海 の 向 こ う の  事 情

  南米エクアドルに民間療法があることがわかったので、他の国にもあるのでは? と続けてあちこちのお国の人に聞いてみました。さて、結果は? 今回は、そのレポートです。  

欧米人は薬が頼り
「治療の方法? 薬屋で買ってきた坐薬と塗り薬だけだな」(2年前からイボ痔を患っているアメリカ人男性)

「薬を買って来るか、お医者さんに行くか。他は食べる物に気をつけ、適度に運動をして便秘にならないようにすることぐらいね」(妊娠中にちょっと患ったスペイン人女性)

 民間療法に頼らないのは、やはり西洋医学の本場だからかしら。父親が痔だというベルギー人女性も「父はお医者さんでお薬をもらってくるみたい。寒くなるとひどくなるらしく、冬場は車の運転も控えてるわ」と言っていた。独自の治療法がなかったのは残念だけど、痔は、冷えると悪化しやすいという傾向は他国の人も同じなのだとわかったのは、ひとつの収穫でした。  

痔 イズ トップシークレット!?
 その国ならではの治療法が出てこなかったのは、欧米各国では日本以上に痔の話はシークレットということが関係しているかも知れません。話題にのぼらなければ情報も回りませんものね。どれほどシークレットなのか。英国文化を受け継ぐオーストラリアの男性に聞いたところ、彼はまず「ドヒャヒャヒャヒャヒャ!」と真っ赤な顔して大笑いした後、
「(痔に)なった経験もないし、周りの人からなったって話も聞いたことないよ〜。万が一なってても、恥ずかしくて絶対言えないだろうしなぁ」
だって。
 そりゃま、オーストラリアみたいに広くてのんびりしてて気候も良い国に住んでたら、ストレスから便秘になることなんてなくて、実際、痔になる人も少ないかも知れないけどさ。世界の患者数データがないので言明できないけど…。それでも絶対いるはずだ! 痔持ちのオーストラリア人をご存じの方はご一報ください。  

英国式痔話
 かと言って、欧米人社会で痔の話がタブーかというとそうではないようです。
 薬学部卒業で「ヨーロッパでは坐薬がもっともポピュラーな治療法だ」と教えてくれたイギリス人男性は、こんな話をしてくれました。
「たとえば、パブで飲んでいる時なんかには良く(話が)出るね。トイレに立った奴の席に氷を置いて、奴が戻って座ったとたん『最近、お尻の調子はどう?』『うむ、けっこう悪いな』って具合に」。
 本当に痔を患っている人の場合は笑えないギャグですので、決してマネをしないでください。
「あと、もうビールは断りたいって時『お尻に悪いから』って感じで使うね。みんな笑って『じゃ、仕方ないな』と…」。
 さすがジョーク好きのイギリス人。これならお酒を断っても気まずくならないわい、と感心。でも、こんな風に使われるから、痔は笑われる病気、痔は恥ずかしい、ってイメージがつきまとっちゃうんじゃない、とちょっぴりムッとしちゃったです、はい。

 ところで、私がこうしていろんな土地の人にお話が聞けたのは、ヘモロイド(痔)という言葉を知っていたからです。これはもしかして世界共通語?(少なくとも英語とスペイン語圏では通じる。)皆さまも海外旅行中、痔で病院を行かなければならなかった際には「アイ ハブ ヘモロイド」とお医者さんに言ってください。きっと通じる…はずですよね、ドクターOK?