あしか堂探偵団のページ 2

「世界の終わりとハードボイルド・ワンダーランド」(文庫版)

上巻P.25より引用

 「マルセル・プルースト?」と私は彼女にたずねてみた。
(中略)
しかし長い廊下とマルセル・プルーストとの関連性をどこに求めればいいのか私にはわからなかった。


マルセル・プルースト(Proust, Marcel)

【生没年】 1871.7.10-1922.11.18
【略 歴】  フランスの小説家。
      パリ大学に学んでベルクソンを聴講。文学に傾倒して、華やかな
      社交生活を送り、同人雑誌を発行する。
      両親の死後、持病の喘息の悪化もあって、社交を絶ち、書き溜めた
      20余冊の手帳を資料に大作『失われた時を求めて (1913-27)』を
      15年間書き続け、完成と同時に倒れた。この長編は、富裕ブルジ
      ョアジーの台頭、貴族階級の没落、及びそれらの対立を心理的風
      俗的に描きながら、独特な自我の探求を一貫させた人間喜劇的小
      説であるとともに、精神の方法叙説的形而上学の試みでもある。
      フランスの心理小説中の最高傑作で、20世紀文学の記念碑的作品
      と目されている。
【代表作】 『失われた時を求めて (1913-27)』
上巻P.89より引用

 私は死ぬこと自体はそんなに怖くなかった。ウィリアム・シェイクスピアが言ってるように今年死ねば来年はもう死なないのだ。

下巻P.301より引用

 私は秋の朝の光の中で棚に並んだ鍋や鉢や調味料の瓶の列をぼんやりと眺めていた。台所は世界そのもののようだった。まるでウィリアム・シェイクスピアの科白みたいだ。世界は台所だ。

ウィリアム・シェイクスピア(Shakespeare, William)

【生没年】 1564.4.26(受洗)-1616.4.23
【略 歴】  イギリスの劇作家。ウォリックシャーのストラトフォード・オ
      ン・エイヴォン生まれ。ロンドンに出て、俳優として出演するか
      たわら座付き作者を勤めていたが、次第に独立で戯曲を書くよう
      になった。およそ20年間劇作に専念して劇作家として名をなした
      後、故郷に隠遁、余生を送った。戯曲のほか、ソネットも注目す
      べき作品。
【代表作】 『じゃじゃ馬馴らし (1593-4)』
      『ロミオとジュリエット (1594-5)』
      『リア王 (1605-6)』
上巻P.121より引用

 アーネスト・ヘミングウェイならきっとそれを暖炉の上に大鹿の頭と並べて置くところだろうが、私の家には当然ながら暖炉なんてなかった。

アーネスト・ヘミングウェイ(Hemingway, Ernest Miller)

【生没年】 1899.7.21-1961.7.2
【略 歴】  アメリカの小説家。イリノイ生まれ。<ロースト・ジェネレー
      ション>作家の一人。ハイスクールを出ただけでさまざまな職業
      を転々とした。第一次世界大戦後、通信員としてパリにいたとき、
      処女作品集と短編集を発表。帰国後発表した『日はまた昇る (1926)』
      『武器よさらば (1929)』で作家としての地位を確立。『老人と海
      (1952)』でピュリツァー賞を受賞。ノーベル賞受賞(1954)
【代表作】 『誰がために鐘は鳴る (1940)』
上巻P.131より引用

 デスクの上には彼女の読みかけの文庫本が眠りこんだ小型ウサギみたいな格好でつっぷしていた。『時の旅人』というH・G・ウェルズの伝記の(下)の方だった。

H・G・ウェルズ(Wells, Herbert George)

【生没年】 1866.9.21-1946.8.13
【略 歴】  イギリスの小説家、思想家。薬屋などの徒弟をしながら独学で
      勉強し、サウスケンシントンの科学師範学校を卒業、教育関係の
      ジャーナリストとなる。初期の小説は、『宇宙戦争 (1898)』等
      の科学小説だったが、次第に現代文明批判に向かい、自伝的要素
      の多い小説によって、英国中流及び下層階級の社会を写実的に描
      いた。ロンドンにて没。
【代表作】 『トーノー・バンゲイ (1909)』
      『世界文化史大系 (1920)』
上巻P.165より引用

 一冊はバートラント・クーパーの『動物たちの考古学』で、もう一冊はボルヘスの『幻獣辞典』だった。

バートラント・クーパー

 少なくとも「動物たちの考古学」という邦訳本は見あたりませんでした。
 バートランド・クーパーは、たぶん、架空の人物と思われます。
 綴りが判らないので、
  Cooper, Kooper, Couper, Kouper, Cowper, Kowper
 の6つの綴りを試してみましたが、該当する人物はいませんでした。

ボルヘス(Borges, Jorge Luis)

【生没年】 1899.8.24-1986.6.14
【略 歴】  アルゼンチンの作家、詩人。ブエノスアイレス生まれ。幼少時
      よりヨーロッパに渡り教育を受ける。帰国後、前衛文学運動「ウ
      ルトライスモ」の活動に参加。国立図書館長、ブエノスアイレス
      大学英米文学科教授を歴任。1923年、『ブエノスアイレスの熱狂』
      で詩人としてデビュー。その後評論集、詩集を相次いで発表し、
      ラテンアメリカを代表する文豪となる。1954年にはほぼ全盲とな
      り口述筆記によって作品を発表。フォルトメントール賞国際出版
      社賞受賞(1961)、セルバンテス賞受賞(1980)。
【代表作】 『不死の人 (1949)』
      『伝奇集 (1944)』
上巻P.172より引用

 たとえばコナン・ドイルの『失われた世界』みたいに土地が高く隆起しているかあるいは深く陥没していること。

コナン・ドイル(Doyle, Sir Arthur Conan)

【生没年】 1859.5.22-1930.7.7
【略 歴】  イギリスの小説家。エディンバラ大学医学部を卒業後、探偵小
      説を発表し、しばらく医業に携わっていたが、やがて文筆専業に
      なった。名探偵シャーロック・ホームズを主人公とした一連の探
      偵小説によって世界的に有名になる。後年歴史・科学小説も書い
      ている。晩年には、心霊学に凝り、その方面の著述も多い。
【代表作】 『緋色の研究 (1887)』
上巻P.275より引用

 そして医者に言われたとおりベッドに寝ころんでツルゲーネフの『ルージン』を読んだ。本当は『春の水』を読みたかったのだが、廃墟のような部屋のなかから一冊の本を見つけだすのは至難の業だったし、それに考えて見れば『春の水』が『ルージン』よりとくに秀れた小説であるというわけでもないのだ。

上巻P.276より引用

 私が『ルージン』をこの前読んだのは大学生の時で、十五年も前の話だった。十五年たって、腹に包帯を巻きつけられてこの本を読んでみると

ツルゲーネフ(Turgenev, Ivan Sergeevich)

【生没年】 1818.11.9-1883.9.3
【略 歴】  ロシアの作家。オリョール生まれ。ペテルスブルグ大学文学部
      哲学科を卒業後、3年間ベルリン大学で学ぶ。帰国後、進歩的青
      年の集まり<西欧派>に出入りして文学活動をはじめる。嘱託と
      して内務省に勤務のかたわら、戯曲・中編小説などを書いた。パリで没。
【代表作】 『猟人日記 (1852)』
      『ルージン (1855)』
      『父と子 (1862)』
上巻P.276より引用

 私はドストエフスキーの小説の登場人物には殆ど同情なんてしないのだが、ツルゲーネフの小説の人物にはすぐに同情してしまうのだ。

下巻P.326より引用

 「『カラマーゾフの兄弟』を読んだことは?」と私は訊いた。
「あるわ。ずっと昔に一度だけだけど」
「もう一度読むといいよ。あの本にはいろんなことが書いてある。小説の終わりの方でアリョーシャがコーリャ・クラソートキンという若い学生にこう言うんだ。ねえ、コーリャ、君は将来とても不幸な人間になるよ。しかし全体としては人生を祝福しなさい」
私は2本目のビールを飲み干し、少し迷ってから三本目を開けた。
「アリョーシャにはいろんなことがわかるんだ」と私は言った。「しかしそれを読んだとき僕はかなり疑問に思った。とても不幸な人生を総体として祝福することは可能だろうかってね」


下巻P.328より引用

 私は目を閉じて『カラマーゾフの兄弟』の三兄弟の名前を思いだしてみた。

ドストエフスキー (Dostoevski, Fyodor Mikhailovich)

【生没年】 1821.11.11-1881.2.9
【略 歴】  ロシアの作家。モスクワ生まれ。ペテルスブルクの工兵学校を
      卒業後勤務したが、まもなく退職、文学の道を求めた。処女作
      『貧しき人々 (1845)』で一躍有名となる。1849年、ニコライ一世
      政府の弾圧強化により、逮捕され死刑を宣告されたが、減刑され
      シベリア流刑となる。流刑から帰った後、再び文学活動をはじめ、
      傑作『虐げられた人々 (1861)』を発表する。
【代表作】 『罪と罰 (1866)』
      『作家の日記 (1876-)』
      『カラマーゾフの兄弟 (1879-80)』
上巻P.276より引用

 私は「87分署」シリーズの登場人物にだって同情してしまう。

エド・マクベイン (McBain, Ed 本名:Hunter, Evan)

【生没年】 1926.10.15-
【略 歴】  ニューヨーク生まれ。5つの筆名を駆使してミステリーからSF
      小説まで手がける。『ブラックボード=ジャングル (1954)』(映
      画「暴力教室」の原作)が出世作となる。1956年からエド・マク
      ベイン名義で発表した<87分署シリーズ>では、刑事の根性と近
      代科学捜査法を柱に、リアルな社会描写と犯罪の追求ぶりを描き、
      人気を不動のものにした。ほかに、<ホープ弁護士シリーズ>など。
【代表作】 『警官嫌い』
      『金髪女』
上巻P.276より引用

 トルストイの場合はその欠点があまりにも大がかりでスタティックになってしまう傾向がある。

トルストイ (Tolstoi, Lev Nikolaevich)

【生没年】 1828.9.9-1910.11.20
【略 歴】  ロシアの作家。ヤスナヤ・ポリョーナ生まれ。カザン大学に学
      んだが中途退学して故郷に帰り、農民の生活改善をはかったが失
      敗。処女作『幼年時代 (1852)』をネクラーソフの雑誌「同時代
      人」に発表する。農奴解放後は、農村紛争調停員となり農民の利
      益を擁護した。結婚後は、文学に主力を注いでいたが、その文学
      作品もだんだん族長的農民の立場からの教訓的傾向の強いものに
      なっていった。老境は、所信と生活の矛盾を感じて家出し、アス
      タポヴォで没。ソ連邦時代では、革命前の作家のうちプーシキン
      についで多く読まれる作家であり、その芸術手法は多くの作家に
      影響を与えた。
【代表作】 『戦争と平和 (1864-9)』
      『アンナ・カレーニナ (1873-6)』
      『クロイツェル・ソナタ (1890)』
上巻P.276より引用

 ベッドに戻って今度はスタンダールの『赤と黒』にとりかかった。私はとにかく時代遅れの小説が好きなようだった。いったい今の時代にどれだけの若者が『赤と黒』を読むのだろう? いずれにせよ、私は『赤と黒』を読みながら、またジュリアン・ソレルに同情することになった。

上巻P.368より引用

 まっ暗闇の中で抱きあうというのは奇妙なものだった。たしかスタンダールが暗闇の中で抱きあうことについて何かを書いていたはずだ、と私は思った本のタイトルは忘れてしまった。私はそれを思いだそうとしたが、どうしても思い出せなかった。スタンダールは暗闇の中で女を抱きしめたことがあるのだろうか?もし生きてここを出ることができたなら、そしてまだ世界が終わっていなかったとしたら、そのスタンダールの本を探してみようと思った。

下巻P.31より引用

 ペニスを有効に勃起させることだけが人生の目的ではないのだ。それはずっと昔にスタンダールの『パルムの僧院』を読んだときに私が感じたことでもあった。私は勃起のことを頭の中から追い払った。

スタンダール(Stendhal 本名:Marie Henri Beyle)

【生没年】 1783.1.23-1842.3.23
【略 歴】  フランスの小説家。グルノーブル生まれ。エコル・サントラル
      に学び、合理的思索の精神を体しまた数学に秀でた。陸軍省、参
      事院などに勤めながら執筆。パリの街頭で卒中で倒れたまま没。
      バルザックとともに近代小説の開祖と見なされている。
【代表作】 『恋愛論 (1822)』
      『赤と黒 (1830)』
      『パルムの僧院 (1839)』
上巻P.279より引用

 ジョセフ・コンラッドとトマス・ハーディーのひそかなコレクションは花瓶の汚れた水をたっぷりとかぶっていた。

ジョセフ・コンラッド(Josez Konrad 本名:Teodor Nalecz Korzeniovski)

【生没年】 1857.12.3-1924.8.3
【略 歴】  イギリスの小説家。ロシア治下の南ポーランド生まれ。
      クラカウ大学に学び、のち渡英、帰化する。アフリカで
      健康を害したあと、創作に専念し、処女作『オールメイアの愚挙
      (1895)』を発表。ケント州にて没。21歳の時、初めて耳にしたと
      いう英語を巧みに駆使して、人間の誠実と勇気をたたえ、鮮やか
      な心理と自然の描写に満ちた新しい海洋小説を創始した。
【代表作】 『ナーシサウ号の黒奴 (1897)』

トマス・ハーディー(Hardy, Thomas)

【生没年】 1840.6.2-1928.1.11
【略 歴】  イギリスの小説家、詩人。ドーチェスターの近郊、ハイアー・
      ボックハンプトン生まれ。中等教育を受け、ドーチェスターの建
      築家に弟子入りしたが、やがてロンドンに出て建築事務所に入っ
      た。読書と作詩に熱中したが、健康を害し故郷に帰り、小説を書
      き始める。彼の作品は、概ね故郷を背景にしているが、盲目的な
      運命によって人間の情意が無惨に踏みにじられる過程を描き、多
      くは非妥協的であるため、当時世人の激しい非難を受けた。
【代表作】 『ダーバーヴィル家のテス (1891)』
      『埋もれたるジュード (1896)』
      『緑の木陰に (1872)』
下巻P.80より引用

 工場長はもちろんあんただが、残念ながらあんたにはそこを訪問することはできん。アリスの不思議の国と同じで、そこにもぐりこむためには特別の薬が必要なわけですな。いや、ルイス・キャロルのあの話は本当によくできておるです。

ルイス・キャロル(Carroll,Lewis 本名:Charles Lutwidge Dodgson)

【生没年】 1832.1.27-1898.1.14
【略 歴】  イギリスの童話作家、数学者。
       オックスフォード大学に学び、同大学で数学講師をする。有名
      な『不思議の国のアリス』は、古典学者リデルの娘・アリスを喜
      ばせるために書いたものである。
【代表作】 『不思議の国のアリス (1865)』
下巻P.146より引用

 一刻も早く風呂に入り、ビールを飲み、煙草とカントを持って暖かいベッドに潜り込みたかった。

カント(Kant, Immanuel)

【生没年】 1724.4.22-1804.2.12
【略 歴】  ドイツの哲学者。ケーニヒスベルク生まれ。
       Collegium Friedericianumで最初の学校教育を受けた後、ケー
      ニヒスベルク大学に進み、クヌッツェン、シュルツから哲学・数
      学・物理学・神学を学ぶ。
       卒業後、論文”火論 De igne”で学位を得る。
       12年間の思索の結果、画期的な著書『純粋理性批判, (1781;
      1787)』を発表。
【代表作】 『プロレゴメナ(哲学序説), (1783)』
      『道徳形而上学原論, (1785)』
      『実践理性批判, (1788)』
      『判断力批判, (1790)』
下巻P.166より引用

 男は安田講堂の生き残りで『灰とダイヤモンド』の主人公みたいにいつもサングラスをかけている。

灰とダイヤモンド 【映画】

 アンジェ・ワイダのポーランド戦後史のひとつ。『地下水道』でパルチザンたちの抵抗運動と挫折を描いた後、民族運動にかかわりながら自滅していく青年をポーランド戦後史の背景を借り、映像化した。
 この映画の主人公=マチェックを演じたチブルスキーは、若くして列車事故で死んだので、ポーランドのジェイムス・ディーンともいわれている。
 酒場の女にベットでマチェックが「なぜ、いつもサングラスをかけているの?」とたずねられ、答える。「報われぬ祖国への愛を恥じて」
 これ、のちに再公開されたときは、「報われぬ祖国への愛の記念」と字幕に出たが、僕は前者のセリフのがぴったりだと思う。
下巻P.173より引用

 テネシー・ウィリアムズがこう書いている。過去と現在についてはこのとおり。未来については「おそらく」である、と。

テネシー・ウィリアムズ (Williams, Tennessee)

【生没年】 1911.3.26-1983.2.25
【略 歴】  ミシシッピ州コロンバス生まれ。
       コロンビアのミズーリ大学、セントルイスのワシントン大学で
      学んだ後、アイオワ大学に学び、文学士。様々な職業を経て、
      1943年からハリウッドでMGMのシナリオライターとなり、1944
      年からは作家活動に専念する。
       ヴァンクーバーのブリティッシュ・コロンビア大学名誉客員作
      家(1980)。ニューヨーク劇評家賞(1945)、シドニー・ハワード劇
      作家賞(1945, 48)、ピューリツァー賞(1958)などを受賞。ハーヴァ
      ード大学名誉人文学博士(1982)、アメリカ・アカデミー会員(1976)。
【代表作】 『戯曲ガラスの動物園, (1944)』
      『戯曲欲望という名の電車, (1947)』
下巻P.195より引用

 一日か二日からりと晴れてくれればそれでいいのだ。そのあとでJ.G.バラードの小説に出てくるみたいな大雨が一ヶ月降り続いたって、それは私の知ったことではないのだ。

J.G.バラード

既出
下巻P.202より引用

 私が浴槽に湯をためて部屋を点検しているあいだ、太った娘はベッドに寝ころんでバルザックの『農民』を読んでいた。

下巻P.335より引用

 「まだそこにいたの?」
「まさかまさか」と娘は言った。「一度行ってまた帰ってきたのよ。そんなにのんびりしているわけないでしょ。本のつづきが読みたかったから帰ってきたのよ」
「バルザックを?」
「ええ、そうよ。この本とても面白いわ。何か運命の力のようなものを感じるわね」

バルザック

既出
下巻P.230より引用

 店の入口に置かれたディスプレイの二十七インチTVはウォルター・ヒルの『ストリート・ファイター』を流していた。チャールズ・ブロンソンがベア・ナックルのボクサーに扮し、ジェームズ・コバーンがそのマネージャー役をやる映画だった。
 私は中に入って備えつけのソファーに座り、暇つぶしに試合のシーンを見せてもらうことにした。


ウォルター・ヒル【映画監督】

 『ロングライダーズ』(夕暮れアクション西部劇)、『ストリートファイア』(ロックンロールの寓話)の監督。1時間20分の枠で作品をきちんととれる数少ないハリウッドの監督。
下巻P.233より引用

 不死の人間が自分の不死性についてどう考えるかなんて、私の想像力の狭い範囲をはるかに超えた問題だった。一角獣や高い壁が出てくるとなるとなおさらだ。まだ『オズの魔法使い』の方がいくぶん現実的であるような気がする。

ライマン・フランク・ボーム(Baum, Lyman Frank)

【生没年】 1856.5.15-1919.5.6
【略 歴】 アメリカの小説家。ニューヨーク州チタナンゴー生まれ。
     ニューヨークのWorldの記者を経て、1876年ペンシルヴァニア州
     ブラッドフォードのNew Eraの創刊編集長となる。その後、俳優・
     セールスマンなどの職を転々としながら創作活動をする。1914年、
     ロサンゼルスにオズ映画制作会社を創立。
【代表作】『オズの魔法使い, (1900)』
下巻P.234より引用

 私自身の自我にふさわしい有益な人生を手に入れることができるかもしれないと考えたことだってあった。そしてそのために私は自己を変革するための訓練さえしたのだ。『緑色革命』だって読んだし、『イージーライダー』なんて三回も観た。

チャールズ・アラン・ライク (Reich, Charles Alan)

【生没年】 1928.5.20-
【略 歴】  アメリカの文明批評家。ニューヨーク生まれ。
      オバーリン・カレッジ卒業後、シカゴ大学で法学を修め、法律の
      実務についた後、エール大学で法学の講座を担当(1964年より教授)。
      60年代に注目を浴びた一群の文明批評家の一人で、特に『緑色革命
       (1970)』が異常な文学的政治的反響を呼んだ。
【代表作】 『緑色革命 (1970)』
      #日本書籍総目録(1995年版)には掲載されていませんでしたので、
      #一般書店では、現在、入手は不可と思われます。
下巻P.235より引用

 私にはわからなかった。絶望なのかもしれない。ツルゲーネフなら幻滅と呼ぶかもしれない。ドストエフスキーなら地獄と呼ぶかもしれない。サマセット・モームなら現実と呼ぶかもしれない。しかし誰がどんな名前で呼ぼうと、それは私自身なのだ。

ツルゲーネフ

既出

ドストエフスキー

既出

サマセット・モーム(Maugham, William Somerset)

【生没年】 1974.1.25-1965.12.16
【略 歴】  イギリスの小説家、劇作家。パリ生まれ。
       ハイデルベルク大学に学んだが、帰国しロンドンで医学を修め
      る。小説『ランベスのリザ (1987)』で文壇の注目を浴び、引き
      続いて小説と戯曲を書いた。第一次・第二次世界大戦では、情報
      機関に勤務し、その体験に基づいた短編集などを発表。第二次大
      戦中に渡米する。彼の戯曲は、機知と諧虐に満ちた現代の風俗喜
      劇として好評を博した。
【代表作】 戯曲『ひとめぐり (1921)』
      小説『人間の絆 (1915)』
下巻P.266より引用

 「『僕のせいじゃない』というのは『異邦人』の主人公の口ぐせだったわね、たしか。あの人なんていう名前の人だったかしら、えーと」
「ムルソー」と私は言った。
「そうムルソー」と彼女は繰り返した。「高校時代に読んだわ。でも今の高校生って『異邦人』なんてぜんぜん読まないのよ。この前図書館で調査したの。あなたはどんな作家が好きなの?」


カミュ(Camus, Albert)

【生没年】 1913.11.7-1960.1.14
【略 歴】 フランスの小説家、劇作家、評論家。アルジェリア・ボーヌ県モ
     ンドヴィ生まれ。
      セールスマン、県庁吏員などをしながら演劇と文学に専心、素人
     劇団を主宰する。後パリに出て新聞記者となるが、ドイツ軍侵入後
     アルジェリアに戻って教師となる。この間に小説『異邦人, (1942)』
     評論『シジフォスの神話, (1942)』を書き、反ナチス抵抗運動のた
     め潜入したパリで発表する。また、ドイツ軍占領下のパリで戯曲『誤
     解』の上演に成功し(1944)、小説『ペスト, (1947)』の発表で現代
     の代表作家となる。簡潔な文体で異常な状況における人間を追求した。
【代表作】 『異邦人, (1942)』
      『シジフォスの神話, (1942)』
      『ペスト, (1947)』
下巻P.267より引用

 「ツルゲーネフ」
「ツルゲーネフはそんなたいした作家じゃないわ。時代遅れだし」
「そうかもしれない」と私は言った。「でも好きなんだ。フローベールとトマス・ハーディーも良いけど」
「新しいものは読まないの?」
「サマセット・モームならときどき読むね」
「サマセット・モームを新しい作家だなんていう人今どきあまりいないわよ」と彼女はワインのグラスを傾けながら言った。「ジュークボックスにベニー・グッドマンのレコードが入っていないのと同じよ」
「でも面白いよ。『剃刀の刃』なんて3回も読んだ。あれはたいした小説じゃないけど読ませる。逆よりずっと良い。」

ツルゲーネフ

既出

フローベール(Flaubert, Gustave)

【生没年】 1821.12.12-1880.5.8
【略 歴】  フランスの小説家。ルーアン生まれ。
       はじめ法律を学んだが後文学に専念。ルーアン近郊の村に篭もっ
      て一生涯を文学に殉じ、「文学の修道士」と呼ばれた。『ボヴァ
      リー夫人 (1857)』によって、近代小説における写実主義を確立し、
      自然主義への道を拓いた。作品は題材により写実的な現代生活の
      描写と華麗な想像に富む歴史及び伝記の世界の表現との二系列に
      分かれる。
【代表作】 『ボヴァリー夫人 (1957)』
      『サランボー (1862)』

トマス・ハーディー

既出

サマセット・モーム

既出
下巻P.301より引用

 曲が終わるとディスクジョッキーの女性が出てきて「もう秋ですね」と言った。それから秋に最初に着るセーターの匂いの話をした。そういう匂いについての良い描写がジョン・アップダイクの小説の中に出てくる、と言った。

ジョン・アップダイク(Updike, John)

【生没年】 1932.3.18-
【略 歴】  アメリカの作家。ペンシルベニア州シリングトン生まれ。
       ハーバード大学を首席で卒業後、画家を志してオックスフォー
      ドの美術学校に進んだが、1年後に帰国。雑誌「ニューヨーカー」
      のスタッフをしながら短編や詩を同誌に寄稿した。初の長編『プ
      アハウス・フェア (1959)』でアメリカ芸術院賞を受賞、翌年発表
      した『走れ、ウサギ (1960)』で作家的地位を確立、職人芸風の文
      体で現代アメリカの風俗を巧みに描く作家としての地歩を築く。
      『ラビット・イズ・リッチ (1982)』でピュリッツァー賞、『ラビッ
      ト・アト・レスト (1991)』でピュリッツァー賞と全米図書批評家
      協会賞受賞。米国芸術勲章受賞(1989)。
【代表作】 『金持ちになったウサギ (1981)』
下巻P.325より引用

 「どうして離婚したの?」彼女が訊いた。
「旅行するとき電車の窓側の席に座れないから」と私は言った。
「冗談でしょ?」
「J.D.サリンジャーの小説にそういう科白があったんだ。高校生の時に読んだ」


J.D.サリンジャー(Salinger, Jerome David)

【生没年】 1919.1.1-
【略 歴】  アメリカの作家。ニューヨーク生まれ。
       マンハッタンの名門高校を中退して以来、数々の学校を転
      々とする。プリンストン大、スタンフォード大、コロンビア
      大などで学ぶ。18歳頃より創作をはじめ、21歳で初めて
      短篇を「ストーリイ」誌に発表。1951年処女長編『ライ麦畑
      でつかまえて』を出版し、大人の世界の偽善とまやかしを批
      判した新鮮な文体によって、アメリカだけでなく世界中の、
      とりわけ若い世代に熱狂的な人気を得る。短篇集『九つの物
      語 (1953)』を発表して、戦後世界の精神的荒廃を描き、東洋
      思想への傾斜を見せた。65年から、世俗を避け、ニューハ
      ンプシャーの田舎に引きこもって人目につかない生活を送っ
      ていると伝えられる。俳優のマット・サリンジャーは息子。
【代表作】 『ライ麦畑でつかまえて (1951)』
      『フラニーとズーイ (1961)』
      『大工よ、屋根の梁を高く上げよ。シーモア序章 (1963)』
      『九つの物語 (1953)』(短篇集)

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