恋愛小説


 このテーマは範囲が広すぎですね。大体の小説に恋愛は絡んできますし。例によって、本棚を見回して記憶に残っている11冊を。


 まずは、タイトルもそのままな「恋愛中毒」(1998)山本文緒、角川書店。薬師丸ひろ子主演でドラマ化されたため、そちらを見た方も多いでしょうが、番組紹介で既に後半の展開を割っているのが残念でした。思わせぶりなプロローグから、本編に入ると、主人公の女性の恋愛中毒振りに目が離せなくなります。これはこれで、山本文緒の一つの到達点でしょう。

 続いて、「イギリス人の患者」(1996)M・オンダーチェ、新潮社・新潮文庫。これは映画化されアカデミー賞まで取りました。私も見ましたが、はしょりすぎのような。まあ2時間の時間制限あるから仕方ないかも。第二次大戦下のイタリア。従軍看護婦のハンナと瀕死のイギリス人患者との交流、患者の回想シーンとが交互に繰り返される構成となっています。ハンナとインド人工兵との恋もあったりしますが、この回想シーンが圧巻。このような小説が読めるとは、やはり世界は広い。

 「結婚しよう」(1993)永倉万治、新潮社・新潮文庫。一転してストレートな恋愛小説。学生時代のバンドメンバーだった3人の男女の物語。若くはないけど、このまま終わるほどの年じゃない微妙な心理を描いてます。軽妙なタッチで読みやすいけど、話に芯がありますね。

 「タマリンドの木」(1991)池澤夏樹、文藝春秋・文春文庫。池澤夏樹からはこの一冊。パーティで出会った一組の男女。彼女に惹かれた主人公だが、彼女は自分の居場所であるタイの難民キャンプへと帰っていく。自分の生き甲斐と恋愛との両立は、といったテーマでしょうが、池澤夏樹の文章はそんな堅苦しい事を感じさせず、自然に描いています。

 「青が散る」(1982)宮本輝、文藝春秋・文春文庫。「ここに地終わり・・・」とも迷ったのだけど、宮本輝からはやはりこれかなあ。関西の新設大学のテニス部を舞台に、様々な恋の形と青春の形が描かれる青春小説の王道。今となっては初期長編ですが、長編の手練れの宮本輝、今読んでも十分巧い。若いという事は恥ずかしい事ばかりをする事なのかもしれませんね。

 「ぼくと、ぼくらの夏」(1988)樋口有介、文藝春秋・文春文庫。サントリーミステリー大賞読者賞受賞作で、デビュー作。樋口有介の書く小説は2パターンあって、片方の青春物は全て同じ構図です。大人びた主人公、魅力的な女の子、夏、バイク、ビール。自分の青春はいい事なかったから、こうありたかった世界を書くと作者も言ってますが、ほろ苦い追体験もたまにはいいですね。

 「バイバイ」(1997)鷺沢萠、角川書店・角川文庫。鷺沢萠からは迷った末にこの一冊。「酒とサイコロの日々」もギャンブルへの恋愛という事で押そうかと思ったのですが。ショーリ君と言われる勝利君。彼の恋愛を通しての成長物語ですが、そうなんだよなと頷いてしまう鷺沢萠の文章に、引き込まれます。

 「一瞬の光」(2000)白石一文、角川書店。今年の新刊からはこれ。エリートコースまっしぐら、婚約者は重役の娘と順調な人生を送る主人公は、ある空虚感を抱えて生きてます。そんな時に出会った一人の娘。前半は企業小説のようですが、これはひたむきな恋愛小説でしょう。ラストが胸に響きます。

 「龍は眠る」(1991)宮部みゆき、出版芸術社・新潮文庫。宮部みゆきが書き続けている超能力テーマ物ですが、中盤から展開する二人の恋愛描写が、実に美しいので取り上げてみました。主旋律である「人と違った能力を持つという事は、幸せではない」というのも読み所ですが、この副旋律も私は大好きです。

 今回の隠し球。「地球はプレイン・ヨーグルト」(1979)梶尾真治、ハヤカワ文庫。SF短編集です。「美亜に贈る真珠」という短編が、この上なくリリカルで名作。「思いでエマノン」シリーズもいいし、「キー・ラーゴ」もいいし、多分今の読者はほとんど名前を知らないと思いますが、いい作家ですよ。

 2000.08.04 追加。「GO」(2000) 金城一紀、講談社。2000年上半期の直木賞を受賞したので知っている人も多いでしょうが、民族と国籍に振り回される少年と、彼が好きになった少女との恋愛のパートは秀逸。ラストもいいし、落ち込んだ時に読むと元気になれるかも。

購入

「恋愛中毒」
   
単行本単行本icon
「イギリス人の患者」 単行本icon 文庫icon
「結婚しよう」   品切れ
「タマリンドの木」 文庫icon
「青が散る」 単行本icon 文庫icon
「ぼくと、ぼくらの夏」   品切れ
「バイバイ」 単行本icon 文庫icon
「一瞬の光」
   単行本単行本icon
「龍は眠る」 単行本icon 文庫icon
「地球はプレイン・ヨーグルト」 文庫icon
「GO」 単行本icon

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