おしりの悩みFAQ

もくじ

私の病気を診断してください。
  • 質問の大部分を占めているのが、自分の症状を記載して「私の病気は何でしょうか。」と言うものです。診断とは読んで字のごとく「診察をして病名を判断する」わけですから、診察、つまりお話を聞く問診、病変部を見る視診、病変部をさわってみる触診、必要ならばいろいろな検査を総合して行うものです。したがって、どんな名医であっても、お話を伺うだけでは正確な診断はできません。ここでお答えするのは。あくまでも診断予想であることを、ご了承ください。(予想するだけでも、かなり難しい場合もあります。年齢と性別を教えていただくと助かります。)

医者に見せたくないので、家庭でできる治療法を教えてください。
  • このホームページを作った動機の一つは「自己診断で誤った治療法を行い、ひどい目にあった患者さんがいる。」ということです。診断が正確にできない限り、適切な治療法のアドバイスはできません。お答えできる内容は、診断の予想が当たっていた場合の一般的な処置についてであり、そのまま自己治療で大丈夫だとは絶対にいえません。非常に希な話ですが、「長年切れ痔だと思っていたが、実は肛門癌だった」と言う患者さんも、いらっしゃいます。私のアドバイスは応急処置だと判断し、一度は診察を受けてください。

病院にかかりたいのですが、肛門科がない場合、外科でよいのですか。
  • 痔の治療や手術は、外科で行われています。外科の先生の中でも熱心に痔の治療を研究して手術を行っている方もいますが、昔から外科医の間では「アッペ(いわゆる盲腸)、ヘモ(痔)ヘルニア(脱腸)の手術は初心者の仕事」と考えられ、重きを置いていない施設があることも事実です。一方、肛門科の看板を掲げていれば大丈夫かと言いますと、特に肛門病の修行を積まないと肛門科を標榜できないと言うわけではなく、「結局は医師の腕の問題に負う。」と言う事だと思います。

私の近くの安心してかかれる専門医を教えてください。
  • 医者の技量を評価するのは、かなり難しい問題です。「親友で性格のいい奴」であっても、手術がうまいかどうかはわかりません。ただ、社会保険中央総合病院大腸肛門病センターでは、多くの医師の方々が見学や年単位の期間の研修を行い、全国各地で活躍しておられます。また、大腸肛門病学会などに積極的に参加して研鑽につとめている先生も多くいます。そのような方々でよろしければ、ご紹介いたします。
  • indexページに「仲間の肛門科」をご紹介してありますから、参考にして下さい。

近くの医者に痔の手術を勧められたが、本当に手術した方がよいでしょうか。
  • 診察もしていない私が、個々の患者さんの手術適応を云々するのは、越権行為だと思いますので、一般的な痔の手術適応についてお答えします。まず、「薬を使っても効果が不十分なので手術を行う」という考えには反対です。痔疾患は、一般には良性の(放置していても命に別状はない)の病気なので、手術のデメリット(手術の危険性や、術後の障害など)がメリット(症状の改善)を上回らなければなりません。以下、痔核、痔瘻、裂肛の手術適応を述べます。
    痔核:排便時に肛門から痔核が脱出してしまう「脱肛」のある方が、手術適応です。ただし、この場合でも「がまんできるので手術したくない。」場合は、適応がないと判断しています。出血や腫れ、痛みは薬で保存的に治療しますが、長期間薬で治療したからと言って痔核がなくなってしまう訳ではありません。薬はあくまでも症状を取るために使用します。まれに出血がひどくて、貧血になってしまう場合手術する事がありますが、そのようなひどい痔核は脱肛してくる場合がほとんどです。
    痔瘻:ほとんどが手術の適応です。まれに痔瘻が抗生物質の投与などで治ってしまう場合も経験しますが、一ヶ月治療しても治らなければ手術をお勧めしています。特に痔瘻の場合、放置していますと複雑痔瘻に発展し手術成績も悪くなります。ごくまれな話ですが、複雑化した痔瘻から痔瘻癌が生じることもあります。
    裂肛:まず薬で保存的に治療してみます。慢性的な裂肛で、裂肛が深く見張りいぼや肛門ポリープを合併していたり、肛門狭窄になっている場合は、手術をお勧めします。

痔の手術の場合、入院日数と費用を教えてください。
  • 施設によって違うと思いますが、社会保険中央総合病院を例にすると、10日前後で2週間を越えることはまれです。個々の例については「いぼぢなおしてHOW MUCH」http://www2b.biglobe.ne.jp/~dr-ok/how1.htmlを参考にしてください。

痔の手術は大変痛いと聞いていますが、本当ですか。
  • まず、手術は腰椎麻酔(腰の背骨の間に注射します)で行いますから、2〜3時間は、全く痛みを感じません。腰椎麻酔の注射が大変痛いとの噂がありますが、私たちは腕に注射すのと同じ太さの針を使用していますので、心配ありません。手術後の痛みについては、もちろん手術の上手、下手によるわけですが、通常手術の翌日から自由に病棟で歩いてもらっており、痛みのためにベッドから起きあがれないような患者さんはいません。中には、鎮痛剤も不要とのことで服用されない患者さんもいらっしゃいます。


痔の手術は再発することが多いと聞きますが、本当ですか。
  • たとえば痔瘻の場合、大きく切開を加えれば再発は少なくなりますが、括約筋などを損傷して便の漏れなどが生じますし、痔核でたくさん取りすぎますと肛門狭窄をきたします。手術も薬と同じように「さじ加減」が大切だと言うことです。1度の手術で治らない場合もありますが、きわめてまれです。


入院せずに痔の手術ができますか。
  • 手術することは可能です。しかし手術後の安静や出血の危険性などを考えて、私たちの施設では、10日前後の入院で行っております。アメリカではday surgery と言って、日帰りの手術が一般的のようですが、医療費が高いと言うことが根底にあるためのようです。日本でも将来的に医療費の自己負担が増加していけば、もっと日帰り手術を行わなければならないかもしれません。


レーザーメスを使って手術をしていますか。
  • 残念ながら、うちでは使っていません。学会などでレーザーメスの長所を発表される先生もいらっしゃいますが、私が受けた印象では「それほどの差はない」と思います。ただ、「レーザー=先端技術」と言う認識から、患者さんの受けは良いようです。今やレーザーメスも数百万円程度で買えるようになり、「レーザーメスの評判で患者さんが増えれば、すぐに元は取れる」らしいです。


痔は遺伝しますか。
  • 痔が遺伝性疾患と言うことはないと思いますが。しかし、下痢をしやすいと痔瘻になりがちですし、痔核を支える結合組織がゆるいと脱肛になりやすいと言う意味で、痔になりやすい家系はあると思われます。


内痔核と診断されたが、別の医者では異常ないと言われました。どう言うことでしょうか。
  • 痔核は肛門にある網の目のような血管が瘤状(静脈瘤と言います)になったものです。ただ、どの程度からが異常という一線があるわけではありません。「痔の程度が軽い。」と理解すれば良いでしょう。


寝ていると肛門周囲がかゆくなるのですが、ギョウチュウがいるのでしょうか。
  • 私も中学校の保健の授業で、「寝ているうちにギョウチュウが肛門の周囲に卵を産み付けるのでかゆくなる。」と習いましたが、このような患者さんの中で「ギョウチュウ症」の患者さんに当たった経験が今のところありません。肛門のかゆみのほとんどが「便によるかぶれ」です。排便後洗浄し、掻くことを避け軟膏を付けることで治療しています。たまに、カンジダと言うカビが原因の湿疹がありますので、それ用の軟膏が必要な場合もあります。