皮膚弁移動術


肛門の後方(写真の上方)に肛門ポリープを伴った裂肛がみられる。この症例では肛門狭窄を合併しているため、正常の広さの半分ほどしか開かない。このため、裂肛部分を手術すると同時に肛門を拡張させる「皮膚弁移動術」を選択する。
肛門を拡張しつつ裂肛部分から切開を加える。十分に括約筋に緊張がかかるように肛門鏡で肛門を拡張しすこしずつ切開をする。
肛門ポリープや見張りいぼなどを切除し、十分の広さを確保できるまで内括約筋に切開を加える。
粘膜と皮膚の断端を縫合するため、吸収糸を用いて縫合する。
このままでは、縫合部分に緊張がかかるため、縫合部分より1cm程外方の皮膚に切開を加え肛門内に移動させる。
肛門内の創は移動した皮膚(皮膚弁)でおおわれ、肛門の外には創が残り、術後の疼痛を予防する。