知の道7:知ることの意味


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ヒヨコ君 博士♪ 今回は息抜きなんですよね♪♪
博士 なにが「♪」じゃ!! でも、まぁこれまで熱い議論をかわしてきたのでちょっと息抜きがてら原点に戻ってみようかなと思っておる.
ヒヨコ君 原点ですか?
博士 そうじゃ.もともとのタイトルの「知の道」に戻るのじゃ.いろいろと熱い議論をかわしていくうちに議論だけが先走ってついつい本来の目的を見失うことがあるからの.特にヒヨコ君のような未熟者には振り返りが必要じゃ.
ヒヨコ君 (博士もね・・といいたいところだけど)はいはい.
博士 (博士もね・・といいたい顔をしているな.くそーっ.今に見ておれ.)でな、前回「知ったところで何が変わるんでしょうね」と言っておったと思うが.
ヒヨコ君 そーですね.いろいろと諸行無常色即是空というようなことを教わったと思うのですが・・・
博士 フムフム.
ヒヨコ君 で、それが分かったところで何なの?と.
博士 フムフム.
ヒヨコ君 思ったりしちゃうわけですよ.たまに.
博士 そうじゃと思ったから今回はわざと息抜きにしたのじゃ(エヘン).ヒヨコ君の頭脳がパンクするといけないからのう.ホッホッホ.
ヒヨコ君 どーせパンク寸前ですよ.
博士 まぁそれも勉強のうちじゃわい.さてここで質問です.
ヒヨコ君 いきなりですね・・・
博士 これまで議論して、ある程度理解したつもりでいる知識についてじゃが.
ヒヨコ君 諸行無常諸法無我というような言葉の意味ですね.
博士 そう.そういうことを知ったわけじゃが、で、そういうことをもし知らなかったらどうなる?
ヒヨコ君 どうなるって・・・別に何も変わらないような気が・・・
博士 じゃあさらに聞くが、何が「ヒヨコ君」なのじゃ?
ヒヨコ君 前にも問われたような気が・・・ま、少なくともここにいる僕が「ヒヨコ君」で、それはいろんなによって成り立っているもので変化していくものかなと.
博士 そうそう.でもこれまでにもそのように考えてみたことはあったのかな?
ヒヨコ君 んー漠然と人間は成長していくものだとは思っていた気がしますが.
博士 思っていた気がするというのと、実感として、かつ、論理的に理解するというのはぜんぜん違うのじゃ.
ヒヨコ君 どーゆーことですか?
博士 例えば今から近所のカラオケに30分後に集合!!といわれたら?
ヒヨコ君 わーい!!今日は歌って踊って朝までイェー!!ハッカッセのお・ご・り・
博士 やかましいわ!!コラ!! そういう話じゃなくて間違えずに行けるのか?ということを問うておる.
ヒヨコ君 あったりまえじゃないですか.しょっちゅう行ってますから.
博士 じゃあ明日の朝10時に大阪のなんばパークスの2Fのスタバ前に集合って言われたら?
ヒヨコ君 どこですかそれは???僕は関東に住んでいるのでインターネットで調べないと.
博士 インターネットで調べれば間違いなくいけるのか?
ヒヨコ君 ま、それは当日何がおきるか分からないですが、少なくとも何も知らずにとりあえず新大阪行きの新幹線に飛び乗って着いてから現地で人に聞きまくるよりかはましかなと.
博士 「思っていた気がする」というのと「論理的に理解する」のとでは、「とりあえず新幹線に飛び乗って現地で聞きまくる」のと「あらかじめインターネットで調べておく」くらいの差があるのじゃ.
ヒヨコ君 ...
博士 さらに言えばインターネットで調べていても、百聞は一見にしかずで、行ったことがあるのと無いのとでは大違いじゃ.
ヒヨコ君 まぁそれはそうですけど.
博士 で、これからヒヨコ君が生きていくうえでいろんなことに遭遇するかと思うが.
ヒヨコ君 ハイ.
博士 既に経験したことがあることなら、先の近所のカラオケの例えのようになんなくこなせると思うが、初めての事にぶつかった時、即ち何も分からないことにぶつかった時にこの諸行無常や諸法無我というような世界観が、先の例で言う「あらかじめインターネットで調べておく」ことのような効果をもたらすことになるのじゃ.
ヒヨコ君 ???話が難しすぎて分かりません.
博士 ものも心も移り変わっていくのだということを実感として知っておくと良いということじゃ.前にも言うたが、今日桃ヒヨコちゃんの機嫌がよくても明日も良いとは限らんじゃろ.
ヒヨコ君 そーですね.女心はわかりませんわ.
博士 いや、別に女心だけじゃなくてね・・・移り変わっていくのが普通なんじゃということが分かったら、こまめに話しかけようとか思うじゃろ.
ヒヨコ君 なるほど.
博士 一ヶ月も話をしないまま時間が過ぎて、久しぶりに話をしたらなんか雰囲気が変わっていたし、なんか冷たかったとなっても、変化するのが当たり前じゃからそれは一ヶ月も話をしないままだったのがまずかったと思うじゃろ.
ヒヨコ君 (ギクッ)そ、そーですね.
博士 それを「諸行無常」という法則を知らずに「雰囲気が変わって冷たくなった方が悪い」みたいなことを言い出すと話がおかしくなる.そもそもの自然の法則を否定するようなもんじゃからの.
ヒヨコ君 (ギクギクッ)
博士 なんか勝手にトーンダウンしているようじゃが.どうかしたか?
ヒヨコ君 い、いえ別に・・・
博士 自然の法則を知ったうえで、はじめて正しく考えることができるということじゃ.仏教でも三毒(さんどく)といって苦しみの源をあらわす言葉があるのじゃが、その中のひとつに痴(ち)というものがあるが、これは物事の道理を知らないことをさしておる.それほど知らないと言うことは苦しみを生むものとされておる.
ヒヨコ君 はぁ.
博士 人の心は移り変っていくのが自然の法則なのに(だからこそこまめなケアが大事なのに)しばらくほうっておいて変わったほうが悪いといってもそれは子どもに向かって成長するなと言ったりするくらい無茶なことじゃよ.
ヒヨコ君 (反省).
博士 なんか勝手に別のことで悟っているようじゃな。結局自然の法則や道理を無視して考えても何も解決せんと言うことじゃ.
ヒヨコ君 でもなんか「物事の道理を知らない」というのは仕方が無いような気もしますが.いきなり分かるわけもないですし・・・
博士 んー誰も最初からわかっているわけではないのじゃ.だからこそ「道理を知らずに考えてもそれは思い込みに過ぎず結果として何も解決しませんよ」ということを肝に命じておくことが大事なのじゃ.道理を謙虚に知ろうとする姿勢が大事なのかなとわしは思っておる.
ヒヨコ君 なるほど.
博士 最初に「分かったところで何なの?」という問いがあったと思うが、道理を知ると正しく考えることが出来ますよということを言っておる.
ヒヨコ君 なんか怖いですね・・・じゃ雰囲気で「思っていた気がする」くらいでとらえていた僕は正しく考えていなかったということになるのかな・・・
博士 ま、ヒヨコ君の場合は「正しい」「正しくない」以前にそもそも「考える」と言うことが欠けていたような気もするが.
ヒヨコ君 うーーーワン!!ワンワンワン!!!ガウーーー!!!
博士 いやいやそう怒るなって.その認識に立つことが次へのステップなのじゃから.(ちょっといじめすぎたかな・・・)
ヒヨコ君 ガルルルル・・・
博士 分かったから.今日はこれくらいにしようではないか.次回は「考える」ということについて続きをやろう.
ヒヨコ君 ガゥ
博士 ではまた次回じゃ.

第七話 完
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