ぢじょでん外伝 同じイボでも症状は十人十色。
だから、ご披露ください、あなたのスペシャル経験を。
話せばスッキリ、聞けばニッコリ 私の痔慢 第7回
ケツイの後に悩みあり
 今回は、お尻の悩みから解放されようと決心したのに、そこからまた新たな悩みが始 まってしまった人たちのお話です。

Vol.7-1薬屋で購入した薬でさらに悪化!? (B子・38歳・フリーター)
「3ヵ月ほど前にお腹の調子が狂って、お尻が切れ、出血しました。慌ててドラッグ ストアで塗り薬を買い治療したところ、出血は止まりました。でも、今もうずくよう な痛みがあり、鏡で見ると腫れてる感じ。薬を塗りたいのですが、塗ると今度はひりひりと肌荒れのような痛みを感じ、怖くて使えません。薬を選び間違えたのかな?」

Dr.OK との一問一答
●早々に手当てしたのに、さらに別の症状が出てきたとはショック! やはり薬が悪 かった?
「どんな薬にも副作用はあります。座薬や軟膏のような外用薬の注意書きには必ずと いっていいほど『皮膚炎(要するにかぶれ)』というのがあるものですし、皮膚炎用 の薬にでさえ『副作用:接触性皮膚炎(発赤等)』と書いてあるぐらいですから」

●受診せずに自分で治療することの問題点は?
「薬剤師さんに相談しても症状だけから判断することには無理があります。(そんな 薬剤師さんがいたら、僕たち医師の立場がありませんし(^_^;)。)また、自分で裂肛による出血だと思っていても、実は肛門のまわりがかゆくて掻きむしったせいでの 出血だった場合もありますので、適切な治療薬はやはり専門科の医師に受診し、処方 してもらうべきでしょう」

●薬の使い方での問題もある?
「そうですね、薬の使用方法も要注意ですね。肛門内に注入すべきところを肛門外に毎日塗って、効果が染みとおるのをじーっと待っていたという人がいましたから」

●携帯電話のマニュアルに比べたら、薬の使用説明書なんて朝メシ前! きちんと読 みこなしてから使わなくちゃ、ですね?
「いや、それが…読みこなすだけでは不十分なんですよ。たとえば、同じ薬でも注入 する場合と、まわりに塗る場合があったりする。適切な使用方法は、医師が診察後に判断するんですね。使い方の指導も、もちろんします。薬は、患者さんがその指導に従って使用することで、初めて効果が期待できると言っていいでしょう」  

お尻を見られた後に、見せた相手と面と向かって症状と治療法の説明に加え、お薬 の説明まで受けるのは、ちと気恥ずかしいものだけど、薬の使い方間違いが原因でなかなか治らず何度もお医者さんに通うよりはマシ。お尻の話は、お尻を落ち着け、話のお尻までじっくり聞きましょう。

Vol.7-2二度と再発させまいと思ったのにぃ (へぼへぼ・40歳・会社員)
「以前、内痔核を患い、手術で完治。二度と再発させまいと思っていたのに、先日旅 行先で出血させちゃいました。気づいた時は、頭がくら〜ッとしましたよ。出血は少量、トイレットペーパーに輪型がじっとりって感じで、排便後はジンジンとした痛み がしばらく続いたので、内痔核とは違うと思うのですが、裂肛なのか外痔核なのか、どっち?まさか併発してるんじゃあ?」

Dr.OK との一問一答
●内痔核は、痛みはないけどシャーッとほとばしるような出血があるので、それでな いことは確かですよね?
「内痔核が常に大量の出血をするわけではありませんが、出血量が少なく、排便後に 痛みが残るというのは、裂肛の可能性が大きいでしょう」

●裂肛=切れ痔の痛みは、ピリピリとかヒリヒリとか外傷的な痛みのはず。外痔核も患ってるのでは?
「裂肛でも、排便後しばらく肛門括約筋の痙攣による痛みが続くと言われています。 排便時に括約筋が拡張されたのが引き金になるんですね。痛みは数時間残る場合も少 なくないようです」
ひぇ、切れでも”ジンジン痛”はあるんだ! 経験者でも、やっぱ素人判断はあきまへんな。まだ出血と痛みが続いているようなら、お医者さんに行きまひょ。

Vol.7-3手術を受ける決意をしたけれど (ひろみ・35歳・会社員)
「手術を受ける決意をしましたが、問題は会社を休むための理由です。うまい言い訳、ありませんか? なんと言っても『入院する』と言うと、『どこが悪いの? お見舞い行くよ』と言われるのが心配です」

★元患者との一問一答  
こちらのお悩みは、Dr.OKの守備範囲じゃないので、私があらゆるネットワークを 駆使して(!?)調査、まとめてみました。

●自分の体調不良がバレていない場合。
「親が入院するので、しばらく看病に」(と他人を入院させる。病名を聞かれたら、 「検査入院」あたりで済ませると罪がないだろう。もちろん、「私が検査入院」でもよいようなものだが、ヘタすると「いつ倒れるかわからないような人に、仕事は任せ られない」なんて思われちゃったりするので、注意したい。)
「親戚がハワイで挙式するので、それに出席するために」(お土産はカタログ販売を 利用しましょう。写真は、デジカメとパソコンで合成か。)

●自分が入院するとバレている場合
「慢性化していた虫垂炎の手術」(と、嘘で固める。しかし、将来本当に虫垂炎になった時は、困るだろうなぁ。)
「ちょっと言いづらい病名なので」(と、相手の想像に任せる。)  
もし「お見舞いに行く」と言われたら、
「短期間だし、大したことないからいいよ。その代わり退院祝いして」(と、なにげに退院祝いをおねだりしちゃいましょう。)
*「退院したら、お話します」と言うのも手かも。経験上、患っている時は話しづら かったのだけど、治ってしまうとけっこうあっけらかんと「実は、痔だったのよぉ」 と言えたので。終わって初めて言えるもの、それは痔と不倫…。最中は、とってもつ らい点も同じよね〜。


オマケ
ケガから痔になる!?  
 以前、テレビで32歳の男性が「6〜7年前、杭がお尻に刺さってから、月に一度、傷跡の穴から出血して膿が出る」と言っていた。症状だけから考えると、痔ろうだ。 でも、原因が通常とは異なりすぎる。そこで先生に「ケガから痔になることはあるの ?」と伺ったところ、なんと「ある」のだそうだ。直腸との間がトンネル状態になる 『外傷性痔ろう』が、それ。「もうひとつ考えられる可能性は、傷の中に異物が残っているケース」。刺さった杭の破片が残っていたために、そこから慢性的な感染が起こり、時々腫れては膿が出ることを繰り返すとか。聞いてるだけで痛いゾ。ケガした時に、なぜちゃんと治療してもらわなかったのか、そこが不思議だ。


イタズラの「カンチョー!」で裂肛に!?
肛門内にうまい具合に入っちゃうと、痔になってしまう! …こともありえない話ではない。Dr.OKいわく
「下着やズボンが介入していますから、現実的には不可能だと思いますが、『北斗の拳』のケンシロウ級の、相当の『名人』なら可能かも^^;」。
肛門が裂けた場合、『外傷性裂肛』という診断名を頂戴する。痔になる原因は、思わぬところにも転がっているのだ。イタズラも、ほどほどにネ。