おきのどくなイヌさんのはなし

 幸いなことに、お猿さんは痔にならないようです。
 肛門病学の研究を難しくしている原因の一つに、「痔持ちの実験動物がいない」ということがあります。

 先輩医師から聞いた話ですが、ある医局員が教授から「痔持ちの実験動物をつくりなさい」という難題を仰せつかりました。
 教授の命令に背くわけには行かないその医局員は悩んだあげく、イヌをいすに座った姿勢で縛り付けて、何日も餌や下の世話をしながら、今か今かと『世界初の痔主犬』の誕生を待ったそうです。
 さて、長い間座りっぱなしの結果、痔主犬は誕生したでしょうか。
 残念ながら、座りっぱなしのストレスから、痔になる前にあわれ「胃潰瘍犬」が誕生してしまいました。

 宿敵、お猿さんも「ウンウン」とうなずいているでしょう。
 お気の毒なイヌさんの冥福を祈って「南無阿弥陀仏、南無阿弥陀仏、南無阿弥陀仏」と三回唱えてあげてください。