その他の検査のポイント
1.重心動揺(gravinography)
目的:平衡障害の検査
方法:圧センサーによってX軸、Y軸の各方向(前後、左右)における重心の変
化を記録する。
通常閉脚位で、開眼、閉眼各 30秒〜1分間記録し、重心動揺の軌跡、動揺
面積、変動周波数分析、開閉眼での変化などを検討する。
2.交感神経皮膚反応(sympathetic skin response : SSR)
目的:汗腺活動に伴う皮膚の電気的な変化を記録することによって、汗腺活動を
司る交感神経系、特に節後の無髄神経の機能を評価する。無髄神経は伝導
速度が1〜2m/s と遅いので、SSR は非常にゆっくりとした反応である。
方法:いろいろな刺激で誘発できる。
精神的ストレス、深呼吸、電気刺激、音刺激などで容易に誘発できる。
通常は、
上肢:手掌中央に(-)、手背あるいは爪上に(+)の皿電極を設置し、手首
で電気刺激する。(正中神経)
下肢:足底(土踏まず)に(-)、足背あるいは爪上に(+)電極を置く。足
首で電気刺激する。(脛骨神経)
刺激はどの場所でも良く、要するにびっくりさせればよい。前額部を電気
刺激したりすることもある。
誘発波は非常にゆっくりで大きな波である。その潜時は通常の方法で、上
肢 1.5秒、下肢 2.0秒程度で、振幅は数mV〜ときには十数mVにもなる。
(足底は手掌より振幅は低い。)
したがって、記録に際しては、低域フィルターはできるだけ低くし(0.1〜
0.5Hz 程度)、記録時間も延ばす必要がある。
何回も刺激を繰り返すと habituation のため誘発できなくなってくる。十
分な時間間隔をおくか、最初の数回を評価に用いるかする。
結果の解釈:反応が欠如していれば異常である。(定性的)
潜時や振幅の違いで評価するのは難しい。(変動が大きい)
3.単一筋線維筋電図(single fiber EMG : SFEMG)
微小電極を使用して、隣接する2つの筋線維の活動電位を同時記録したと
き、2つの連続した活動電位の時間間隔(inter-potential interval : IPL)
が少しずつ変化する。これを jitter (ゆれ、ゆらぎ)という。また一方が
興奮しないこともある。(blocking)。これは神経筋接合部の異常を反映す
る。MGで特徴的だが、ALSやミオパチーでも異常が出うる。MGの場合
Tensilon によって jitter や blocking が現象する。
4.P300
事象関連電位の一つで、情報の認知過程に生じる反応である。
一般的には、高頻度刺激として 2000Hz のクリック音を、低頻度刺激として
1000Hz のクリック音をそれぞれ 85%、15%の割合で提示し、低頻度刺激を
標的刺激として、その刺激が提示される毎に、ボタンを押したり、数を数え
たりさせると(oddball 課題と呼ばれる)、潜時約 300ms の陽性電位が記録
され、P300 と命名されている。頭頂部が最大になり、通常Pz、Cz から両
耳朶連結で記録する。痴呆患者での検討が試みられており、障害の程度に応
じて潜時の延長をみるという。加齢によって潜時は延長するので(1-2ms/年)
正常値は年代毎に設定する必要がある。また検査には患者の理解と協力が必
要であり、高度な痴呆患者では施行できない。
5.随伴陰性変動(contingent negative variation : CNV)
一定の時間間隔で1対の刺激を提示し、2番目の刺激(標的刺激)に対し
て、ボタン押しなどで反応させると、標的刺激の前約1秒から正中線上に陰
性電位が記録される。第1刺激が予告刺激となり、標的刺激に対する注意や
予測を反映するらしい。
6.運動関連脳電位(movement related cortical potential : MRCP)
随意運動に先だって頭皮上から記録される電位。筋肉の筋腹に表面電極を
置き、筋電図を trigger として脳波を逆行性加算する。
運動開始の1〜2秒前から緩やかな陰性電位が記録される。
7.jerk locked back averaging
ミオクローヌスなどの不随意運動を trigger として脳波を逆行加算する方
法。
8.経皮的運動皮質刺激法
電気刺激、磁気刺激があるが、磁気刺激法が広まりつつある。上位運動ニ
ューロンの検索には有用である。
以下、詳細は略す。
9.Long latency refrex
1.短ループ反射
2.長ループ反射
10.網膜電図(electroretinography : ERG)
11.眼振図(electronystagmography : ENG)
12.脊髄誘発電位(spinal evoked potential)
運動性
感覚性