おやおや、肛門の後ろ、背中側の方向に大豆くらいの大きさの腫れ物ができていますよ。この部分が痛いわけですね。よく見ると、皮膚を透けるようにして一部分青黒く見える部分もありますね。 |
これは、血栓性外痔核と言って、肛門の出口に近い外痔核の部分で血液が固まって血豆状態になっていて、これを血栓と言うんですが、その影響で腫れて痛いんです。 まあ、痛むと言っても数日からせいぜい一週間くらいですが。 治療方針は二つあるんですが。 まず、すぐに腫れを引かせてほしい場合。これは局所麻酔をして、皮膚に小さな切開を入れて血栓を取り出してしまう方法。しばらく、切開した部分から血が付きますが、明日からお風呂にも入れますし、一週間もすればほとんど気にならない程度になりますよ。 もう一つの方法は、「切るのは怖いからイヤだ。」とおっしゃる場合。たかが血豆ですから、ほっておいても徐々に吸収されてなくなります。痛むのも先ほど言ったように、長くても一週間程度ですから、その間痛み止めを飲んでいれば我慢できる程度ですよ。ただ、血栓が完全に吸収されるには数週間かかりますから、その間は肛門に異物感があると思います。運が良ければ、表面の皮膚が自然に破れ、血栓が溶けて外に出てくることがあり、そうした場合は切開と同じで早く治ります。血は出ますけど。 「先生はどちらがお勧めですか?」と言われても。これは、今話題のインフォームドコンセント、つまり患者さんが十分理解した上で、治療法を選択すべき問題ですから。まあ、病院としては切開した方が儲かると思いますけど。 そうですか、切開せずに治しますか。まあ、うちではだいたいの患者さんが切開せずに治していますよ。 それでは、鎮痛剤と軟膏を一週間分処方しておきますから。お風呂に入ったり、使い捨てのカイロなどで温めると痛みが楽ですよ。 それではお大事に。一週間しても痛みが取れなかったり、ますますひどくなるようなら、もう一度診察にきてくださいね。 |