こちらは現在広く使われている注射療法です。
痔核組織に硬化剤を注射することによって、痔核の血管周囲の組織を固くして出血しにくくします。



左は、注射する前の痔核組織の顕微鏡写真です。大きな楕円形や、その周囲に白く抜けている部分は、痔の静脈瘤(血管)です。大きく拡張した血管の中に、赤く粒々に見えるのは赤血球です。太い血管に比べて、周囲の組織は非常に薄く簡単に破れて出血をきたす恐れがあります。右の写真は、注射療法後です。血管の周囲の組織が拡張して、血管が薄く押しつぶされているのがわかります。これは硬化剤の作用により、血管の周囲組織に繊維が集まってきて硬化された状態になっているわけです。これによって、簡単には出血しないようになります。出血には大変優れた治療法ですが、欠点として永久には聞かないことと、出血のみに有効で脱肛は治らないと言うことがあります。しかしながら、坐薬などで出血が止まらず手術する暇もない方が、しばらくの間でも症状をなくすことができるので、外来治療でよく行われる治療法です。