裂肛(きれ痔)
肛門から入って1cmくらいの、肛門の皮膚の部分に傷ができた状態を裂肛と呼んでいます。大部分は、固い便を無理に出したことが原因となって傷が付きますが、肛門性交や肛門内に異物を挿入することで傷つけることもあります。裂肛が慢性化すると肛門が狭くなり、繰り返し切れやすくなります。また、長期間にわたる傷の刺激から、傷の外部分の皮膚が肥厚して「見張りイボ」と呼ばれるやや固い皮膚の突起物ができたり、傷の奥の部分に肛門ポリープができて肛門外に脱出することもあります。
症状
裂肛ができる肛門部分は痛みを感じますから、排便時などに強い痛みが生じ、しばらく(時に数時間)痛みが残るのが特徴です。出血はほとんどの場合少量か、全くない場合もあります。
治療
裂肛の約9割は、薬による治療で治りますが、生活習慣の改善で便秘を治さないと繰り返し切れやすいのが特徴です。このためには食物繊維を充分に摂り、必要であれば緩下剤を用いて便を軟らかくします。裂肛のできる部分は括約筋でしまっている肛門の壁ですから、軟膏を肛門内に浅く注入するのが効果的です。また、痛みが強い場合は、排便前30分くらいに鎮痛剤を服用すると効果的です。
裂肛が慢性化して深い傷になり薬の治療では治らなくなった場合や、肛門狭窄が生じ排便が困難な場合、また肛門ポリープを合併して肛門ポリープの脱出により傷が治りにくく痛みが強い場合には手術適応となります。